ツルゴアXXX

ARTICLE PAGE

27 2015

スコット・スナイダー&グレッグ・カプロ他/バットマン:ゼロイヤー 暗黒の街(THE NEW 52!)

ゼロイヤー暗黒の街表紙

『やあ、市民諸君!ゼロイヤーの27日目だ!
 この新しい時代になってから、
 これでもう64万8000kmも一緒にグルグル回って旅をしてきたことになる!
 もうすぐ1ヶ月になる。そろそろカレンダーを作ったほうがいいかな。
 西暦とは異なる、まったく新しいカレンダーをさ!なあ、どうだい?
 しけた顔するな。楽しいぞ。
 お前らのヒーローにちなんで月の名前を決めてもいい。
 “ボブ月”とか、“スーザン月”とか。
 惨憺たる崩壊からこの街を救おうとする勇者なら誰でもいい。
 さあ、誰かいないか?』


彼がコウモリの翼を広げた直後、
さらに深い闇が街を包み込んだ。


リドラーと名乗る悪の天才策士が、
ウェイン産業から盗んだ技術を悪用して
ゴッサムの電力ネットワークを破壊し、
全市民を暗黒の深淵へと叩き落とすと同時に、
バットマンに対して挑戦状を叩きつけた!
しかも、街を脅かす敵はリドラーだけではなかった。
この闇の迷宮の中心には1匹の怪物……死の医師が潜んでいた。
彼の奇怪な実験によって不気味に変容した死体が次々と発見され、
警察はバットマンこそが犯人だと疑いはじめる。

若き闇の騎士は警察からの追求を逃れつつ、
リドラーの計画を解き明かし、
ドクター・デスの大量虐殺を阻止しようと奮闘するが……。


◆関連作品過去記事
【バットマン イヤーワン/イヤーツー】
【バットマン:梟の法廷】
【バットマン:梟の街】
【バットマン:梟の夜】
【バットマン:喪われた絆】
【ジョーカー:喪われた絆〈上・下〉】
【バットマン:ゼロイヤー 陰謀の街】

◆収録作品

2014年01月:Batman Vol.2 #25
2014年02月:Batman Vol.2 #26
2014年03月:Batman Vol.2 #27
2014年05月:Batman Vol.2 #29
2014年06月:Batman Vol.2 #30
2014年07月:Batman Vol.2 #31
2014年08月:Batman Vol.2 #32
2014年09月:Batman Vol.2 #33


◆Gentlemen, meet my friend... The "$%$^! Psycho in a Batsuit".
ニュー52が始まり設定がアップデートされたバットマンの誕生秘話を、1年以上に渡り連載し改めて語り直してきたエピソード『バットマン:ゼロイヤー』
「シークレットシティ」「ダークシティ」「サベッジシティ」の計3パートから構成されているこのゼロイヤー、前巻の『陰謀の街』ではシークレットシティとダークシティの冒頭部分の収録に留まっていましたが、後編となる本書『暗黒の街』一気にエピソードのラストまで収録したなかなかボリューム感のある1冊となっております。

第1部シークレットシティではテロリスト集団、レッドフード・ギャングとの戦い、そしてバットマンの誕生が描かれましたが、本書収録の第2部ダークシティで戦う事になるヴィランは、悪の科学者であるドクター・デスことカール・ヘルファーン。
骨を自在に変形させるだけでなく、衝撃を受けた瞬間に骨を硬化させ、新しい骨細胞までも作りだしてしまう能力を持つ怪物染みた相手。
まだバットマンは活動一年目だというのに、前作のレッドフード・ギャングといい戦う相手がガチすぎて辛い。

突然登場してびっくりさせたる!
若干怪物ホラー映画風のノリ
ちなみにこのドクター・デスは1939年の『Detective Comics #29』でデビューした超古参ヴィラン

んでもって、このドクター・デスとの戦いを経て最終パートである第3部サベッジシティに移行するのですが、ここで読者を待ち受けているのは話のスケールが一気に大きくなる怒涛の展開。
前巻の時点で何か大きな陰謀を持っていたエドワード・ニグマがとうとうヴィラン、リドラーとして動き出し、バットマンの捜査の目を掻い潜りその卓越した知能で緻密に練り上げた計画を発動、ゴッサムシティのライフラインを完全に掌握して街の支配者に君臨しちゃうのです。

リドラーと命を掛けた謎解き対決
「知能」という武器を持つ強者だけが生き残る世界、サベッジシティを作り出したリドラー
ゴッサムシティは今や彼の遊び場である
リドラーとの「なぞなぞ対決」に勝つことが出来れば命が助かるのだが、
挑戦者は無残にも敗北し命を落としていく

バットマンはゴッサム警察の数少ない良心であるゴードン警部補、そしてウェイン産業の研究者ルシアス・フォックスと協力し、リドラーの監視の目と各所に張り巡らされたトラップを回避してリドラーの潜伏先を特定し、ゴッサムシティを取り返すための計画を練るのですが、リドラーの頭脳は彼らのさらに一つ上を行っており、どんどん窮地に陥る羽目に。
こちらの手を見透かしているかのようにトラップを発動させていくリドラー。果たしてバットマンはリドラーの仕掛けた謎を解読し、彼の潜伏先を特定してゴッサムシティを取り戻す事ができるのか?

◆感想
フランク・ミラーのイヤーワンとはまた違ったアプローチのヒーロー誕生譚!傑作でした!
幼い頃に両親が殺害された事がきっかけで常に他者に不信感を抱いているブルース・ウェイン。
常に側においている執事のアルフレッドですら、自分では気づいていないが信頼しきっていない。
本作のバットマンは誰も信頼せず一人で戦おうとした結果大きなミスを犯してしまい、本来であれば止められた大惨事をみすみす引き起こしてしまうのです。

復讐鬼バットマン

バットマンが何度も失敗や後悔を重ねつつも不屈の闘志で立ち上がり、ゴードンやアルフレッドといった大切な仲間を信頼するようになっていくその過程が非常に丁寧に描かれている本作。
『バットマン:ゼロイヤー』の2冊はニュー52バットマンシリーズでは4巻、5巻にあたる作品(『梟の夜』『ジョーカー:失われた絆』は外伝扱い)ですが、本エピソードだけで話が綺麗に纏まっているんで、このゼロイヤーからニュー52バットマンに手を出してみるという選択肢も普通にアリだと思います。

あと、リドラーがここまで凶悪な大物ヴィランとして立ちまわっている姿が拝める邦訳は現状このゼロイヤーぐらいなので、そういう面でもオススメしたい。
サベッジシティ編でのリドラーとバットマン達の頭脳戦は超アツいよ!リドラーがほぼ毎回披露するドヤ顔にはイラッと来るよ!

ちなみに、ニュー52のバットマンのエピソードは毎回ちょっとしたクロスオーバー(前述した『梟の夜』『ジョーカー:失われた絆』の事)が展開されており、本作ゼロイヤーも例に漏れず各誌でタイインが刊行、その後『DC Comics: Zero Year』というタイトルで単行本化されたんですが、残念なことに今回は刊行予定は無い模様で、付属の解説書で各誌の簡単なあらすじが掲載されるだけに留まっています。
できれば今回も邦訳してほしかった……!!
 
関連記事

0 Comments

Leave a comment