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25 2015

ジェリー・ダガン&トニー・ムーア他/デッドプール Vol.1:デッド・プレジデント

デッドプールデッドプレジデント表紙

「さて、これからの6ページで10人の大統領と部下を殺す。
 アクションシーン開始だ。
 BGMは、パンテラの『5ミニッツ・アローン』にしてくれ。
 ゾンビ大統領を殺すにはピッタリの曲だ。それがなきゃ好きな曲でいいよ。
 C級大統領諸君、殺された時には名前を言うように!」


“再生可能で更生不可能な男”デッドプール
魔術でよみがえった大統領(?)ゾンビ軍団に、キツいの一発ブチかます!

国の行く末をうれうSHIELD隊員マイケルが、魔術の力を借りてアメリカ歴代大統領を蘇らせた。ところが、しき力によって蘇った大統領たちが全員ゾンビ化。しかも、世界を滅ぼすために悪の軍団を結成し、アメリカ全土に侵略を始めた。この一大事に手を焼いたSHIELDは、事態の収拾を我らがデップーに発注。かくして、“再生可能で更生不可能な男” VS. 不死(アンデッド)軍団の果てなきバトルの幕が上がった!


◆収録作品

2013年01月:Deadpool Vol.3 #1
2013年01月:Deadpool Vol.3 #2
2013年02月:Deadpool Vol.3 #3
2013年03月:Deadpool Vol.3 #4
2013年04月:Deadpool Vol.3 #5
2013年05月:Deadpool Vol.3 #6


◆パンテラの『5ミニッツ・アローン』

◆デッドプール、今度の相手は…アメリカ歴代大統領!?
2012年に立ち上げられた新ブランド『マーベル・ナウ!』に合わせて新創刊されたデッドプールの第3シリーズが邦訳スタート!
『マーベル・ナウ!』に関する詳しい説明は以前のホークアイ誌レビュー記事に書いたので、もう少し詳しく知りたい方はそちらを読んで下さい。
【過去記事:ホークアイ:マイライフ・アズ・ア・ウェポン】

すっかり日本でも知名度があがり、押しも押されもせぬ人気キャラクターとなったヒーロー(?)のデッドプール。
とはいっても刊行される邦訳本は一冊で完結している、単独で楽しめるように配慮されたミニシリーズが中心となっており、オンゴーイングシリーズ……長期連載の作品は全くといっていいほど発売されてきませんでした。
長期連載の翻訳に手を出すとなるとある程度追いかけ続けていく必要がありますから、まだ少し需要がニッチなアメコミ邦訳の世界では結構な冒険になるんでしょうね。
(少し前に邦訳された「モンキー・ビジネス」は第2シリーズの単行本4巻ではあるけれども)

しかし!デッドプールの邦訳本をここ最近もの凄い勢いで刊行しまくってきた小プロは、2013年にスタートしたデッドプールの新シリーズの邦訳にようやく着手!
このデッドプール第3シリーズは全45号、単行本にして全8巻というボリュームなため、全巻翻訳というのもそこまで非現実的ではなさそう……?期待しちゃう。
少なくとも現時点で3巻目までは翻訳が決定しているのも嬉しい所。


第3シリーズの読み切りエピソードを纏めた
「Deadpool: The Ones With Deadpool」という単行本もあります

それにしてもマーベル・ナウ!がスタートした時期のマーベルユニバースを日本ではデッドプールで把握していくことになるとは予想出来なんだ。

前置きはこのくらいにして本書「デッド・プレジデント」のレビューをば。
あらすじにもあるように本作は、とあるシールド隊員・マイケルという男のせいでアメリカの歴代大統領がゾンビとして復活してアメリカ全土で大暴れを始めてしまったというどうかしている掴みからスタートするお話。
しかし、「ヒーローにゾンビ大統領の始末を頼むのは彼らの世間的なイメージに傷がつく可能性がある」という事を危惧したシールドは、この汚れ仕事をデッドプールに依頼。
かくして、デッドプールVSゾンビ大統領軍団というトンデモバトルが始まった!

俺のジュニアに挨拶しな!
モンローコスプレでゾンビケネディにトラウマを与えるデッドプール

もうこの設定が趣味悪すぎてお腹いっぱいになりそうなんだけど、それでも読んでて笑いがこみ上げてくるから堪らない。
狩猟家としても有名だった第26代大統領、テディ・ルーズベルトとは動物園で容赦なく動物たちを巻き込んだ戦いを繰り広げたり、任期中に辞任した不名誉な経歴を持つ第37代大統領、リチャード・ニクソンには金的を食らわせてゲロを吐かせたり、本記事上部にもセリフだけ引用しましたが、あまり知名度の高くないマイナー大統領たちはほんの数コマでデッドプールに惨殺されまくったりなどあんまりすぎる扱いが最高ですね。
っていうかこれ怒られなかったりしなかったの!?大丈夫なのかほんとに!?
歴代大統領達が臓物を飛び散らせながら始末されていく光景が見られる作品なんてコレぐらいしかなさそうだ。

波動拳(どこがだ)
「波動拳!」(どこがだ)

※ストリートファイターというよりは「マカンコウサッポウ」から波及した海外の「波動拳」というインターネットミームが元らしい。
【日本の「マカンコウサッポウ」ブームが海外に波及し「波動拳」写真が誕生! そしてついには「ダースベイダー」写真まで!】

◆感想
いや面白かった!!
ゾンビ大統領を殺しまくるという怖いもの知らずすぎる作風も最高だし、デッドプール作品らしく妙にマニアックな映画ネタ、洋楽ネタ、芸能ネタなど盛り込まれるパロディがいちいち濃いのも堪らない。

本作に登場する脇役……ゾンビ大統領を復活させたそもそもの原因のシールド隊員、マイケルも妙に憎めないキャラをしているし、デッドプールに指示を出すふとっちょのおばちゃんシールド隊員、プレストンとのコンビっぷりも楽しいし、幽体としてベンジャミン・フランクリンを登場させてデッドプールのサポートを行わせる自由さも楽しい。
ドクター・ストレンジもゲストとしてガッツリ登場、活躍してくれるよ!手助けこそちゃんとしてくれるけど、デップー達に対するどこか辛辣な態度で吹く。

あと本作は内容こそヒドイ(褒め言葉)けど様々な大統領が歴史ネタと絡めて登場するのもあって、本書の解説と合わせて読むとアメリカの歴史にも多少詳しくなれると思います。多分。
デッドプールが大統領と戦うシチュエーションは基本どれも本人たちに縁のある場所が用意されていますからね。
「第16代大統領、エイブラハム・リンカーンは元レスラーである」というのを拾ってガチな金網デスマッチを行うシーンは必見。

【リンカーンはガチで強い元レスラーで、しかも結構エグかった、という話(OGAWA Kandai)】

ブラックなコメディ作品なのにアメリカ史の知識やトリビアが付くなんてスゴイコミックだねー!

ただ本作はブラックユーモアだけでなく、デッドプールで意外と重要な要素であるシリアスもしっかり盛り込まれています。
デッドプール第3シリーズのテーマとなっているのはなんと“家族”。
デッドプールって一匹狼なイメージが強いですけれど、実際にコミックを読むと孤独を嫌がり、人に認められたい、受け入れられたいという思いを抱いているシーンがちょくちょく描かれているんですよね。
この新シリーズでは脳内に住み着いていた彼の別人格がなぜだか消え失せているのですが(その理由は後のエピソードで描かれるとのこと)、本作のラストではそれがとんでもない展開に繋がることに。
最後の最後に新たな設定が加えられるデッドプール第3シリーズ、2巻以降の邦訳本も楽しみ!

プレストンとデッドプール
デッドプールに出来た新しい友人、プレストン

【デッドプール:デッド・プレジデント 補足】
【デッド・プレジデントというタイトルに含まれたもう一つの意味?】
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