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11 2015

ジェフ・ジョーンズ&ゲイリー・フランク/シャザム! :魔法の守護者(THE NEW 52!)

シャザム魔法の守護者表紙

「急がねば…奴が迫っている。魔法の言葉を唱えるのだ。
 さあ言え、“シャザム”と!」

「シャザム?…何も起きないけど」
「決意と信念が必要なのだ。そして善の心も。
 両親と家族を想え。さすれば、お前は理想の姿へと変身できる。
 もう一度言え!」

「シャ…SHAZAMシャザム!!」

“シャザム!”
……その名は力を呼ぶ魔法の言葉。


“魔法”が栄えていた時代は終わり、世界は何世紀にもわたって科学に支配されてきた。今、一人の少年によって“魔法”が蘇ろうとしている。
少年の名はビリー・バットソン。15歳のどこにでもいる問題児だ。彼はやさぐれた態度の奥に、善の心を隠し持っていることを見込まれ、古の力を受け継ぐ者として選ばれたのだ。しかし一方で、古来の眠りより目覚めた邪悪な存在、ブラックアダムがビリーの力を狙っていた。迫り来る脅威に立ち向かうため、ビリーは“シャザム!”と唱える……すると心は少年のまま、身体は大人のスーパーヒーローへと変身した!
彼は街を、仲間たちを守ることができるのか?


◆収録作品

2012年05月:Justice League Vol.2 #7
2012年06月:Justice League Vol.2 #8
2012年07月:Justice League Vol.2 #9
2012年08月:Justice League Vol.2 #10
2012年09月:Justice League Vol.2 #11
2012年11月:Justice League Vol.2 #0
2013年01月:Justice League Vol.2 #14
2013年02月:Justice League Vol.2 #15
2013年03月:Justice League Vol.2 #16
2013年05月:Justice League Vol.2 #18
2013年06月:Justice League Vol.2 #19
2013年07月:Justice League Vol.2 #20
2013年08月:Justice League Vol.2 #21


◆This is no task for someone like you.
DCのニュー52の邦訳は主に小プロのバットマンを中心に色々刊行されてきましたが、今月7日には意外なタイトルが邦訳&発売されました。
その作品とは、日本ではまだまだ知名度の低いスーパーヒーロー、『シャザム』を主役とした『シャザム!:魔法の守護者』
過去の邦訳本では一応ちょくちょく姿を見せることはありましたが、主役となる作品の邦訳は今回が初。
(※厳密には『月刊スーパーマン』という雑誌で一部のエピソードが翻訳されていたりするのですが割愛)
本作『シャザム!:魔法の守護者』は、元々はニュー52版ジャスティス・リーグ誌に同時に連載されていた物を纏めた一冊となっています。

主人公、シャザム(ニュー52以前はキャプテン・マーベルという名前)ことビリー・バットソンはまだ15歳の高校生。
子供でありながら両親が不在という厳しい環境で苦労しながら育ち、時にはテレビやラジオのリポータとして活躍する心優しい男の子。
しかし、ひとたび「シャザム!」と唱えると、ビリーは逞しい大人の姿に変身し、魔法の戦士キャプテン・マーベルとして悪と戦うのだ!……というのが旧来のビリーのキャラクター。

さて、そんな優しい性格の主人公、ビリー・バットソン。
クロスオーバーイベント『フラッシュポイント』を契機に世界観を一新し、ストーリーも改めて第1話から語り直される事になったニュー52の世界ではビリーがどういうキャラに変化したかというと……
軽犯罪に手を染めたり、里親の元から脱走したり、大人たちに憎まれ口をきく悪童になっていました。

悪童ビリー・バットソン
これには善なる戦士を探していた魔術師・ウィザードも呆れ顔

しかし本作のライターは『ニュー52版ジャスティス・リーグ』誌や『バットマン:アースワン』等を手がけた実力派であるジェフ・ジョーンズ。単に読者の目を引くためだけにビリーをすれた性格に変更したわけではなく、内容を現代的にしつつ過去作とは違う方向から主人公の成長を描き、“家族”というテーマも盛り込みながら魔法が核となるシナリオが展開されていくようになっています。

不幸な生い立ちによりひねくれた態度を取るようになり、人間関係の構築を拒絶するようになった問題児のビリーは、魔術師ウィザードに心の奥底に善の心を持っている事を見込まれて魔法の力を与えられて図らずも彼の後継者に。
そして世界を支配しようとする魔法戦士のヴィラン、ブラックアダムと戦う使命を言い渡されるのですが……案の定そんなことはお構いなしにさっそくシャザムに変身し、スーパーパワーを使って自由気ままに振る舞うのでした。

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テンションが上って思わず変なポーズを取るビリー君

子供であることの抑圧から解放されて大はしゃぎしまくるビリー・バットソン。
しかしこの後彼の前にブラックアダムが現れ、スーパーヒーロー『シャザム』であることの責任を目の前に突きつけられてしまうのです。
主人公ビリーが葛藤し、どのような行動を取ってヒーローとして成長していくのかというのも本作の大きな見どころの一つ。

◆感想
超面白かった!
上記ではヒーローとしての成長譚の部分を評価しましたが、本作のもう一つのテーマである「家族としての物語」も非常に丁寧に描かれていてほろりと来る。
多くの養子を迎えているバスケス家に引き取られ、血の繋がりの無い5人のきょうだいが一気に出来たビリー。
始めは家族の一員になる事を拒否するのですが、作中で起こる事件をキッカケに少しづつ距離を縮めていく。

擬似家族バスケス家

「家族愛」をストーリーの主軸に置きながらビリーの精神面の成長を細やかに描写しつつ、少年漫画的なアツいストーリーに持っていくジェフ・ジョーンズの脚本はホントに素晴らしいです。
あと結構コミカルなシーンが多めなのも楽しい。

本作だけでオリジンからヴィランであるブラックアダムの決戦までを綺麗に描き切っているため、前知識は一切不要!
まあ最後の最後に新展開の伏線は張られるのですが、かなりオススメの一冊です。
ゲイリー・フランクのアートはかなり写実的で濃いものの、この方の絵はコミックというより1本の洋画を見ているような気分に浸れるので個人的にはお気に入り。
これ以降のシャザムの活躍は後に控えるクロスオーバーイベントや同じくジェフ・ジョーンズがライターを務めるジャスティス・リーグ誌に移っていくため、ニュー52版ジャスティス・リーグの邦訳を買っている人には是非押さえてほしいかも。

ちなみにシャザムに興味を持った人向けに、本書の翻訳に携わった内藤真代氏が自らブログ上で詳細な解説や関連作品のレビュー記事をアップされています。
特にシャザムの歴史は非常に長く、その中でちょっとした事件もあったりと色々とややこしい事になっているので、解説書と併せてこちらも要チェック。

【キャプテン・マーベル/シャザム入門編:基本設定とオススメ作品】
【The New 52 SHAZAM! 〜もうひとつのクリスマス・キャロル】
【シャザム/キャプテン・マーベル関連おすすめ作品リスト【コミック編 Part.1】】
【シャザム/キャプテン・マーベル関連おすすめ作品リスト 【コミック編 Part.2】】
【シャザム/キャプテン・マーベル関連オススメ作品リスト【映像作品編】】

◆小ネタ

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