ツルゴアXXX

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03 2015

カレン・バン&マテオ・ロリ他/デッドプール・キラストレイテッド/デッドプール・キルズ・デッドプール

デッドプールキラストレイテッド表紙

「この場所…この物語…知っているぞ。
 シェークスピア『マクベス』。これは…『大鴉』…誰の作だったか…
 記憶が薄れてきている…以前の僕はこれらの物語を細部に至るまで憶えていた…
 物語…いや、世界そのものを。全てを苦も無く思い出せたものだ。
 だが今や…目の前の光景の仔細を思い出すには、
 気力を振り絞らねばならん有様だ」

「ホームズ、どうしてこんな事をするんだ?」
「何故かと言えばワトソン君…デッドプールを阻止する唯一の方法だからさ」


THE MERC WITH A MOUTH TAKES AIM AT
THE MOST FAMOUS CHARACTERS IN CLASSIC LITERATURE
AND HIMSELF!?

あこぎな創造主の搾取に苦しむキャラクターたちを救うため、デッドプールは(読者も含めて)マーベルユニバースを滅ぼした。
こうして、世界には平和が戻ったはず…だった。だがしかし、キャラクターへの搾取は止まるところを知らないではないか!
ついにデッドプールは、全ての物語の源泉を葬り去る事を決意する。それは、つまり…『白鯨』に『トム・ソーヤーの冒険』、『若草物語』に『フランケンシュタイン』あらゆる古典に止めを刺す事!
今、デッドプールと百戦錬磨の主人公達の死闘が幕を開ける!

デッドプール対古典小説の死闘を描いた異色作『デッドプール・キラストレイテッド』、デッドプール対デッドプールの究極の独り相撲を描いた『デッドプール・キルズ・デッドプール』。2作をカップリングした待望の「キル」シリーズ第2弾、ついに登場!


◆収録作品

2013年03月:Deadpool: Killustrated #1
2013年04月:Deadpool: Killustrated #2
2013年05月:Deadpool: Killustrated #3
2013年06月:Deadpool: Killustrated #4
2013年09月:Deadpool Kills Deadpool #1
2013年10月:Deadpool Kills Deadpool #2
2013年11月:Deadpool Kills Deadpool #3
2013年12月:Deadpool Kills Deadpool #4


◆関連作品過去記事
【デッドプール/パニシャー・キルズ・マーベルユニバース】

◆SUICIDE IS PENNILESS
デッドプールがマーベルユニバースに存在する全てのヒーローとビランを皆殺しにするという超絶問題作、デッドプール・キルロジーの第1部となる『デッドプール/パニシャー・キルズ・マーベルユニバース』の邦訳から約2年……
キルロジー第2部『デッドプール・キラストレイテッド』、そして完結編となる第3部『デッドプール・キルズ・デッドプール』が一気に邦訳!
原書単行本はそれぞれ別々に刊行されていたのですが、今回の邦訳版は第2部と第3部を一冊にまとめた日本独自の仕様で発売されました!

正直完訳されるとは思わなかったこのシリーズ。前作『デッドプール・キルズ・マーベルユニバース』はブラックな笑いというものも少なく、とことん露悪的な作風だったのですが、本書でデッドプールが戦うのは様々な創作物のアイデアの源泉ともいえる古典小説のキャラクター、そして並行世界のデッドプール達というのもありカオス度が急上昇。
実を言うと「デッドプール・キルズ・マーベルユニバース」の時はノリやストーリーが個人的に合わなかったのですが、本作はストーリーが急激に面白くなっていてビックリした。

前作で「この世界は単なるフィクションで、自分たちは創造者(マーベルコミックス)によっていいように使われている人形にすぎない」という残酷な事実に気づいてしまったデッドプール。
彼はマーベルユニバースのヒーローやビランを真の意味で救うために殺して殺して殺し続けてきたわけなんですが、いくら殺しても次の並行世界が作られて別の同一人物が発生し、創造者は“連載”に引き戻してしまう。

キルロジー第2部『デッドプール・キラストレイテッド』は、「それならば創作物のアイデアの元となっている古典の世界『アイデアバース』を消滅させればヒーローの存在が抹消されるのではないか」という結論に至り、デッドプールがドン・キホーテや『白鯨』のモビィ・ディック、ドラキュラ伯爵、『スリーピー・ホロウの伝説』の首なし騎士、『クリスマス・キャロル』のスクルージなどの名作古典キャラクターを容赦なく殺害しまくるというとんでもないストーリー。
『若草物語』の4姉妹や人魚姫といった女性陣もえげつなく始末される怖いもの知らずな描写はもう変な笑いがこみ上げてくる。っていうかこれ怒られなかったの!?

とにかく死にたいデッドプール
とにかく死にたい、この世界から解放されたいデッドプール

しかし、この事態をよしとしなかった科学者ビランのマッド・シンカーはデッドプールに隠れてある策を打っていた。
それはアイデアバースに「デッドプールが世界を破壊しようとしている」という警告を送り、力のある人物にデッドプールを制止してもらう事。
その警告を受け取ったのは……なんとあの「シャーロック・ホームズ」
高い戦闘能力を持ってして古典小説のキャラクターを消し続けるデッドプールと、その明晰な頭脳で策を練り、デッドプールの凶行を止めんとするシャーロック・ホームズ。勝利するのは果たしてどちらなのか!

そしてキルロジー第3部、完結編の『デッドプール・キルズ・デッドプール』。
こちらは戦いの舞台がアース-616……つまり正史のマーベルユニバース!
主人公も正史世界のデッドプールに交代し、「キルズ」のデッドプールが率いるデッドプール達とデッドプールだらけのチーム「デッドプール・コァ」のこれまたトンデモなバトルが堪能できる作品になってます。

キルズのデッドプールの究極の目的は「創造者」を引きずり出すことなのですが、結局暴力を積み重ねたところで彼らをおびき出すことは出来なかった。
悩みに悩んでキルズのデッドプールが出した結論は、「自分だけ、デッドプールが世界の欺瞞に気がついたということは、デッドプールが世界の源流であり、多元宇宙は己の夢が顕在化したものなのだ」というもの。
彼は「全世界を殺すには全デッドプールを殺せばいいのだ!」という狂った考えに至ってしまったのでした。
「そんな見当違いのイカれた計画で俺たちが殺されるわけにはいかない」と、正史世界のデッドプールは並行世界の自分たちと協力して、「キルズ」のデッドプールとその配下のデッドプールとの壮絶な殺し合いを行うのだった!

スーパーデッドプール大戦
スーパーデッドプール大戦

◆感想
悔しいことに面白かった……!なんかもう展開がメチャクチャなのに面白い……
「あくまで本作はブラックユーモアなんですよ!」っていう要素がキルズ・マーベルユニバースの時よりも強くなっていて、普通にエンタメ作品としての質が上がっている。

「キラストレイテッド」で古典小説のキャラクターたちが同盟を組んでデッドプールを喰い止めるために立ち上がるアツい展開は震えるし、完結編の「キルズ・デッドプール」で主人公がアース-616のデッドプールに交代し、「キルズ」のデッドプールがラスボスに据えられるという流れもベタながら堪らない。
あと、「キルズ・デッドプール」に出てくるデッドプールは過去作に登場してきたキチンと元ネタのあるデッドプールが色々出るけど、基本的には本作が初お目見えなヤツが多いってのも自由すぎてもう……!
【並行世界のデッドプールたち】

616デッドプールVS「キルズ」デッドプール

『「デッドプール・キルズ・マーベルユニバース」は買って読んでみたけどもイマイチ合わなかったなぁ…』って人は本作を最後まで読んで見ることをオススメします。
勿論キルズ・マーベルユニバースを普通に楽しめた人にも当然オススメの一作。
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