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29 2015

マット・フラクション&アニー・ウー他/ホークアイ:L.A.ウーマン

LAウーマン表紙

『でも、いろいろ必死にがんばってたのよ。信じられないかもしれないけど。
 とにかく…お金のために働くなんて、考えたことなかったの。
 あたしだっていい大人よ。
 「ウェルカム・トゥ・ザ・ジャングル」のPVくらい見てる。
 それでも勢い込んでロサンゼルスまで来たら、
 ものの48時間で、身ぐるみはがされちゃったの。
 よくある話だけど…油断してたのね。誰だってはじめはそうよ。
 ただ、これだけは言わせて。あたし、若いけど腕は立つわ。
 熱意だってあるし、何より、悪い人間じゃない。
 ことの善悪はわかってる。もしチャンスをくれたら……たった一度でいい…
 あたしがいかに優秀か、どれだけ熱心に働くか、
 正しいことをやり遂げようと努力するか、証明する機会をくれたら…
 ゼッタイに後悔させない。約束するわ』


西海岸が、ホークアイの紫に染まる!
冷笑と諦念が、善意と良識のある人々を蝕もうとする壊れた街で、
頼りになるのは女ホークアイただ一人!


ニューヨーク……人生……そしてクリント・バートンから逃れるために、ロサンゼルスに向かうケイト・ビショップ。だがトラブルからは逃れられなかった。というのも彼女とマダム・マスクは同じ人種――つまりどちらもプールサイドでくつろぐ、金持ちのセレブだったのだ!
心を病んで隠遁生活を送る、1960年代のカルト・ミュージシャンの失われた名作を取り戻すために奔走するケイト。だがその一方で、マダム・マスクがケイトを見つけ出し、彼女に再び命の危険が迫る!


◆収録作品

2013年09月:Hawkeye Annual Vol.4 #1
2014年01月:Hawkeye Vol.4 #14
2014年03月:Hawkeye Vol.4 #16
2014年05月:Hawkeye Vol.4 #18
2014年10月:Hawkeye Vol.4 #20


◆関連作品過去記事
【ホークアイ:マイライフ・アズ・ア・ウェポン】
【ホークアイ:リトル・ヒッツ】

◆Guns N' Roses - Welcome To The Jungle

◆もう一人のホークアイの活躍を描くキュートでフレッシュな第3巻!
ホークアイ第4シリーズの邦訳本、2巻の発売は1年以上も間が空いたのにこの3巻はなんとほんの3ヶ月ちょっとで刊行!
第2巻「リトル・ヒッツ」の続編がけっこう早いペースで読めるというのは実にありがたい。
……んだけれども、上記の収録作品をご覧のとおりこの3巻の収録エピソードはなぜか変則的に。

というのもホークアイ第4シリーズ、前巻収録の#11でクリントとケイトが仲違いするという展開になって以降はクリント編、ケイト編が1号ずつ交互に描かれており単行本に纏められる際にそれぞれケイト編(本書第3巻)、クリント編(最終巻。現在未邦訳)として1冊ずつ刊行されたのです。
そういうわけで本作「ホークアイ:L.A.ウーマン」は全話ケイト・ビショップが主人公のストーリーとなっております。

オシャレなアートとユーモラスな作風はそのままに、女性キャラを主役にしたことでちょっぴり華やかな雰囲気に!
アニュアルを除き、本編アートは新進気鋭の女性アーティストであるアニー・ウーという方が担当。
前巻のデイビッド・アジャとはまた異なるタイプの繊細なアートは眺めているだけでも惚れ惚れするぞ!

ケイト・ビショップ

クリントの家から犬のラッキーを連れて彼と袂を分かち、活動拠点を西海岸に移すも、その後ヴィランのマダム・マスクの罠にハマり無一文となってしまったケイト。
それでもケイトはへこたれず、スーパーヒーロー兼私立探偵としてロサンゼルスで探偵事務所を立ち上げ、新たな活動を開始するのだった!……というのが本作「L.A.ウーマン」のざっくりとしたあらすじ。

作中で発生する事件は結婚式を控えたカップルが盗まれた蘭の花を取り戻すというものや、60年代の伝説のミュージシャン、ウィル・ブランソンの未完成の幻の名盤「ウィッシュ」を取り戻すというお話と、相変わらずヒーロー物のコミックでありながらスケールは小さめ。
そこにマダム・マスクの陰謀も絡み、様々なトラブルがケイトに襲いかかる!といった感じの内容です。

依頼者はゲイカップルにカタブツ刑事、前述した伝説のミュージシャンなどなど個性的な面々が多く、加えて依頼を通してケイトと親しくなっていく描写がまた丁寧で和むんだ。
特に本作に登場する雑貨品店に夜な夜な現れ、ケイトに助言を与えては去っていくくだびれたコートを着込んだ謎の男、ハロルド・H・ハロルドという人物がいいキャラしてる。
(表紙絵の右上に描かれている男がハロルドです)
てっきり新キャラかと思ってたんですが、「Tomb of Dracula」という吸血鬼コミックの1975年第37号でデビューした結構な古参キャラと知ってビックリ。

冒頭に収録されているアニュアルだけは、これまでの巻でちょいちょいアートを担当していたハビエル・ブリードが手がけているのですが、そこでケイトの心理描写に日本漫画チックなデフォルメイラストが挟まれるのがまたカワイかったりします。

あの女の正体はマダム・マスク

◆感想
マット・フラクションのホークアイは安定して面白いな……!
スーパーパワーといった物が一切用いられない、起こる事件も規模が小さくヒーローコミックにしては少し地味な作りのはずなのに演出や人間ドラマの描き方が実に見事でぐいぐい引き込まれて行っちゃう。

お金持ちのお嬢様でありながら無一文に陥ってしまうケイト。しかし探偵を開業して自力で生活費を稼ぎ、新しい友人や居場所を手に入れて新生活を楽しむ彼女の姿がまた良い。アクションシーンもスタイリッシュで美しいです。
……まあそんな幸せ展開が続くはずもなく、本作のラストでは大きな壁にぶつかってしまうのですが(不穏)。
ちなみに本作は解説書によるとこの作品と同じく西海岸を舞台にした探偵ドラマ『ロックフォードの事件メモ』『ヴェロニカ・マーズ』などを意識して作られているとの事。

ホークアイ第4シリーズも、いよいよ次の4巻が最終巻。
現状最終巻の邦訳予定は無いんだけれどもあと1冊というところに差し掛かって来たわけだし、解説書のテキストを見るにまず出ると思っていいはず……!

ヤバいこりゃヤバいわ
第4シリーズではすっかりお馴染みのフレーズ「ヤバい…これはヤバイぞ」はケイト編でも健在だよ!

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