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16 2014

羊たちの沈黙

羊たちの沈黙羊たちの沈黙
【原題】The Silence of the Lambs
1991年【米】


トマス・ハリスの同名小説を脚色して映像化したサイコ・サスペンス映画の名作。

あらすじはこんな感じ。
FBIアカデミーの訓練生であるクラリス・スターリングは、若い女性の皮を剥ぎ、その死体を川に流すという連続殺人鬼バッファロー・ビルの捜査に行き詰まった上司のクロフォード主任捜査官から密命を帯び、精神病院に隔離された食人嗜好の天才精神科医ハンニバル・レクター博士を訪ね、ビルの心理解析を依頼する。
初めはレクターの明晰さと同居する薄気味悪さにたじろぐクラリスだったが、自分の相手への興味を利用し、過去を語るのと引き換えに事件捜査の手がかりを少しずつではあるが引き出すことに成功するようになっていく。
そんな時、上院議員の愛娘キャサリン・マーティンがビルと思われる人間に誘拐されたことで捜査態勢が一変。また、精神病院院長のフレデリック・チルトン医師がクラリスがレクター博士と接触する理由に気付き、自分の出世欲のためにレクター博士を牢内から出し、自らの陣頭指揮の下に大々的に捜査を始めることに協力するのだが……

主人公のクラリスが連続殺人鬼ビルを追い詰めていくというサスペンス物である一方で、精神科医のレクター博士との交流を通し、彼女の持つトラウマの分析と治療行為が行われる物語も描かれていくのが本作『羊たちの沈黙
レクター博士によるチルトン医師への復讐もサブストーリーとして展開。

レクター博士は『犯人はただの性的倒錯者ではなく、自分自身を嫌って変身を望んでいる男だ』と分析。その変身願望のメタファーとして作中には『蛾』(正確にはメンガタスズメ)が登場します。
またクラリスの抱えるトラウマ……それは父親の死後預けられた叔父の家で羊たちが屠殺される現場を目撃し、未だに「羊たちの悲鳴」が夢に出てくるという物なんですが、本作のタイトルと正反対になっているのに注目。
こんな感じで本作には意味深なセリフ回しや演出が多く、また作品の展開を暗示させる要素も多め。
「クラリスの口に蛾がとまっている」という本作の印象的なポスターも、実は作品の結末を表したものだったり。

サイコ・サスペンス物の走りであり、名作と呼ばれるだけあって題材が猟奇殺人でありながら絶妙な空気感に支配されており心地良い映画でした。グロテスクな描写も(人によっては充分キツいレベルではあるんだろうけど)スプラッタ物にならない程度に抑えられていて、とにかく作品の雰囲気を壊さないよう配慮されている。
レクター博士役のアンソニー・ホプキンスの怪演っぷりといい、クラリス役のジョディ・フォスターの感情の機微が伝わってくる演技といい、派手な描写が少ない作品なのに二人の駆け引きだけで最後までダレることなく一気に鑑賞出来ました。

 
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