ツルゴアXXX

ARTICLE PAGE

05 2013

ぼくは怖くない

僕は怖くないぼくは怖くない
【原題】Io non ho paura 2003年【伊】


ニコロ・アンマニーティの同名小説を映像化したイタリア映画であり、作者はこの映画版の脚本にも参加しております。
ジャンルとしては『ドラマ』、それに若干のサスペンス要素を加えた一作。

1978年のある夏の日。舞台は南イタリアの、たった5軒の家しかない片田舎の貧しい村。
村に住む六人の子供たちは自転車に乗り、田舎道を駆けぬけて遊んでいる。
母親と妹の三人で暮らしている10歳の少年・ミケーレはある日、廃屋の裏に不自然に塞がれた穴を偶然見つける。
好奇心からその穴の中を覗くと、そこには鎖に繋がれて衰弱しきった少年が横たわっていた。
その衝撃的な光景はミケーレにとって恐ろしいものであり、友達はおろか両親にも相談できずに抱え込んでしまう。
そうして眠れない夜を過ごしたミケーレは、恐怖と好奇心が入り混じった気持ちを抱えて穴に戻り、中にいる少年・フィリッポに勇気を出して話しかけた。
自分が死んでいると思い込み、最初は意味不明な言葉ばかりをしゃべっていたフィリッポだが、やがて心を開きはじめ、ミケーレと同じ10歳の小学生だということがわかる。
その痩せ細った姿に同情し、水や食物を差し入れするミケーレを、フィリッポは「守護天使」と呼びはじめる。
彼にとってミケーレは、外の世界には太陽と新鮮な空気があり、まだ人生は続いていると教えにきてくれる大切な友達になった。
同じ頃、ミケーレの大好きなパパが出稼ぎから帰ってくる。
一家団欒の幸せな時も束の間、ミケーレの周りに異変が訪れ始めた。突然家にやってきたブラジル帰りの粗野な男セルジオ、村の“ワル”フェリーチェなど大人たちが家に集まり、言い争いをしている。その様子を盗み聞くことで、あの穴の中の男の子と関係のある恐ろしい “何か”に気付き始めるミケーレ。大切な家族が、何か「とんでもないこと」に関わっているかもしれないという考えは、なかなかミケーレには受け入れられない。しかしフィリッポを助けるために、“精一杯の想像力”を膨らませてこの現実と向き合わなければならなかった。

…というのが本作のあらすじ。
夏のイタリアの片田舎の風景と元気いっぱいに道を駆け抜ける少年少女の画が非常に美しく、ノスタルジックな気分に浸ってしまい思わずため息が漏れそうになるのですが、その一方で少年の親たちが『何かとんでもない事件に関わっている』という不穏で残酷な現実も描かれていきます。
この相反する2つの要素が絶妙なバランスで保たれており、見ていて不思議な気分にさせられてしまうだけでなく、主人公のミケーレの心の葛藤や緊張感もひしひしと伝わってくる。
こういう独特な雰囲気の犯罪ドラマにはなかなか出会えないと思う。多くの人の目に触れてほしい一作です。

 
関連記事

0 Comments

Leave a comment