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22 2015

大逆転裁判-成歩堂龍ノ介の冒險-

大逆転裁判タイトル
『ひとつのウソは、かならず次のウソを暴きだす』

…歴史的な“開国”から数十年。
『文明開化』の大号令のもと、
極東の島国に…まさに今、西洋文化の大波が押し寄せていた。
活気に満ち溢れる帝都の民は、“変化”“革新”の熱気にむせかえり
その“変化”に戸惑う者も飲み込んで、時代は大きなうねりの中にあった。
…そして、今。
そんな時代を舞台に、ひとつの“物語”が幕をひらく。

ある日の午後、成歩堂は友人と西洋料理店「ラ・クワントス」で食事を楽しんでいた。
友人と別れた後、落ちていた拳銃を拾ってしまった成歩堂は、殺人事件の容疑者として逮捕されてしまう。
裁判当日、みずから弁護席に立ち、自分を弁護することになった成歩堂。
絶望的な状況の中に現れたのは、大学生ながら弁護士の資格を持つ、友人の「亜双義一真」だった。
明治の日本は近代司法制度が始まったばかり。
有罪を確定させるための「形式的な裁判」が開廷し、高圧的な検事が成歩堂を追い詰めていく…


◆19世紀の大日本帝国と倫敦が舞台となる逆転裁判の新たな外伝作品
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逆転裁判の生みの親であるゲームクリエイター、巧舟氏ことタクシューがシリーズから離れて久しい昨今。
タクシューが関わらずに作られたスピンオフシリーズの逆転検事シリーズや逆転裁判5は手堅い出来ではあったものの、タクシュー節ともいえる面白おかしいセリフ回しや小気味よいテンポの完全再現には至っておらず、どこか物足りなさを感じたプレイヤーも少なくないのではないでしょうか。

しかし2015年、逆転裁判の外伝シリーズとして『大逆転裁判』が発売!!しかもタクシュー自身がシナリオや監督を務めるというではないですか!!
(まあ以前にコラボ作品『レイトン教授VS逆転裁判』で再度逆裁に関わってはいますが)
時系列は明治時代、しかも主人公は成歩堂龍一のご先祖様、成歩堂龍ノ介という本家とは完全に別ラインの作品ですが、それでも逆転裁判にタクシューが戻ってきたという事実がファンとしては嬉しい限り。

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で、逆転裁判シリーズ最新作の今作『大逆転裁判』
事件現場などを捜査して証拠品や情報を集める探偵パートは、進むべき場所をメッセージで示してくれたり調べ終わった箇所にチェックマークが入るなどかなり低難易度化しているもののいつも通り、証拠品を突きつけてムジュンを指摘し、事件の真相を明らかにしていく裁判パートもこれまでの感覚でプレイできるのですが、今作ではあの名探偵、シャーロック・ホームズと協力して様々な事件を解き明かしていくことになります。

それが第1の新システム、『共同推理』!
この共同推理システムはまずホームズの推理を聞くところから始まるのですが、ホームズの推理は着眼点こそするどいものの指摘部分にズレが生じており、妙な結論に達してしまっているんです。
そのズレた部分を正しく直して、ホームズの推理をキチンとしたものに作り変えるというのが最終目的。
大逆転裁判に登場するホームズは推理力自体はあるもののその論理が大変おかしな事になっており、本人もそれをそこまで問題視していないお調子者なウザキャラクター。
個人的にこの新しいホームズ像は好みです。逆裁特有の低難易度ミステリーの所為でただのアホにしか見えないこともあるけど。

そして第2の新システムは法廷パートに出てくる『最終弁論』
本作に登場する英国法廷では陪審員である6名の倫敦市民が裁判に参加しており、彼らの評決が全員『有罪』となったときに弁護側が「最終弁論」で彼らを説得するというもの。
陪審員と陪審員の主張のムジュンをぶつけて新たな情報を引き出したり考えを変えさせるという作りになっており、これがなかなか新鮮な面白さ。

さらに法廷パートにはゆさぶる、つきつける以外に「といつめる」というアクションが追加されています。
ゲーム中では過去作『レイトン教授VS逆転裁判』の時のように複数の証人を一度に尋問する展開が多々あり、ある人物の証言に対して他の証人が反応することがあるのですが、そこでこの「といつめる」行動を取ると新たな情報が得られるというもの。
というか今作は全体的に『レイトン教授VS逆転裁判』の雰囲気やシステムを踏襲しているのが明らかだったりします。
登場人物のデフォルメ具合もわりとそんな感じ。

◆感想
まさか未完ENDとは思わなかった!!この作品の感想はこれに尽きる!!

本作は各エピソードに重要そうな伏線や意味深な描写がちょくちょく盛り込まれているんですが、その多くがなんと未回収。
ネタバレになるんで詳しくは書きませんが、今までの逆転裁判シリーズなら話を綺麗に1作品内でまとめていた筈なのに今作では大量の謎を残してエンディングを迎えてしまうというのが本当に肩透かし。
最後の最後にデカい伏線を張って「これはあともう1話あるのか!」と思わせといてのエンディング突入にポカンとしたプレイヤーは少なくないはず……!
まあ『-成歩堂龍ノ介の冒險-』というサブタイでシリーズ化を見越している事を読んでいた方もけっこういるとは思いますが、でも本作がここまで伏線を放置していくスタイルだったとは予想していまい。

それと裁判の展開もこれまでの逆転裁判シリーズに比べてかなり爽快感に欠ける内容。
これもネタバレに繋がるので深くは書きませんが、純粋に悪人を追い詰めていくという展開がメチャクチャ少ないんですよ今作。
起こる事件の内容も過去シリーズになかった内容っちゃあ内容なんですが、想像以上に小粒な事件だったりでどうも物足りない。

しかもブレイクモーションがどれも迫力に欠けるときている!というか殆どの犯人があんまブレイクしていないぞ!
これ逆転裁判シリーズで特に大事な魅力ポイントだと思うんだけどなぁ……
(1話の真犯人のブレイクモーションは面白かったんだけど)
どうも塗さんがキャラデザインを担当した逆転裁判(蘇る逆転、4、レイ逆)はブレイクモーションが微妙なことが多い気がする(小声)

あと警察の捜査やトリックを含めた謎解きの展開が19世紀の設定になったことでよりガバガバになっているんだけど、正直この辺の描写が荒いのは逆裁シリーズではいつものことなんでもう気にしない。

ただね~、別につまらない作品というわけでもないんですよね。
19世紀のモダンな世界を逆裁風に落としこんでいて雰囲気はヒジョウに味わい深いし、BGMもゲーム内容にマッチしていて良曲多し。
ブレイクモーションは不満だけどどのキャラクターも動きや発言が個性的で印象に残るしで、やっぱりこれまでの逆転裁判シリーズと比較さえしなければ充分に楽しめるアドベンチャーゲームだとは思う。
纏めると「過去作のようなクオリティを期待するとなかなかのガッカリゲー」って感じでしょうか。
ストーリーも良いか悪いかどうかはそのうち出るであろう続編をプレイするまでは判断できない。未完だから。

正直けっこうなタクシュー信者だった僕ですが、逆裁4、レイ逆、そして本作と、タクシューの書いた逆裁のストーリーで三回連続でガッカリさせられるとちょっと冷静になってきた今日この頃。
……ちなみに、電撃Nintendo2015年9月号のインタビューによると、「当初想定していたシナリオの結末では無くなった」「構想段階ではもっとシナリオのボリュームがあった」というタクシューの発言が。

――シナリオの結末が、当初の想定から変わったということですか?
巧:全然違いますね。自分でコントロールしきれない部分があったというか、色々な力が働いたというか……悩んだ末の結末です。

小鳩:やっぱり、序盤ですが、巧さんの気合いがすごくてシナリオのボリュームが驚くことになった点ですかね。
「ん? これ、今まででいうと何本ぶんのシナリオ?」って思いましたよ(笑)。
巧:構想段階では、今回のシナリオはもっと長かったんですけど、コントロールがきかなくなっちゃって。


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まあハナから続編ありきで作っていることはよく分かったんで、次回作では前述した不満点を改善し、『今作で残りまくった伏線を全て回収して』より爽快感のある作品を送り出して欲しいです。
本作の新システム『共同推理』や『最終弁論』、『といつめる』とかも内容をもっと練り込んで難易度も上げてくれるとありがたい。上記では肯定的に書いたけどもといつめるは証人の反応がSE付きなためまず見逃さないし、どの新システムも低難易度すぎてあまり推理している感が得られなかったんですよね。
新鮮な快感のあるシステムだったのは確かなんで次回作ではブラッシュアップを望む!
逆転裁判シリーズはやっぱり大好きだし、続けてくれる以上は追いかけていくつもりなので、期待を裏切るような作品作りだけはしないでいただきたいな!

◆DLC話
逆転裁判でもすっかりお馴染みとなったダウンロードコンテンツ。
本作では「ランドストマガジン」と称してさまざまなコンテンツが収録されたものが全8号で配信されています。
ちょっとした短編エピソードや設定画、タクシューによる各話のコメンタリーにBGM、没BGMの鑑賞など様々な要素が楽しめるというもの。
「短編エピソードは本編ストーリーを補完する内容ではない」公式サイトにも注釈が書かれているのですが、本エピソードはパラレルな世界観ではなく各本編の後日談となっているので見ていて損は無い内容ではあります。
全然重要ではないけれど本編では描かれなかった亜双義の設定が描かれたりもしますし。

「月が綺麗ですね」
短編エピソードでは「窓税」以外のトンデモ税金に触れたり
森鴎外について語られたりと地味に当時の文化ネタが多かったりもする

高いか安いかで言えば「高すぎず決して安くもないなぁ」ぐらいの内容だった印象ですが、ショートストーリーはどの話も面白かったんで、コレ目当てに買う分には充分オススメ。

あと楽曲モードに収録されている没BGMは何気に良曲も多くて、本編に採用するとなると確かにビミョウかもだけど単体で聴く分にはなかなかにツボな物が多かったです。
逆裁1の開廷っぽい曲な「大逆転裁判~開廷」の没バージョンや、「真実は告げる【冒險編】」の没バージョンが好き。
ただランドストマガジンを全号買ってもゲームに使用されたBGMが全曲収録されるわけではない点には注意。
個人的に尋問や追求BGMくらいは収録してほしかったぜ……!没BGMも聴いてみたかったぜ……!
全曲聴きたいならサントラ買えってことだろうね。

アノシャーロックホームズ没ver
「アノシャーロックホームズ」没バージョン
確かにホームズ感は薄いけれど何らかの作品に流用してほしい程度には好きなデザイン

ちなみに『ランドストマガジン特別号』というものも期間限定で無料配信されていたのですが、現在は配信終了のため入手不可に。
ショート・ショート第0話や「成歩堂龍ノ介~異議あり!」の没BGM3種などはこの特別号でしか拝めないので、期間限定配信にしたのはヒジョウに勿体無い気もする!

あと一時ゲームニュース系サイトで変に話題になったこの特別号でのショート・ショートの1シーン。

DLCに対するツッコミ

龍ノ介のこのセリフは「没BGMや没設定画が閲覧できる」という話の流れで出てきたツッコミであり、別にDLC商法そのものにどうこう言っている1シーンでは決してありません。
個人的にこれだけはハッキリと伝えておきたかった。
ただレイ逆の時はDLCが無料配信だったりデフォルトでサウンドテストが入っていたりしたので、今回の有料DLCの内容にモヤモヤしてないわけではなかったり(小声)

◆関連リンク
【公式サイト】
【「大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-」攻略】『逆転裁判攻略』
【『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-』開発者インタビュー!【part1】】
【『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-』開発者インタビュー!【part2】】
【小嶋慎太郎氏と巧 舟氏が語る「大逆転裁判」の楽曲の聴きどころとは。サウンドトラックCDの発売記念サイン会をレポート】
【『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-』山崎弘也さん(アンタッチャブル)とカンニング竹山さんにインタビュー!】
【『大逆転裁判』ディレクター・巧 舟氏×シャーロック・ホームズ研究家・北原尚彦氏 スペシャル対談! 「ワトソン」?それとも「ワトスン」? 頭を悩ます翻訳問題】
【カプコン 巧舟氏×ストーリーテリング イシイジロウ氏 アドベンチャーゲーム制作者対談】
  
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4 Comments

No Name  

方々で噂を聞きますが、流石に未完はキツいですね・・・・・・ところで。

>逆裁4、レイ逆、そして本作と、タクシューの書いたストーリーで三回連続で・・・・・・

 と、ありますが、同じくタクシューがシナリオ担当した「ゴーストトリック」はプレイされてませんか?

 逆転裁判の日常パートのようにお気楽とシリアスが混じった軽妙なテキストでおすすめです。

2015/07/25 (Sat) 01:02 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>No Nameさん
>流石に未完はキツいですね・・・
未完なのに目をつぶれば充分楽しめる作品ではあると思いますけどねー。
(それでも細かい不満はあるんだけど)
逆裁2の時に3の伏線を張るような演出はありましたが、今回は意味深な描写の殆どが回収されずに終わりますから…完全に続編ありきな作りなので事前に告知しておいてほしかった!御神楽少女探偵団か!

>「ゴーストトリック」はプレイされてませんか?
評判良いんで気になってはいるんですが未プレイなんです。
幸いというかまだネタバレには直面していないんでいつかやってみたい…

2015/07/25 (Sat) 19:12 | EDIT | REPLY |   

鍋敷き  

ゴースト トリックは面白いですよ!過少評価だとさえ思える名作です。システム面でも、ストーリー面でも「死にゲー」。タクシュー節も炸裂です!ios版もありますが、個人的にはDS版をお勧めします。

2015/07/27 (Mon) 00:39 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>鍋敷きさん
ぬああ欲しいゲームが増えてきて困る!今ちょっとひっきりなしに買ってると確実に積みゲーになっちゃうんでポンポン手を出せないのが悩みどころです。

2015/08/02 (Sun) 14:02 | EDIT | REPLY |   

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