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23 2015

あなたになら言える秘密のこと

あなたになら言える秘密のこと予告編あなたになら言える秘密のこと
【原題】The Secret Life of Words(La Vida Secreta De Las Palabras)
2005年【スペイン】


工場に従事するハンナには誰にも打ち明けられない“秘密”があった。友達も作らず何の楽しみも持たず、アパートと勤め先を行き来するだけの日々を送っていた彼女は無理矢理とらされた長期休暇を持て余していたが、これといった目的も持たずに長距離バスに乗り、見知らぬ街を訪れた。
そこで出会った男から、期限付きで看護士として雇われる事になったハンナ。海の真ん中にぽつんと浮かぶ油田掘削所に連れていかれ、ベッドに寝たきりのジョゼフの看護をすることになる。
数日前に起きた事故で重傷を負い、目も見えなくなってしまっていたジョゼフは塞ぎ込む様子もなく、明朗で、いたって気さくに話しかけて来るが、ハンナはとりあわずに黙々と看護作業に勤しんだ。事故の影響で操業を休止している工場は静まり返っていたが、ここでは様々な人々が暮らしていた。
黙々と看護をしつつもジョゼフのジョークに和まされ、会話に引き込まれていくハンナ。二人は「相手の秘密を知りたければ自分の秘密を一つ教える」という契約を結び、ハンナは実は耳が悪くて補聴器をしている事を教えるが、その原因は明かさなかった。ジョークとも嘘とも分からない“秘密”を教え合って日々を過ごす二人。
やがて、ジョゼフのジョークに声を上げて笑うようにまでなったハンナに、ジョゼフは最後の秘密を打ち明ける。さきの事故の唯一の死者は彼の無二の親友であり、本当は事故死などではなく自ら炎に飛び込んで自殺したのだと言う。そして最後に、それは男の妻とジョゼフの浮気が原因なのだと付け加えた。
数日後、陸の病院がジョゼフを迎えに来る日を明日に控え、ハンナは今まで誰にも打ち明けることの出来なかった最大の“秘密”をジョゼフに語り始めるのだった。

***

海上に浮かぶ油田掘削所で働く人々と、ある過去が原因で心を閉ざした主人公ハンナの交流を描く“ライフ・スパイス”ムービー。
主人公のハンナは大きな“秘密”を抱えて孤独な人生を歩んでいるんだけれども、同じように秘密を抱えている同僚たち、そして看護する事になった患者のジョゼフと言葉を交わしていく内に少しつづ心を開き、感情を表に出すようになっていく。
その過程をじっくり丁寧に描いていくのが実に心地良い。

……のだけれども、終盤ハンナが告白する秘密の内容が他の登場人物の抱える秘密に比べてあまりに重く壮絶であり、それが簡単に救いの手を差し伸べられるような物ではないため、気分よく感動を味わえる類の映画ではありません。
序盤のよくわからないけどなんだか重苦しい空気感、そして少女の声で流れるナレーションの意味が終盤に差し掛かってようやく明かされる。
直接的な映像を用いずに、ハンナの告白だけでここまでショッキングな気分にさせられるとは。
人々との交流、ハンナとジョゼフとの恋愛を描きながらロマンティックな雰囲気にはならない、かなり乾いたラブストーリー。
ラストはある種ハッピーエンドなのかもしれないけれど、ハンナの秘密……壮絶なトラウマが完全に癒えたのかはわからない。
邦題はなんだか甘ったるい感じだけど、ストーリーは重たく、テーマ性が非常に深い一作でした。

【『あなたになら言える秘密のこと』サラ・ポーリー 単独インタビュー - シネマトゥデイ】

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