ツルゴアXXX

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01 2015

マーブ・ウルフマン&ジョージ・ペレス他/クライシス・オン・インフィニット・アース

クライシスオンインフィニットアース表紙

“如何なる世においても歴史が証明している。
 知的生命体は生存と自由のために死に物狂いで戦ってきた。石器時代の昔からね。
 たとえ敵がどれだけ自分達よりも遥かに優れた武器を持っていようと、
 果敢に向かっていくだけ。
 今や、かつて凌ぎを削った敵が味方となったわ…
 それほどの危機が間近に迫っているのよ。
 だけど私達は、何としても生き延びてみせる、勝利してみせるわ。
 たとえ死を目の前にする事になっても、絶対に諦めはしない!”


『クライシス』襲来!!

DCコミックス創立50周年記念の超大作クロスオーバーがついに登場!反物質の侵攻に消滅していく並行宇宙、全ての生命の存亡を懸けた善と悪の究極の戦いが始まる!
『クライシス』全12話に加え、生まれ変わったDCユニバースの歴史を網羅した『ヒストリー・オブ・DCユニバース』を併載。さらに、登場全802キャラクター、全52チーム、全16マルチバース紹介、100冊を超える全クロスオーバータイトル詳細、フローチャート、解説など、怒涛の解説パートを収録!カバーはリバーシブル仕様で、裏面にはジョージ・ペレス&アレックス・ロス渾身のカバーアートをノンクレジットで掲載(全562キャラクターの対応表も添付!)
邦訳コミック史上、空前絶後の超大作、ここに堂々完成!


◆収録作品

1985年04月:Crisis on Infinite Earths #1
1985年05月:Crisis on Infinite Earths #2
1985年06月:Crisis on Infinite Earths #3
1985年07月:Crisis on Infinite Earths #4
1985年08月:Crisis on Infinite Earths #5
1985年09月:Crisis on Infinite Earths #6
1985年10月:Crisis on Infinite Earths #7
1985年11月:Crisis on Infinite Earths #8
1985年12月:Crisis on Infinite Earths #9
1986年01月:Crisis on Infinite Earths #10
1986年02月:Crisis on Infinite Earths #11
1986年03月:Crisis on Infinite Earths #12
1986年   :History of the DC Universe #1
1986年   :History of the DC Universe #2


◆邦訳アメコミ史上最大のボリューム
1985年にDCコミックスが刊行した一大クロスオーバーイベント『クライシス・オン・インフィニット・アース』がとうとう邦訳!

ですがレビューの前に、本書がいかに延期を繰り返しまくった邦訳本なのかをざっくり振り返ってみたいと思います。
全てのヴィレッジの邦訳を購入しているわけではないので、あくまでもざっくりと(小声)。

まず2011年1月に発売された『グリーンランタン:リバース』にて、発売日未定ながらも邦訳がアナウンス。
そして同年2月発売の『デアデビル:ボーン・アゲイン』にて2011年発売と予告されました。
かと思えば同年6月発売の『ソー:マイティ・アベンジャー』で『「ヒストリー・オブ・DCユニバース」も同時収録決定!』という追加情報が掲載された代わりに2011年発売という文面が消滅、「鋭意製作中」に変化。

そこから長らく動きはなく、結局2011年に出ることはなかったのですが、2012年2月発売の『マーベルゾンビーズ』にてとうとう2012年7月発売と予告!
発売を今か今かと心待ちにしていたファンは大きく沸き返りました。
2012年4月発売の『DCユニバース:レガシーズ Vol.2』ではその予告が消えて嫌な予感がした人も居たようなのですが、この時点では7月の発売を心待ちにしていた方がちらほら見かけていた記憶があります。

そしてその予感は見事的中し、2012年6月発売の『スパイダーマン:ヴォルト』のWEB解説にて、またも発売日未定の状況に逆戻りしたのでした。

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大丈夫と言われても不安しか感じなかった文面

その後2012年7月に発売した『オールスター:バットマン&ロビン ザ・ボーイ・ワンダー』ではそもそもクライシス・オン・インフィニット・アースの邦訳が出ていないのにクライシスシリーズの続刊が決定。
肝心の本が出ていないのに宿題を増やしまくるヴィレッジに当時困惑したものです。
そして同年10月発売の『ニューアベンジャーズ:シビル・ウォー』にてクライシス邦訳どころか続刊決定のアナウンスも削除。
「結局発売中止になったんじゃないか?」と思わせる展開になっていったのです。
一応12月に石川裕人氏がツイッター上でクライシスの邦訳も進めているとのツイートをしていたため、中止でないことは分かってホッとはしたのですが……

ここからず~っと邦訳版クライシスの情報はストップしてしまうのでした。

ですが、2013年10月に開催された『海外漫画フェスタ』にてようやく新たな動きがあり、ヴィレッジブックスのブースにて『クライシス・オン・インフィニット・アース』の翻訳作業が現在もキチンと進んでいることが改めて明らかに!会場では邦訳済みの第1話も公開していたとか。

それでもこれ以降、またもクライシスの明確な発売日は判明せずに一年以上やきもきさせられる日々が続いてしまうのですが……2014年11月発売の『ダークアベンジャーズ:モレキュールマン』にてクライシスの邦訳がついに再アナウンスされ、2015年3月発売の『ニューアベンジャーズ:シージ』にて2015年4月30日発売と予告、実に4年もの延期を繰り返してようやく邦訳版が刊行されたのでした。
長かったーーっ!!

本書のかつてないボリュームについてはいちいち説明するよりも石川裕人氏の画像付きツイートの方がダイレクトに伝わると思うのでそのまま引用。
全560ページという分厚さは伊達じゃないぜ!


◆50YEARS IN MAKING, 30YEARS OF FOLLOWING
本作は無数に存在するマルチバース(多元宇宙)が初登場の強大なビラン・アンチモニターの手により、アース-1、アース-2、アース-4、アース-S、アース-Xの5つを残すのみとなってしまい、最終的にはそれら5つの世界も統合され、新たな世界が生み出されてしまうというスケールの大きすぎる大規模イベント。
DCコミックス創立50周年を記念した看板作品ではあるのですが、本作の目的の一つには並行世界を増やしすぎてごちゃごちゃしてきた設定の単純化も兼ねてたり。
本作『クライシス・オン・インフィニット・アース』でのアンチモニターとの激闘を経て、DCユニバースは根底から作り変えられる事になるのです。

10億年前に誕生した宇宙の守護者、モニターが自らの分身であるアンチモニターの魔手から多元宇宙を救うべく、右腕である助手のハービンジャー、ある並行世界の地球出身の呪われた不死者・パライア、そしてアース-3のルーサー夫妻の息子であり、正反物質を併せ持つ体を持った事件解決の鍵となる人物・アレクサンダー・ルーサーJr.と組み、様々な並行世界から数多くのヒーローを招集して宇宙消滅を喰い止めんとするというストーリー。

アンチモニターとの決戦
アンチモニターは10億年前にモニターに呼応して誕生した邪悪の化身
正宇宙の消滅によって活力を得ることが出来るために、正宇宙の消滅をひたすら追い求める凶悪な存在

本作初出のぽっと出の並行世界もあるとはいえ、基本的にはそれまでコミックにも登場して色んなストーリーが描かれてきた世界がアンチモニターによって容赦なく消滅させられていく展開はなかなかにショッキング。なんかもうちょっと読み進めるだけですごい数の地球が消え失せてしまってます。怒涛の展開すぎる……
802キャラクターというすさまじい数の登場人物が話に関わってくるのですが、それだけに犠牲者の数も多く、有名ヒーローまでも死亡してしまう曇り展開が目白押し。

しかし、宇宙消滅の危機とあってこの時ばかりはアンチモニター打倒のためにヒーローとビランが一時的に手を組むというアツいシーンも盛り込まれていて、これがベタながら本当に盛り上がります。
登場人物の多さと様々な多元宇宙を扱ったスケールの大きい作品であるため、一見するとややこしく難解そうな印象のある一作ですが、マーブ・ウルフマンの描いたストーリーは実にド直球のヒーロー賛歌で、スーパーマンを救うために単身アンチモニターに飛びかかるスーパーガール、敵兵器の反物質砲を止める為に生涯最高のスピードを出して反物質エネルギーを逆流させるフラッシュことバリー・アレン、戦士たちを鼓舞するために演説するアンクル・サムなどなど名シーンがてんこ盛りでした。

ジョージ・ペレスのアートの描き込みも尋常じゃなく、殆どのページの1コマ1コマに大量の登場キャラが詰め込まれているのが当たり前という凄まじさ。
この作品は1話製作にどれだけの時間が費やされているんだ……!?

◆感想
アンクル・サムの演説
決戦前のアンクル・サムの演説

何もかもが規格外な一冊だけあって、ストーリーも解説ページも全てが読み応えあり過ぎる邦訳だった!
6000円越えというコミックに出す値段としてはちょっと躊躇してしまうであろう価格設定ですが、作品としても(1985年頃の)DCコミックスの資料としても満足の行く内容なので、まず間違いなく買って損をする一冊ではないでしょう。
まあ高いのは事実だから財布がクライシスすることは確かですけど!

本作で数々の並行世界が消滅し、代わりに生まれた新たな世界「ニューアース」(昔は正式名称が無く便宜上「ポスト・クライシス・アース」と呼ばれていた)では様々な作品が再スタートを切り、2011年の「ニュー52」で世界観が一新されるまで実に25年間もの間続いていくことになるため、この一つの区切りとなる一大イベントを抑えておく意味でもオススメ。

それにしても延期を繰り返していた時は「なんでこんなに時間がかかってるんだ」と思ったものですが、発売された邦訳本を読んで納得。本編のボリュームもそうですがキャラの多さや本編の長さもあって解説パートのテキスト量が尋常じゃなく、さらに独自に全タイインのあらすじまで収録するとなるとそりゃ4年もかかって当然ですね……解説を執筆するための下調べに相当な時間を費やしていそう。

余談ですが、本作5話目にはあのピーター・パーカーがカメオ出演している1シーンが有るので、探してみるのも一興かも?
ちなみに僕は普通にスルーしていて巻末のキャラ解説でようやく気づきました。
正直アーティストがコロコロ変わるアメコミで素顔での登場じゃピンと来ないよ!
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2 Comments

アウル  

4年もかけて出来たのが、資料豊富な元より分厚い物体・・・翻訳アメコミに新たな伝説を築きましたな(; ゚∀゚)

最近は、小プロもヴィレッジも出しすぎてその内力尽きるんじゃないかと不安になる今日この頃。

2015/05/02 (Sat) 21:00 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>アウルさん
>その内力尽きるんじゃないかと不安になる今日この頃。
大丈夫でしょ…大丈夫でしょ!
最近ニッチな所を攻めた邦訳も多いけど流石にちゃんと販売戦略を練った上で発売してるはず…!

2015/05/04 (Mon) 20:32 | EDIT | REPLY |   

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