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05 2014

マイ・ブラザー

マイブラザー予告編マイ・ブラザー
【原題】BROTHERS 2009年【米】


サムとトミーは2人きりの兄弟だが、対照的な人生を送っていた。アメフトのスター選手として学生時代を過ごした兄のサムは、チアリーダーのグレースと結婚、2人の娘に恵まれる。その後、米軍大尉として功績を残し、人望も厚い男だった。
一方、弟のトミーは、長年定職にも就かず、挙句の果てに銀行強盗で服役する。トミーの出所日、サムは数日後に戦地への出発を控えていたが、車で弟を迎えに行く。だが、出所したトミーの居場所はどこにもなかった。元海兵隊の父・ハンクは厄介者の次男に辛辣な言葉を投げつけ、グレースと娘たちも彼への嫌悪を隠そうとしない。トミーが唯一心を開くのは、母親を亡くし、寂しい子供時代を共に支え合ったサムだけであった。
ところが、サムが戦地へ旅立って間もなく、サムの一隊がアフガニスタンで撃墜されたとの知らせが届く。現実から逃げるかのように酒に溺れるトミー。そんな彼は次第に、兄が何よりも大切にしていたグレースと娘たちを、自分が支えなくてはと思い始める。以前からグレースが使いづらいと嘆いていたキッチンのリフォームを進めるうちに、娘たちは徐々に笑顔を取り戻し、最初は迷惑そうだったグレースの気持ちも救われていく。
グレースの誕生日にキッチンを完成させてからも、トミーは手直しを口実にグレースたちを訪ねる。そしてある夜、初めて本音を語り合ったトミーとグレースはどちらからともなく唇を重ねるのだった。
罪悪感を覚えながらも、互いに惹かれていく2人に、ある日一報が届く。サムが生きていたのだ。グレースやトミーたちは、空港に降り立つサムの痩せ細った姿に驚きながらも再会を祝う。だがサムは、もはや以前のサムではなかった。突然わけもなく激怒しては娘たちを脅えさせ、やがて彼は、執拗にトミーとグレースの仲を疑い始めるのだった……

***

2004年のデンマーク映画『ある愛の風景』をハリウッドでジム・シェリダン監督がリメイクしたもので、家族の崩壊と再生が情感豊かに綴られていく作品。
サムを演じるトビー・マグワイアの熱演は必見。スパイダーマンのイメージが強い俳優だったけど、戦争で負ったトラウマにより性格が激変するという難しい役でありながら見ていて圧倒される演技をこなしており、なんというか新しい一面を垣間見た気がする。

死んだ(と思われていた)兄のサムに代わり、弟トミーが心を入れ替えて兄の家族を支えるようになり、その甲斐あって次第に周囲に馴染み始める下りは心暖まる。
が、そこに兄のサムが帰還しただけでなくいつ爆発するかわからない別人のような性格に変わってしまい、なんとも言えない気まずさが漂いはじめてしまう家族。
悲しみを乗り越えて幸せを掴んだと思ったら、サムの帰還により別の問題が新たに浮上してしまうんですね。この居心地の悪い空気感の演出が実に見事で、非常に重い。

戦争がもたらす悲劇と家族の絆が丁寧に描かれる良作です。単純な家族愛の話では決してなく、兄弟間で渦巻くリアルな愛憎劇に焦点があてられているため緊張感がある一作。
ラストはちょっと尻切れトンボというか、「これで終わりなの?」感があり少し後味の悪さが残るのですが、希望がある締めくくり方ではあります。オススメ!

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