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21 2014

グラント・モリソン&クリス・バーナム他/バットマン・インコーポレイテッド:デーモンスターの曙光

バットマンインコーポレイテッド曙光表紙

「新たなゴッサムが誕生する。古いサナギを食い破って。
 街や夜を支配することに興味はない。
 バットマンの宝物、彼が愛するものを奪い去りたいだけ。
 彼の人生に意味を与えるあらゆるものを。
 わたしから息子を奪った仕返しよ」

「息子ならここにいる…」
「子供は一人じゃない。慌てるな。お前の出番はもうすぐだ。
 その前に、あの男を混沌たる子宮で苦しめるのだ。
 底なしの闇で。忘却の淵で」


“バットマン・インコーポレイテッド”はゴッサムシティを守ることができるのか!?
最愛の息子との絆は!?

新サーガ完結編、いよいよ物語は中盤へ突入する!

不死身の魔人ラーズ・アル・グールの娘であるタリアを母親に持つダミアン・ウェインは、世界の支配者となるべく育てられてきたが、そうした非道な人生を拒否して、父親であるバットマンとともに悪と戦う道を選んだ。
しかし、タリア率いる犯罪結社リバイアサンは世界各地に魔の手を伸ばし、正義の灯を消し去ろうと企てる。タリアはバットマンにとって大切なものをすべて奪い去り、さらにはダミアンすらも奪おうとする。

そのためなら、ダミアンを怪物に変えても……いや、殺してもかまわない。


◆関連作品過去記事
【バットマン・アンド・サン】
【バットマン:ラーズ・アル・グールの復活】
【バットマン:ブラックグローブ】
【バットマン:R.I.P.】
【バットマン:ザ・ラスト・エピソード】
【バットマン:バトル・フォー・ザ・カウル】
【バットマン&ロビン】
【バットマン:ブルース・ウェインの帰還】
【バットマン:ブルース・ウェインの選択】
【バットマン:ゲート・オブ・ゴッサム】
【バットマン:インコーポレイテッド】

◆収録作品

2012年07月:Batman Incorporated Vol.2 #1
2012年08月:Batman Incorporated Vol.2 #2
2012年09月:Batman Incorporated Vol.2 #3
2012年11月:Batman Incorporated Vol.2 #0
2012年12月:Batman Incorporated Vol.2 #4
2013年01月:Batman Incorporated Vol.2 #5
2013年02月:Batman Incorporated Vol.2 #6


◆Demon Star, Eye of the Gorgon, al Ghul.
グラント・モリソンによるバットマンサーガもいよいよ完結間近!
この前ニューアベンジャーズの記事で「いよいよ大詰め!」とか書いたばっかりなんで、各社で長らく続いてきたシリーズ物の邦訳の終わりが見えてきてちょっとした寂しさを感じなくもない今日この頃です。

本書『バットマン・インコーポレイテッド:デーモンスターの曙光』は前巻、『バットマン・インコーポレイテッド』の流れをそのまま引き継いだ続編タイトル。
しかし、モリソンバットマンがまだ未完結の状態なのにも関わらずDCコミックスのリランチ『ニュー52』が始まってしまい、設定や世界観が強制的に一新されてしまう羽目に。

全タイトルを終了させて設定と世界観を再構成し、#1から再スタートする『ニュー52』は新規読者の獲得に一役買ったリランチでしたが、膨大なバットマンの過去エピソードを凝縮するというコンセプトだったモリソンバットマンに関してはストーリーの軌道修正を余儀なくされ、完全に割を食う形となってしまいました。
前巻『バットマン・インコーポレイテッド』の最終話、『Batman Incorporated: Leviathan Strikes!』はリランチ後に刊行されることとなり、わざわざ作中で「このエピソードはフラッシュポイントとニュー52以前の出来事である」という注釈を付けられていあっため、結構バタバタしていた感じが伺えます。

そんなわけで設定をニュー52に合わせてアップデートし、続きが描かれることになった本作『バットマン・インコーポレイテッド』第2シリーズ。
ニュー52に突入してからバットマンのメインストーリーはモリソンからスコット・スナイダーがライターを務めるバットマン誌に移ってしまいましたが、モリソンバットマンのストーリーも完結が近いのもあって展開的には大きな盛り上がりを見せてくれます。

前巻ラストで秘密結社リバイアサンの首領が宿敵ラーズ・アル・グールの娘であり、ダミアンの母親でもあるタリアである事が判明。
タリアはかつてバットマンが自分の愛を拒絶して背を向けた事を侮辱と捉え、その罰として闇の騎士とゴッサムシティを地獄に変えるためにさらに苛烈な攻勢に打って出てくるのでした。女の恨みは恐ろしい。
彼女の性格がここまで歪んでいるのは幼少時代の経験のせいだったりするんですけどね。

子育てが下手すぎるラーズ
タリアが真に欲しがっている物は『愛情』だった
それにしてもアメコミでは子育てが上手い人あんまり見かけないな……

世界各地に配置したバットマン達が活躍するというコンセプトはそのままに、『バットマン・アンド・サン』の時のようなバットマン、ダミアン、タリアの3人の関係に改めてスポットを当てたストーリー展開。
『バットマン・アンド・サン』収録の「サン・オブ・デーモン」を再解釈したシーンを盛り込んだり、息子ダミアンの身を思って(他にも理由はあるのですが)あえて戦地から遠ざけるバットマンの姿が描かれたりなど、最終決戦直前のここに来てモリソンバットマン第一部のテーマの一つだった『家族』が再度重要な意味を持ち始めているのがニクい構成です。

未来世界のダミアンバットマン再登場

また本書には『バットマン・アンド・サン』で拝めた謎の未来世界で戦うダミアンバットマンの新作エピソードが収録されているのですが、実はあのエピソードは重要な伏線だった事も判明します。
単にバットマン誌が#666に到達した事を記念しただけの回じゃあなかったのか……!(発想が浅い)

◆感想
強制的にリランチされてしまったため、ある程度はニュー52に合わせて設定等を修正しているものの、当初の構想通りにストーリーを進めているためなのか『ファイナル・クライシス』事件が発生していないにも関わらずバットマンが過去に飛んだり、ある未来の光景を目撃していた事実が描かれたり、同じく発生していないはずの『インフィニット・クライシス』での出来事が回想されたり、設定が大幅に修正されてバーバラがバットガールに復帰した影響なのか彼女がストーリーに殆ど関わらなくなってしまったりと、少し引っ掛かってしまう部分は多め。
まあでも仕方ないんだろうけどねコレは。悪いのはモリソンじゃなくてニュー52です!

ニュー52との矛盾点こそ多いけれども、純粋にモリソンバットマンのストーリーの流れで見れば別段破綻しているわけではないため、その辺は目をつぶって楽しむのが良いと思います。
いやもう話は最高潮の盛り上がりを見せてますからね!

どんどん陰惨で不安な展開になっていくモリソンバットマンですが、モリソンのインスピレーションの源であるゴールデンエイジ、シルバーエイジのバットマンを思い起こさせるシュールな新キャラや1シーンがちょいちょい挿入され、どこかポップな魅力があるのも本シリーズの特徴です。

バットカウ登場
また個性的なバットファミリーが増えたぞ!

次巻はついにモリソンバットマン最終巻。バットマン史に残る重大事件が描かれます。
正直見るのが怖いけど楽しみだ……

【バットマン・インコーポレイテッド:デーモンスターの曙光 補足】
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1 Comments

アウル  

New52の影響をモロ受けてるとはいえ、ちゃんと話しとしては成立している・・恐るべしモリソン( ゚д゚ ;)
現シリーズも嫌いではないですが、アース1時代の話もちゃんと進んでほしいですな。

2014/12/22 (Mon) 00:25 | EDIT | REPLY |   

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