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20 2014

エスター

エスター予告編エスター
【原題】Orphan 2009年【米・カナダ・独・仏】


三人目の赤ん坊を死産して悲観に暮れるケイトとジョン。その悲劇は二人の結婚そのものを揺るがすだけでなく、悪夢にうなされ、辛い過去に悩まされるケイトの脆い神経にも打撃を与えていた。表面だけでもなんとか普通の生活に戻そうと必死の夫婦は、養子を迎えることを決意。そして訪れた地元の孤児院で、彼らはなぜかエスターという名のひとりの少女に惹きつけられる。
だが、引き取った後でエスターの恐ろしい本性に気付き始めたケイトは、家族の身の安全を守るため、ジョン達にエスターノ愛らしい外見の裏に何が隠されているのかを知らせようとする。
しかし、彼女の必死の警告は聞き入られないまま時間だけが過ぎていく……

***

『邪悪な子供』が周囲の人間を襲っていくという一見するとよくあるタイプのホラーなんですが、本作のメインキャラクターであるエスターは『エクソシスト』『オーメン』のように何かしら悪魔的な力を持っているタイプの子供ではなく、あくまで『反社会性人格障害』を抱えた人間というのがミソな作品。
そのためさっき挙げた二作品とは怖さのタイプが違い、異常な人間が普通の人々に紛れ込む恐怖を描いているサイコサスペンスです。

新たな家族、エスターを迎えたことで楽しい新生活がスタートするかと思いきや、少しずつエスターの奇行が目立ち始めるというストーリー。
ケイト達の幸せなはずの生活が少しずつ崩壊していく様をそれはもうじっくりと見せられます。
ビックリ演出や唐突な出現で怖がらせるタイプのホラーではなく、真綿で首を締められるようなじわじわとした恐怖なのがホントにもう……

そして終盤でのエスターの正体判明シーンは本当に衝撃的。初見時はあまりの事実に寒気がしました。
これを知ってから映画を見直すと丁寧に伏線が散りばめられていた事にも気付くでしょう。そしてエスターの行動力にも納得。
あまり詳しく書くとどんどん作品の魅力が削られていきそうなんで、本作のレビューはちょっと抑え目にしておきます。メッチャ怖いけど面白いよ!名作だよ!

あと本作には『別エンディング』なるものが存在しているんですが(DVDの特典映像として収録)、個人的にはこちらの方がエスターの狂気がより強調されていて好みな終わり方。
いや話的には通常のエンディングの方がスッキリしてますけど、良くも悪くも普通に終わる通常版と違って別エンディングはなかなか厭な気分になれるんで。

どうしても書きたい文があるのですが、重大なネタバレになるので以下反転で。
ホルモンバランスが崩れた所為で成長が止まり、家族にも見捨てられた結果、異常なまでの家族愛に飢えているエスターの境遇には正直同情します。
そのため彼女は子供を装って孤児院に潜り込み、引き取られるのを待ち望んでいると。
しかし父親への愛情と恋愛的な意味での愛情を混同しているため、ジョンにその愛を拒否されると、かつて引き取られた家で父親の誘惑に失敗した時と同じように暴走して殺害してしまう。
サイコパスではあるけれど、その行動原理自体は理解できなくもなくて可哀想な存在だと思いました。


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