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12 2015

スコット・スナイダー&グレッグ・カプロ他/バットマン:ゼロイヤー 陰謀の街(THE NEW 52!)

バットマンゼロイヤー陰謀の街表紙

「父さん…もう…ダメかも。できると思ってたけど大間違いだった…
 資産を食いつぶしただけ。これじゃ勝てない。
 別の何かが必要なんだ。意義のある存在が。
 でも、どうすればいいんだ?これ以上待てない。見せてほしい、頼む…」
「ああ、そうか」
「父さん、僕は…コウモリになるよ」


ゼロイヤー・・・・・・
それは、バットマンが誕生した年。


ゴッサムの闇のなかから、正体不明の怪人物が現れる。
レッドフードと名乗るその男は、暴力的な脅迫手段を用いて
一般市民を自分の仲間に加え、略奪と殺人を繰り返す。
彼らの犯行は一見無差別に思えたが、
実はその裏には大いなる計画が隠されていた。
彼はウェイン産業を操ることで、
ゴッサムの息の根を止めようとしていたのだ。
レッドフード・ギャングの蛮行を阻止するためには、
ブルース・ウェイン自身も、恐怖を武器として
戦う方法を学ばねばならない。
ブルースは放浪生活を捨て去り、
もっと大きな存在、もっとダークな存在へと
生まれ変わる必要がある。

そう、彼はコウモリにならねばならない。


◆関連作品過去記事
【バットマン イヤーワン/イヤーツー】
【バットマン:梟の法廷】
【バットマン:梟の街】
【バットマン:梟の夜】
【バットマン:喪われた絆】
【ジョーカー:喪われた絆〈上・下〉】

◆収録作品

2013年08月:Batman Vol.2 #21
2013年09月:Batman Vol.2 #22
2013年10月:Batman Vol.2 #23
2013年12月:Batman Vol.2 #24
※「Batman Zero Year: The Director's Cut #1」も同時収録。


◆WHAT DO YOU WANT WITH THIS CITY, BATMAN?!
多くの作品が第1話から仕切り直されることとなったDCの大規模リランチ『ニュー52』。
バットマンも例に漏れず設定やキャラクターデザインを現代風にアップデートし第1話から再スタートを切ったわけですが、バットマンに関しては他の多くの作品とは異なり「設定や直前のストーリーの流れをある程度引き継いだ」特殊な扱いで再連載が始まっていました。
(厳密にはバットマン以外にもグリーンランタン誌など直前のストーリーを引き継いだ作品はちょこちょこあるのですが本記事ではスルーで)
そのため、「ニュー52以前の出来事はどこまで修正されているのか」「どの事件が起こった事になっているのか」がわりと不透明だったんですよね。

そこに本作『バットマン:ゼロイヤー 陰謀の街』の発売!ニュー52版バットマンの誕生秘話(オリジン)に迫るというかなり重要なエピソードですよ!
リランチ前のバットマン誕生秘話は80年代にフランク・ミラーが手がけた『バットマン:イヤーワン』が決定版として扱われている状態だったんですが、ニュー52に突入して時代やバットマン周りの設定も変化したのも合わさり、今回ついに語り直しが図られました。

本作の時系列は現代ではなく6年前。ブルース・ウェインがまだ25歳という年齢の頃の物語。
『ジャスティス・リーグ:誕生』が5年前という設定の物語だったのですが、本エピソードはさらに1年も昔の出来事。
つまりこれまでのバットマン史がたった6年という歳月に詰め込まれたというわけですね。
結構無茶な事やってる感じがしますし、後になってニュー52でティムが3代目ロビンだった事は無いという設定に変更されたのも少し納得。

しかしそれでもブルースの年齢設定が若くなりすぎたおかげで「初代ロビンのディックは何歳でサイドキックになったのか」とか、
「ジェイソンが何時ロビンをやってたのか」とか、
「ティムがいつ頃レッドロビンとして活動を始めたのか」とか本気で考えるとよく分からなくなってくる部分はちらほらあるんですが、そこらへんの細かい事はあんま気にしないほうがいいんでしょう。その内判明するでしょうしね。

青臭いブルース

前置きはこのくらいにして本編ストーリーの内容を軽く。
幼い頃に両親が強盗に襲われて死亡した事件をきっかけに、一生を懸けて悪と戦う事を決意した青年、ブルース・ウェイン。
彼は数年間の放浪生活の中で一対多で生き残る戦闘技術などを会得し、ゴッサムに帰ってきた。
そしてまずはゴッサムに突如として現れた『レッドフード・ギャング』という集団との戦いに勤しむわけなんですが、毎回リーダーの確保にまでは至らずイタチごっこを続ける羽目に。
何年もの間連絡も取らず、急にふらっと帰ってきたかと思いきや毎回特殊メイクで自分の正体を隠し、街のギャングと戦う毎日を送ろうとするブルースにアルフレッドは不快な顔をする始末。
犯罪と戦うために各地で訓練をし、ようやく準備が整ったかと思いきや全く勝利への道が見えず、自信を失って行き詰まってしまったブルース・ウェインは、如何にして『バットマン』になり得たのか?

レッドフード1の人生観

本書前半ではレッドフード・ギャングとそのリーダー、レッドフード1との戦いが描かれ、後半からはリドラーことエドワード・ニグマとの頭脳戦にシフトしていく構成となっています。
といっても気になるリドラーとの対決は次巻に持ち越されているため、本書のメインヴィランはレッドフード1なんですけれどね。
ちなみにレッドフード1の正体は明かされないまま終わるのですが、バットマンに詳しい人ならレッドフードという単語ですぐピンと来たであろう、その正体はバットマンヴィランとして超有名なあのお方。
このキャラのオリジンも本作でさらりと上書きされちゃってるんでそこにも是非注目!

◆感想
面白い。面白すぎる。
スナイダーバットマンのストーリーにはハズレがないと思ってましたが、ここまでクオリティを保ち続けてくれるとは思わなんだ。
フランク・ミラーの『イヤーワン』がひたすらに渋くリアリティとハードボイルドを追求していたのに対し、スコット・スナイダーの『ゼロイヤー』はイヤーワンをリスペクトした演出を盛り込みつつも、新しい要素やクールでスタイリッシュな展開を魅せまくるエンタメ要素が強めな一作となっています。
言ってしまえば『焼き直し』であるはずなのに、こうも新鮮でドラマティックなエピソードに生まれ変わるとは。

予備知識不要な内容なので、ニュー52版バットマンはこの作品から読み始めるのもアリかもしれない!
本書は前述したとおり前後編の内の前編であるため(詳しく言うと「シークレットシティ」「ダークシティ」「サベッジシティ」という3パート構成だったものを単行本では2分冊構成としてリリースした)、一刻も早く後編タイトル『BATMAN Vol.5: ZERO YEAR - DARK CITY』の邦訳をお願いしたい所です。
【バットマン:ゼロイヤー 陰謀の街 補足】
【P.49でニグマが説明した古代エジプトのゲーム盤の元ネタ】

エドワード・ニグマとの初遭遇

ちなみに『喪われた絆』と『陰謀の街』の間のエピソード、#18-20が何気にカットされているんですが、これは原書TPBも同じとのこと。一連のストーリーと関わりが薄いためなのかな?
#18はこの前邦訳もされたダミアン死亡エピソード絡みの短編で、#19#20はクレイフェイスと戦うエピソードだとか。

※2015年5月28日追記:原書TPB6巻に収録された模様です。


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2 Comments

No Name  

何気に映画版からイヤーワン、初代作品とかのオリジンを物語りに交えながら新生バットマンのストーリーを組んでるのが凄いですね。

流石に実写映画版は無いみたいですけど・・・w

2015/03/18 (Wed) 23:51 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>No Nameさん
拾えるものは拾いつつもしっかり新鮮味のあるシナリオになってるのはホント素晴らしいですよねー。

2015/03/20 (Fri) 16:12 | EDIT | REPLY |   

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