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14 2014

ビル・マントロ&マイク・ミニョーラ他/ロケット・ラクーン&グルート

ロケット・ラクーン&グルート表紙

「愛玩動物と木人のコンビがこんな事言えた義理じゃねぇけどよ、
 どう見ても宇宙最強っぽくないしな。
 だとしてもスターロードの遺志を継がねぇと!
 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの夢を叶える」

「私はグルート!」
「そうさ、お前とオレが力を合わせれば宇宙だって救える。
 お節介上等、行くぜ!」


GO ROCKET GO!

まさかの映画化で一躍、トップスターの仲間入りを果たした宇宙アライグマのロケット・ラクーンと、20世紀中にはわずか3回しか誌面に登場していない樹木人間グルート!

アトラスコミックス時代のグルート初登場作から、幻のロケットデビュー作、実質的な初登場エピソードであるハルクとの競演作、若き日のマイク・ミニョーラの出世作でもあるロケット主演のミニシリーズ、さらには、実質25年ぶりとなるその後日談と、今、話題の二大ヒーローの登場から割と最近までをまるっと収めた注目の一冊が登場!


◆収録作品

1960年11月:Tales to Astonish #13
1976年06月:Marvel Preview #7
1982年05月:Incredible Hulk #271
1985年05月:Rocket Raccoon #1
1985年06月:Rocket Raccoon #2
1985年07月:Rocket Raccoon #3
1985年08月:Rocket Raccoon #4
2011年05月:Annihilators #1
2011年06月:Annihilators #2
2011年07月:Annihilators #3
2011年08月:Annihilators #4
2011年11月:Annihilators: Earthfall #1
2011年12月:Annihilators: Earthfall #2
2012年01月:Annihilators: Earthfall #3
2012年02月:Annihilators: Earthfall #4


◆O RACCOON! MY RACCOON!
映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の公開に便乗して小プロから『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:プレリュード』という邦訳本が刊行されましたが、ヴィレッジブックスもこの機を逃さず、登場キャラをマスコット的存在であるロケット・ラクーンとグルートに絞った邦訳『ロケット・ラクーン&グルート』を刊行!
ロケット・ラクーン、グルートの初登場エピソードからごく最近の競演エピソードまで大量に収録したボリューミーな一冊。
普段のマーベルのスーパーヒーロー物とは違って奇想天外な設定と展開が多く、一味違った面白さのある一冊となってます。
まあひと通り収録されているおかげで『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:プレリュード』収録作が一部被っちゃってるんですけども、地味に収録作のストーリーが地続きになってるんで『ソー:マイティ・アベンジャー』の時のようにカットしなかったのは正解だと思う。
前置きはこのくらいにして収録エピソードを紹介!

まずは小プロの『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:プレリュード』には収録されなかった、ロケット・ラクーンの歴史的初登場エピソードから。
こちらはマーベルの新キャラ紹介を目的とするモノクロのコミックマガジン『Marvel Preview』の7号目に収録されていた『ソード・イン・ザ・スター』の第2話。
惑星イトハコンの皇子、ウェイファインダーを主役としたSFアドベンチャーです。
ライターはビル・マントロ。

食料調達のため、宇宙船スターシードで惑星ハイラエラエ、またの名をウィッチワールドと呼ぶ星に降り立つウェイファインダー。
しかし彼はそこで自らを襲う生きた木や怪物プラグオサウル、そして言葉を話すアライグマ、ラクーンと遭遇する……というお話。
初登場の時点で既にタバコをふかしながら悪態を付きまくるというロケット・ラクーンのキャラクターが完成されているのに注目。

ロケット・ラクーン初登場

ただこの『ソード・イン・ザ・スター』という作品は不人気で打ち切られた結果この2話以降が製作されておらず、後に1万~1万5千年後の未来を描いた並行世界『アース7614』での出来事であると設定されてしまったため、正史世界であるアース616からは完全に切り離されてしまう形に。
ロケット・ラクーンの歴史的初登場エピソードでありながら、実質的な初登場はそこから約6年後に発売された『Incredible Hulk #271』でのハルクとの競演エピソードに改められる事となってしまうのでした。

ちなみにソード・イン・ザ・スターの続きは製作されずに終わったものの、ビル・マントロが担当したミクロマンの翻案作品『マイクロノーツ』の#31でウェイファインダー皇子のその後をなんとか描いたとのこと。ライターの執念を感じる。
【Earth-7614 (Sword in the Star; Marvel Preview)】

次に紹介するのは同じくビル・マントロがライターを務めた全4話のミニシリーズ『Rocket Raccoon』
なんとアートはヘルボーイで有名な若き日のマイク・ミニョーラ!
といってもカラリングを担当しているのは別の人なんで、パッと見た感じではいまいちピンと来なかったり。
この邦訳版の表紙のようなアートを期待すると肩透かしを食らうかも。

ご先祖さまと自分のルーツ

『Incredible Hulk #271』の続編的な作りとなっているこのロケット・ラクーン誌。
彼の出身惑星であるハーフワールドを舞台に繰り広げられる争いを描くエピソードなんですが、キュートな動物たちが主役という一見和む世界観に反して設定やストーリーがほどほどに狂気に満ちており、これがまたぶっ飛んだ内容。

ロケットの住むハーフワールドは人間と動物が共存している世界なのですが、これ以前のハルク誌でも明かされたように動物が高度な知性を持っているのが特徴。
それに対して大多数の人間は『ルーニーズ』と呼ばれ、動物たちに守られながら毎日遊んで暮らしているのです。
いい大人たちが動物たちからおもちゃを与えられて喜んだり、虫を追いかけまわしたりして遊ぶ姿はインパクト大。
しかも作中で起こる動物同士の戦争の原因は、ハーフワールドのオモチャ屋のドン同士が玩具業界の覇権を握るためというのが理由。
ロケットはルーニーズが楽しみにしているオモチャを守るため、そして星系で一二を争う玩具メーカの相続者、ライラを敵の手から救い出すためにこの玩具戦争を止める!……ってなストーリーが大真面目に展開されていきます。

さらにシュールなお話では終わらず、この妙な世界、ハーフワールドが出来上がってしまった詳細な経緯も物語後半で判明。
この事実がまた衝撃的。ラクーンが自らの出自にショックを受けるのも已む無しといったところでしょうか。
奇妙な世界観といいラストに明かされるハーフワールドの歴史といい、快活なSFアクションと若干のホラーテイストな設定が絶妙に合わさった傑作エピソードでした。
収録作の中では個人的に一番好きな作品。この時点では主役とはいえドマイナーキャラというのもあってか伏線を張るような終わり方もせず、起承転結がはっきりしてますし。

最後に収録されているのは、マーベルのコズミック系作品のクロスオーバー『Annihilators』に掲載されていたバックアップストーリー。
サノスとの戦いで大きな代償を払い、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーが一度解散になった後のロケット・ラクーンの冒険を描いています。
ロケットが愛玩動物枠という屈辱的な役職で普通にサラリーマンとして働く姿や、敵の目を欺くために犬のコスプレをするシーン、スターロードに向けた独白など名シーンと迷シーンが次々に拝めるエピソード。
まだよくロケット・ラクーンというキャラを知らなかったんで、想像していた以上にスターロードを信頼していた事がわかる独白シーンはちょっと泣けました。

グルートだらけ
久々にグルートと組んで冒険の旅に出ることを決意し、彼の居るプラネットXに向かうロケット

グルートとの掛け合いや互いに協力しあう戦闘シーンはコミカルで面白いんだけれども、ロケットの故郷、ハーフワールドに向かう展開からが地味にショッキング。
ビル・マントロの描いたハーフワールドでの冒険がひっくり返され、それに伴い人間関係も変化してて何だか切なかったです。
いや話は面白かったんだけどね!
あと図らずもロケット&グルートと一緒に冒険するはめになったタイムリー社の配送品解析機が妙に愛嬌のある性格をしていて可愛かったです。
ちょっとportalのタレットを連想した。

◆感想
読んでいてホント面白い一冊だった!

宇宙が舞台のコズミック系ということで世界観は地球を舞台としたヒーロー物よりも壮大なんですが、逆に宇宙が舞台なおかげで地上に居るヒーローとの絡みが少なく、他誌のネタを引っ張ることがほぼ皆無。
わりと独立性の強いエピソードばかりだったんで非常に話に入りやすかったです。単体で楽しめるいい邦訳本。
最後に収録されている『Annihilators: Earthfall』では90年代の邦訳X-MENやカプコンの格ゲーX-MENで馴染み深いヴィラン、モジョーが登場していてちょっと懐かしくなったり。
マーベルのコズミック系の世界観が気に入ったんで、映画便乗で終わらずガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの邦訳を本格的に検討して欲しい今日この頃ね。
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