ツルゴアXXX

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23 2015

クリス・クレアモント&ジム・リー他/X-MEN4巻 異次元人モジョー

X-メン4巻表紙

「ダズラーったら本当にイモ女優ね。最期のシーンが短くてホントによかったわ。
 スタントを自分でやってのけたのには…感心したけど。
 芸術的な幕切れかどうかはわかんないわ。でも…気に入ったわ。
 これで…おしまい!視聴者の皆さん、これにて一件落着よ!」

THE
END

FILMED IN
MOJOVISON

混戦!モジョー・バース/サイロックの悲劇

モジョーが支配する異次元世界。
かつて文明の頂点を極めたこの社会もやがて堕落の一途をたどり、ついには娯楽にうつつを抜かす腐敗した社会になってしまった。モジョーがこの世界の支配者になり得た背景は、ここにある。
奴隷たちの生命を犠牲にした過激なTV番組で人気を得たモジョーは、住人に圧倒的な指示を受け、「視聴率イコール権力」の図式を形成するにいたった。支配者としてゆるぎない立場を築くため、モジョーはX-メンをTV出演させることを思いつき、彼らをら致するため、地球にやってきたこともある。
ロングショット率いる奴隷たちはその昔、モジョーが科学者に造らせた人造人間で、この反乱劇は脊椎動物VS.無脊椎生物の戦いとなっている。本文中、背骨のあるモジョーⅡ:続編が「もし優しさを持つことが失敗につながるなら…」というくだりは、優しさという感情は脊椎動物だけが持つ財産だという意味にも取れ、結局、優しさを持たないモジョーは敗れ去ることになる。
また本編の前半部では、モジョーに洗脳されたX-メンがオズの魔法使いのキャストを演じさせられており、日頃決して耳にすることのできないセリフを口にしていておもしろい。
プロデューサー、モジョーの洗脳ジョークも相当キツいようである。

一方後半の作品は、シージ・ベリラスによって香港に放り出され、記憶を失ったサイロックのストーリーとなっている。マツオに洗脳されながら錯乱した意識で思い出す少女時代のベッツィは、ブロンドの髪をなびかせて快活に飛びまわる、青い瞳の少女であった。成人した彼女は英国政府の秘密機関に勤め、その後、X-メンに参加。そこで、敵リーヴァーズの奇襲を受け、「運命の時」シージ・ベリラスの扉をくぐる瞬間を迎えることになる。
異次元への扉を抜けて香港に飛び出した彼女は、記憶を失くし、その姿も全く別の体となって、マツオ・ツラヤバの手に落ち洗脳されてしまったのである。以来、性格が一変、奔放で活発な英国人ベッツィ・ブラドックは消え、クールでミステリアスなもう一人のベッツィが誕生することになったのである。
英国には実の兄キャプテン・ブリテンがいるのだが、昔のベッツィでなくなった今、もうもとの兄妹のようには戻れないと思っているらしい。
だが、西洋人としての記憶を持ちながらも、それがどこか自身のものでなく感じられる、その曖昧な自意識が、彼女の冷たくそして謎めいた魅力となっていることだけは確かである。


◆関連作品過去記事
【X-MEN1巻 磁界の帝王マグニートー】
【X-MEN2巻 超人兵士オメガレッド】
【X-MEN3巻 炎の怪人ゴーストライダー】

◆収録作品

1989年12月:Uncanny X-Men #256
1990年01月:Uncanny X-Men #257
1990年02月:Uncanny X-Men #258
1992年07月:X-Men Vol.2 #10
1992年08月:X-Men Vol.2 #11


◆PIRATE NETWORK/LADY MANDARIN
邦訳X-メン第4巻のレビュー!小プロX-メンのレビューは久々ですね。

4巻前半は、TVの視聴率が権力に繋がる異次元世界モジョーバースの支配者・モジョーとの対決エピソード!
モジョーはテレ東版アニメX-MENやカプコンの格ゲー『X-MEN CHILDREN OF THE ATOM』、最近の邦訳だと『ロケット・ラクーン&グルート』にも登場してましたね。
X-メンをはじめとするヒーローを拉致しては自身の企画したTV番組に無理やり出演させるはた迷惑なヴィランであり、両目を失ったサイロックにカメラ内臓の目を与えたり、X-メンをモジョーバースに引き込み同士討ちさせた模様を中継するなど、視聴率を稼ぐためなら手段を選ばない厄介な男です。

モジョー監督号泣

それと彼が登場する際、邦訳では何故か必ず「オネエキャラ」という個性付けがなされているため、ちらっと見ただけでも妙に印象に残ってる人も多いんじゃないでしょうか。
ていうかなんで日本ではオネエなんだろう。マーベルからそういう風に訳せとお達しでも来ているんだろうか。

元を辿るとモジョーは『Longshot』というコミックのヴィランであり、本作にはこのコミックの主人公、ロングショットも登場。
X-メン関連誌ではちょくちょく顔を見せるヒーローなんですが、邦訳での出番は結構貴重だったり。

おかしなX-メン
自主的に能力を封じているローグ、リーダーとしての資質に欠けるサイクロップス、
気弱なウルヴァリン、アホくなったビーストとインパクト大なキャラに変貌したX-メンメンバー
モジョーの洗脳の強力さを物語る1シーン

モジョーの人命を軽視したTV番組を終了させるため、反乱軍パイレーツ・ネットワークのメンバー、ロングショットや「優しさ」の感情をもった失敗作のモジョーのクローン、モジョーⅡ:続編(本当にこういう名前です)と協力して戦うストーリーなんですが、モジョーバースの世界観が特殊すぎるのもあり、真面目にギャグっぽいセリフを登場人物が吐きまくるため話の内容はちょっぴりシュール。
モジョーとの決戦シーンでの反乱軍のセリフなんか「番組改編!」ですからね。
洗脳されて普段とは違うキャラクターに変化したX-メンの言動や、モジョーバースの不可思議な世界観が非常によくマッチした面白いエピソードでした。

で、4巻後半の内容。
ここまで続いてきたX-メン第2シリーズの邦訳は#12からアートがジム・リーじゃなくなるのが理由なのかは分かりませんが、後半からは一気に収録作品が過去に遡り、なんとジム・リーがアートを担当していた2年以上前の『Uncanny X-Men』誌に変更。
ここに来て急にストーリーの連続性を無視しだすため、読んでいてちょっと混乱すること請け合いです。
正直ジム・リーを追いかけるよりも普通に第2シリーズの邦訳を続けて欲しかったぞ。

まあそういう事情で収録された後半のエピソードは、当時展開されていたクロスオーバー『アクツ・オブ・ヴェンジェンス』のタイイン回となっています。
このクロスオーバーの目的は各ヒーローが普段戦わないタイプのヴィランと対峙するというものなのだとか。
デアデビルがウルトロンと戦ったり、ウルヴァリンがタイガーシャークと戦っていたりしてるみたいで地味に気になる内容。
そしてX-メンが対決することになるのは、なんとアイアンマンの宿敵マンダリン!
ただ実際のところは本エピソードのマンダリンはあくまで暗躍するだけで、話の中心に居るのはサイロックなんですけどね。

またこのタイインはサイロックというキャラを詳しく掘り下げてくれる重要エピソードでもあるのですが、正直彼女の設定はあまりにぶっ飛んでいる上にややこし過ぎて正直困惑する。

そもそもサイロックことエリザベス・“ベッツィ”・ブラドックはテレパス能力を持った英国人の女性。
昔は外見も今とは大きく異なるこんな感じの女性でした。

ちゃんと英国人だった頃のサイロック

ベッツィは諜報部員や他のヒーローチームでの活動を経てX-メンに加入。
しかし、サイボーグ集団リーヴァーズの奇襲を受け、異次元の門シージ・ベリラスを潜り大阪にワープした際に彼女のテレパス能力が暴走、ヤクザの親分ニョイリンの部下、女忍者カンノンと肉体も精神も融合してしまうのです。
この後ザ・ハンドの首領マツオ・ツラヤバとマンダリンの手により肉体をカンノンと交換する形で分離されたのち、洗脳を受け忍術まで仕込まれてサイロックは「レディ・マンダリン」と化し、ヴィランとなってウルヴァリンらと戦う事になってしまうのでした。
こうしてカンノンの肉体にはベッツィの心とカンノンの潜在意識が宿り、ベッツィの肉体にはカンノンの心とベッツィの潜在意識が宿るというもうなんだよクソややこしいわという状態に。
本書ではこのレディ・マンダリンの下りが邦訳されています。

かなりとっちらかった設定のサイロック
外見は東洋人、しかし中身は英国人のテレパシー使い女忍者、サイロック!
こんな「?」なキャラクターも珍しいとは思う

ある程度前提知識がないと読んでて意味がわからないし、知識があっても困惑する壮絶なエピソード。
良くも悪くもアメコミらしいサイロックの無茶な設定変更でした。
ただ設定変更の下りこそカオスだけど、結果的には現在のほうが良いキャラになったとは思います。
セクシー女忍者が嫌いな人間はいない(断言)。

この4巻から未邦訳エピソードに関する言及が作中で増え、また前述したように収録作品も過去のものに巻き戻るため、やや取っ付きづらい内容になってきた印象があるかも。
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2 Comments

No Name  

今、この本のサイロックのエピソードを読んでいたのですが、確かに困惑しますねw
サイロックはカンノンとベッツィが融合した姿で良いんですか?
それとも二人の身体は分離しているのですか?
『カンノンとベッツィは入れ替わっているが、それぞれの身体には、本来の人格の潜在意識は残っている』
前半のモジョー戦も見ていましたが、これ現在進行?回想シーン?と困惑しましたw

ところで、ウルヴァリンの相棒役のジュビリーですが、今は吸血鬼やっていると聞きましたが・・・
もう戻ってこないんでしょうか、彼女

2015/02/09 (Mon) 00:17 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>No Nameさん
サイロックに関しては解説を読んだだけでは意味不明すぎるんで自分としても該当エピソードそのものを拝みたいところです(説明放棄)。

2015/02/10 (Tue) 22:57 | EDIT | REPLY |   

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