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07 2015

ダーウィン・クック/DC:ニューフロンティア〈上・下〉

DCニューフロンティア上表紙 DCニューフロンティア下表紙

『国内では、議会の“公聴会”によって
 共産主義や“非米的活動”に関与する者を洗い出そうとする圧力が高まった。
 覆面の冒険者達は無法者、
 破壊分子と非難され公衆の面前で覆面を取るよう要求された。
 ジャスティス・ソサエティは引退し、他の多くも同じ道を辿った。
 一部は人類の管理できる範疇を越えており…
 一部は天真爛漫な愛国者で、
 笑顔で別れの手を振って周囲との接触を絶ったが…
 ごく少数は信念を胸に狡猾に立ち回り、逮捕を避け続けた。
 国内の緊急事態はチャレンジャーズ・オブ・ジ・アンノウンや
 政府配下のタスクフォースX、別名“スーサイド・スクワッド”などの
 超常対策チームに委ねられた。
 フランス領インドシナでアメリカの外交姿勢を秘密裏に具現化したのは、
 半神と異星人だった。
 両陣営に核兵器がある以上、大規模な軍事作戦は論外だが、
 超大国は己のイデオロギーを示す場を求めていたのだ。
 そして頭上に目を向ければ、
 人類は科学技術の発達によって
 地球という揺りかごを離れる力を得ようとしていた。
 アメリカにとっては、空の支配権を巡る共産主義者との競争でもあった。
 どんな人物が…どんな新世代のヒーローが
 このニューフロンティアでアメリカを率いていくのだろうか?』


ニューフロンティア

1953年、赤狩り、朝鮮戦争を経て、アメリカは新たな時代へと突入しようとしていた。その一方で、戦後、わずか一握りを残して姿を消したヒーロー達にも、新世代が生まれようとしていた。アメリカが向かう新時代とは、その時代を担う新たなヒーロー達とは……時代は今、新たな地平へと向かって動き始める。
『ビフォア・ウォッチメン:ミニッツメン』で注目されたダーウィン・クックの出世作、ついに日本上陸!コミックスのシルバーエイジの到来を当時の社会と重ねて描き、アイズナー賞、ハーベイ賞を受賞した感動作!


◆収録作品

○上巻
2004年03月:DC: The New Frontier #1
2004年04月:DC: The New Frontier #2
2004年05月:DC: The New Frontier #3

○下巻
2004年07月:DC: The New Frontier #4
2004年09月:DC: The New Frontier #5
2004年11月:DC: The New Frontier #6


◆EDGE OF A NEW FRONTIER
ニューフロンティア裏表紙

カートゥーンテイストの絵が魅力のアーティスト、ダーウィン・クックがストーリーとアートの両方を担当した2004年の名作ミニシリーズ、『DC:ニューフロンティア』がまさかの邦訳!

本作は正史ではないエルスワールド物であり、主要なヒーローが1950~1960年代に登場したという設定の『アース-21』が舞台。
50年代に猛威を振るった赤狩り、そして若き大統領ジョン・F・ケネディが率いていた希望の60年代を、ゴールデンエイジからシルバーエイジへと移り変わっていくDCコミックスの歴史と重ねあわせて描かれているのが大きな特徴。
キャラクターがコミックに初登場した年を作中の時代設定とも一致させているあたりも正史のシリーズとは一線を画してます。
(例:劇中ではスーパーマンは1938年に、フラッシュ(バリー・アレン)は1956年にヒーローとして世間に姿を現したという設定)
かの『ウォッチメン』と同じ手法が用いられているため、あの作品が好きな人は本作もきっと楽しめると思います。

ヒーロー達が対峙するのも当時の社会問題となっており、スーパーマンは冷戦構造に悩み、ワンダーウーマンはインドシナで性的に虐げられていた女性を解放し、武器を与えて「自由と正義を行う機会」を設け、バットマンは当時世間を騒がせていた新興宗教を連想させるカルトな信者との戦いを、不慮の事故で地球に転送されてしまった火星人マンハンターは必死に地球の言語と文化を学ぶなど実に様々。

誰が主人公というのは特に設定されていないけれども、強いていうならシルバーエイジの象徴とも言うべきマンハンター、リニューアルヒーローであるフラッシュ(バリー・アレン)とグリーンランタン(ハル・ジョーダン)が結構メインキャラに近い扱いかも?
当時の新時代のヒーローというのもあり、他のヒーローに比べても特に扱いが大きめなのは意図的でしょう。

表紙だけだとスーパーヒーローに目が行きがちですが、ゴールデンエイジ、シルバーエイジの色々なDCコミックスを再構成しているだけあって、普段の邦訳ではあまり見かけないコミックのキャラクターもバンバン登場します。

負け犬達VS恐竜

『All-American Men of War』や『Our Fighting Forces』、『Capt. Storm』といった各戦記コミックスの主人公たちを集めた異色チーム『ルーザーズ』の面々、同じく戦記コミックスの舞台を始め、多くのタイトルで戦いの舞台となった恐竜が生き残っている孤島『ダイナソー・アイランド』、スーパーマンよりもデビューが早い“超人ではない”ヒーロー”な私立探偵のスラム・ブラッドレー、史劇物の主人公であるバイキング・プリンスことジョン、スパイヒーローのキング・ファラデイなど、ゴールデンエイジのアメコミを代表するキャラが目白押し。
これらのキャラクターを単に紹介がてら登場させるのではなく、きちんとストーリーの重要部分に組み込んでいるあたりにダーウィン・クックの構成力の高さを感じます。

◆上巻感想
この星にはテレビという素晴らしい機器がある

面白い!!
ダーウィン・クックのレトロテイストなアートもなんというかこう当時の時代の空気感を上手く再現していて、別に世代ではないはずなのにノスタルジックな気分に浸れました。

ただ面白いんだけどもこの上巻の時点ではややモノローグが多く、物静かな感じにストーリーが進行していくため、言うなれば結構地味なタイプの面白さです。
それと新時代のヒーロー、フラッシュことバリー・アレンは早々と登場してキャプテン・コールドと対決するなど活躍シーンを見せるのに対し、ハル・ジョーダンは一向にグリーンランタンに変身する展開に進まないためかなりヤキモキさせられる。
一方でマンハンターことジョン・ジョーンズは作中でかなり良いキャラしてたんですけどね。色んなテレビ番組を見て知識を吸収したり、火星人の出てくる映画を見てそのあまりのチープさに一人笑ってたりなど彼の行動は見ていて逐一ほっこりしました。ジョンさん超カワイイ。

ところでアクアマンが登場する気配を全く見せないんですけど、これは下巻のお楽しみという事でいいんでしょうか!?

◆下巻感想
名作と呼ばれているだけあって、ゴールデンエイジ&シルバーエイジへのリスペクトが半端じゃない作品でした。
後書きにもあるように過ぎ去った時代を回顧する作品でもあるし、単純に背景や思想がバラバラだったヒーロー達が最後の最後に強大な敵に立ち向かうアクション物としても取れる、読者によって好きな見方をして楽しむことができる一冊。
ある程度DCコミックスのキャラを知ってないとノリきれないかもしれませんが、多くの人に読んで欲しいストーリーです。
そういえば上巻感想で突っ込んだアクアマン、出番は少なかったけど超オイシイ役どころを与えられてました。

作品に対してのアレじゃないけど、一つだけ不満をあげるなら値段がかさんでもいいから分冊せずに底本通りに刊行して欲しかった点かな!
邦訳版『ニューフロンティア』の底本は全話を1冊に纏めたアブソリュート版となっているのですが、この邦訳版では上下巻に分冊されただけでなくダーウィン・クック本人による各シーンの解説も下巻に全て纏められたため、解説に挙げられているページを確認するのがやりにくくてしょうがないのです。
元ネタの豊富な図説付きで解説を行っている読み応えのある内容なんですが、いちいち上巻を引っ張りだして確認するのが本のサイズ上なかなか辛い。
ヴィレッジは小プロとは異なり、基本分厚い本の邦訳本を刊行する際にはやたらと分冊しちゃうことが多いのですが、個人的にはやっぱり底本のままリリースして欲しいです。切に!

ちなみにこれは余談ですが、本作『ニューフロンティア』は実は映画『ライトスタッフ』の影響が強いらしく、要所要所にライトスタッフをリスペクトした場面が盛り込まれていたとか。

ヒーロー集結:ニューフロンティア
7人の宇宙飛行士が計画推進を直訴する1シーンが元ネタ

ニューフロンティアはDCコミックス版『ライトスタッフ』と言っても過言ではないレベルらしいので、その内映画の方も見てみようかなと思いましたね。
   
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3 Comments

アウル  

この話し、確かアニメでもやってましたね。
ま、向こうはみんなよく知ってるキャラだけで構成されてましたが(^^;

2015/02/08 (Sun) 23:55 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>アウルさん
思わず「マジで!?」とリアクションしてからググりました!
タイトルが「Justice League - The New Frontier」に変わってるんですねぇ。
ジャスティス・リーグの面々がストーリーの中心になるように色々カットされてるんでしょうか?

2015/02/10 (Tue) 22:34 | EDIT | REPLY |   

アウル  

二コ動で(なぜか)全部うpされてますぜ(日本語字幕つきで)
アニメはジャスティスリーグの面々の活躍というより、メインはグリーンランタン・フラッシュ・ジョンジョーンズが主ですね。(うろ覚えです)

2015/02/11 (Wed) 22:34 | EDIT | REPLY |   

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