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22 2014

アリス

ヤン・シュヴァンクマイエルのアリスアリス
【原題】Něco z Alenky 1988年
【瑞西・チェコ・英・アイルランド】


散らかった部屋で少女アリスが人形で“アリスごっこ”をしていると、ガラスケースの中のウサギが突然動き出した。慌てて駆け出していった白ウサギの後をアリスは驚きながらも追いかけることにした。
するとアリスは、インクやクッキーを食べて大きくなったり小さくなったり、自分の流した涙で溺れそうになってしまったり、白ウサギにはメアリー・アンと間違われ、奇妙な動物たちに襲われたりと、次々と不思議な出来事に遭遇するのだった……

チェコアニメの伝統を無視し、独自の感性と技法で作品を発表して世界に評価された異端児である映像作家、『ヤン・シュヴァンクマイエル』が作った初の長編アニメーション作品。最初は短編連作として制作し、実に3年もの歳月を費やして完成させたとか。
見ての通りルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』を原作としているのですが、本作『アリス』は単なる映像化ではなく、シュヴァンクマイエルのいかがわしく悪趣味な妄想がこれでもかと噴出した一作です。
アリス役のクリスティーナ・コホウトヴァー以外の登場人物は全て人形となっており、生身の役者と人形のストップモーションを組み合わせてストーリーを展開。人形たちの造形の不気味さと原作以上にシュールに脚色された世界観があわさり、何とも不気味な雰囲気なのが特徴的。
ただまあレビューでよく見るダークな世界観というよりは、何もかもが不条理過ぎて理解がおっつかないのが気持ち悪いという感じでしょうか。
机の引き出しが不思議の世界に繋がり、目がギョロギョロとしている剥製のウサギが動き出し、靴下は不気味な芋虫に変化。骨をむき出しにして襲いかかる動物たちや小さな人形に変化してしまうアリスなど、出てくる登場人物が強く印象に残るものばかり。

シュヴァンクマイエルの類い希なる撮影技法と、彼の悪趣味なイマジネーションから生み出された奇想あふれる世界を存分に堪能できる映画です。
ちなみに原題の『Něco z Alenky』とは「アリスの何か」という意味だとか。

 
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