ツルゴアXXX

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30 2015

グラント・モリソン&クリス・バーナム他/バットマン・インコーポレイテッド:ゴッサムの黄昏

ゴッサムの黄昏表紙
“犯罪者は臆病で迷信深い人間だ。
 彼らの心に恐怖を叩きこむ姿が必要だ。
 夜の怪物にならなくては。漆黒の化物。
 ああ、父さん。
 僕はコウモリになろう”

ついに完結!
バットマンを待ち受けるのは勝利か、

それとも悲劇か―――。

破壊神と化したタリアは大勢のリバイアサン軍を率いて、ゴッサムにたどり着き、情け容赦ない攻撃を繰り返し、とうとう街を支配してしまう。
バットマンとタリアの戦争に、二人の“愛の結晶”であるダミアンも、ロビンとして父に加勢するのだが……。

いよいよ、その戦いはクライマックスを迎えることになる!
鬼才ライター、グラント・モリソンによる新サーガ第三部、最終作!
最期に生き残るのは一体どっちだ!?そして、バットマンが未来で見た、二つの墓標とは誰のことなのか。


◆関連作品過去記事
【バットマン・アンド・サン】
【バットマン:ラーズ・アル・グールの復活】
【バットマン:ブラックグローブ】
【バットマン:R.I.P.】
【バットマン:ザ・ラスト・エピソード】
【バットマン:バトル・フォー・ザ・カウル】
【バットマン&ロビン】
【バットマン:ブルース・ウェインの帰還】
【バットマン:ブルース・ウェインの選択】
【バットマン:ゲート・オブ・ゴッサム】
【バットマン:インコーポレイテッド】
【バットマン・インコーポレイテッド:デーモンスターの曙光】

◆収録作品

2013年03月:Batman Incorporated Vol.2 #7
2013年04月:Batman Incorporated Vol.2 #8
2013年05月:Batman Incorporated Vol.2 #9
2013年06月:Batman Incorporated Vol.2 #10
2013年07月:Batman Incorporated Vol.2 #11
2013年09月:Batman Incorporated Vol.2 #12
2013年09月:Batman Incorporated Vol.2 #13
2013年10月:Batman Incorporated Special


THE END IS HERE
7年に渡るグラント・モリソンのバットマン新サーガもとうとう完結!

「バットマンには息子がいた」という本来は黒歴史とされていたエピソードを拾うだけでなく、これまで無かったことにされていたエピソードも含めてバットマンの歴史を個人史として凝縮、(多少は現代のバットマンの作風に噛み合うよう修正は施しつつも)その全てを事実として描くというマニアックな事を行いながら「バットマンの親子関係」をテーマにして展開されてきたバットマン新サーガ。
バットマンことブルース・ウェインの物語、そして母タリアから悪の後継者という地位を拒否してバットマンの元へついた息子ダミアン・ウェインの物語も、本作でついに終わりを迎えることに。

『バットマン・インコーポレイテッド』を設立し、世界に根を張って悪と戦い続けるバットマン。タリアが率いる犯罪結社リバイアサンとの対立はより苛烈になっていく。
ゴッサムシティという街そのものを人質に取り、ウェインタワーを占拠したタリアは市長を脅迫。リバイアサンに屈したゴッサムシティは、バットマン・インクおよび同社に関わる一切の道具を使用禁止とし、ブルース・ウェインの警察出頭を指示、さらにバットマンは危険分子とみなされてしまう。
非合法化されたバットマン・インクのメンバーはいかにしてリバイアサンに立ち向かっていくのか?

母親と父親の間で板挟みとなっているダミアンは「身の安全のため」という理由でケイブで待機されられていたのですが、バットマン・インクが追い込まれていることを知り、アルフレッドを説得して加勢に、そして母タリアの説得に向かいます。

ダミアンとディック
これまでのバットマン新サーガ、特に『バットマン&ロビン』を読んでいるとグッとくるダミアンのセリフ

登場初期はあんなにクソガキだったダミアンの成長っぷりがホントに涙ぐましい。
そしてタリアが作り出した、ダミアンの双子の弟であり宿命のライバル「ヘレティック」と対決することに……
本作はバットマン新サーガ完結作にして、バットマン史に残る重大事件が描かれた超重要エピソードとなっています。
息子ダミアンの成長物語ともいえるこの一連のストーリーでまさかこのような展開が待っていようとは。
正直ショッキング過ぎて胸に穴が開いたような気持ちになったぞ!

◆PICK UP キャラクター 治次郎
日本のバットマン・治次郎「いくぞ!超電送転身!バットマン!」

前々巻『バットマン:インコーポレイテッド』第1話にて初登場したヒーロー。
このほんの少し不自然な名前は漫画家の手塚治虫と桑田次郎をリスペクトして付けられたとか。

元々は日本の東京を中心に活動しているヒーロー、『ミスター・アンノウン』の代理として戦い続けていた人物。
(本物のミスター・アンノウンは既に現役から退いていた)
日本のバットマンとしてアンノウンをリクルートしようとしていたバットマンだったがその事実を知り、日本での戦いを通して代わりに次郎を東京のバットマンとして指名することに決める。
しかし本当にバットマンとして相応しい人物かを見定める必要が有るため、次郎は3ヶ月のテスト期間を与えられる事になるのだった。

『バットマン・インコーポレイテッド』第1シリーズの時点では次郎はミスター・アンノウンのコスチューム(ドミノマスクにマントという「怪傑ゾロ」チックな物)を着て活動していたんですが、この第2シリーズでテスト期間を終え、バットマンに認められて以降はようやくバットマン風のコスチュームをゲット。
この新コスはアーティストのクリス・バーナムによると仮面ライダーだけでなく、『バトルフィーバーJ』バトルケニアも参考にしているのだとか。

本書にはこの治次郎が活躍するエピソードが1話、そして8Pの短編が用意されている厚遇っぷり。
そして日本の特撮や漫画をリスペクトした演出もそこかしこに盛り込まれています。
特撮ヒーローチックなセリフや展開だけでなく、『マッハGoGoGo』のマッハ号チックなバットモービル、向こうでは大人気だというアニメ『百獣王ゴライオン』のデザインを意識した感じのヴィラン『虎拳夜叉』、こっそり吹き出しに書き込まれたヒョウタンツギと実に様々。
加えて本作の#11のバリアントカバーには日本人アーティスト『Ricken』氏を起用。
【[BATMAN Incorporated #11] Variant cover art by Ricken-Art】

あと「リスペクトしたのは原作漫画版の仮面ライダーなのかな?」と思うくらいバットマン・ジャパンのエピソードにはグロ表現が多いです。

一風変わった魅力にあふれているこの日本人バットマン。
もっと治次郎が主役として活躍するエピソードを見てみたい!個人誌とかその内制作されないかな。

◆感想
女(タリア)の恨みは恐ろしい

ニュー52に入ってからバットマンのメインライターはスコット・スナイダーに移ったわけなんですが、リランチ前のメインストーリーであったこのモリソンバットマンのストーリーは長らく続いたエピソードの締めくくりというのもあり、スナイダーのバットマンに負けず劣らずの盛り上がりを見せて完結してくれました。
正直ここまでしっかりとタリアとの因縁に決着をつけてしまうとは思わなかった。
正史で行っただけに何年後かにまたちゃぶ台返しがあるのかもしれないけどね(小声)

第三のバットマンだったマイケル・レーンやマンバットことカーク・ラング・ストロームの再登場に、『ラーズ・アル・グールの復活』に登場した魔術アイテム「悲哀の鎧」、前々巻から登場した国連の秘密諜報組織「スパイラル」の目的などなど、これまで描かれたストーリーを包括するかのような要素が目白押し!

グラント・モリソンのバットマン新サーガは古いエピソードから持ってきたモチーフと細かな伏線を随所に散りばめるだけでなく、難解な言い回しも多め。しかもコマからコマへの飛躍に台詞の省略も多いため、初見時はややこしくて理解に少し時間がかかる事が多かったです。

ですが読み返したり続きのエピソードを読んでいく内に繋がりが分かるようになり、物語の全体像が把握できるような構成にはなっているため、確かにクセこそ強いですが読み続ける内に僕はすっかりモリソンバットマンの雰囲気にハマってしまいました。
単純にモリソンバットマンに登場する新キャラの数々が魅力的だったというのもありますが。ドクター・ハートといいピッグ教授といい死神男といい、狂人キャラのメイキング力が高すぎるぜモリソン!
やや人を選ぶ作風ではありますが、面白いバットマンシリーズなんで少しでも興味の出た人にはぜひ手にとって欲しい作品です。このモリソンバットマンは。

ちなみに、モリソンによるバットマン・サーガは本書をもって綺麗に完結するわけなんですが、最後の最後に新展開への伏線が張られております。
『Batman and Robin: Robin Rises』と呼ばれるこのストーリーラインは『バットマン&ロビン』第2シリーズ(ライターはピーター・J・トマジ)現在展開中との事。これも完結したらその内邦訳版を刊行して欲しいところです。
小プロなら……小プロならきっとバットマンを追いかけ続けてくれるはず……!

小プロの考えているという邦訳バットマンの3本のラインのうちとうとう1本が完訳されたわけなんですが、今後はどんなバットマン作品に手を出してくれるのだろうか。

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【バットマン・インコーポレイテッド:ゴッサムの黄昏 補足】
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2 Comments

bannki  

一つのタイトルが最初から最後まで邦訳されるのはすごいことですね。
彼の復活が邦訳されるのはかなり先になりそうだなぁ。

2015/02/02 (Mon) 08:42 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>bannkiさん
スゴイことですよね―。
ただ欲を言えばモリソンが手がけたクロスオーバー「ファイナルクライシス」はバットマン新サーガと密接に関わっているんで邦訳されてほしかったかも。
ロビン復活のエピソードもバットマンに力を入れている小プロならその内手を出してくれるはずだと期待してます。

2015/02/04 (Wed) 16:44 | EDIT | REPLY |   

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