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02 2014

ジェフ・ローブ&ティム・セイル/スパイダーマン:ブルー

スパイダーマンブルー表紙

“そもそも誰かがこれを聞くかどうかもわからない。
 でも、僕らの物語は残しておくべきだと思う。
 この古い録音機はベンおじさんのものだと思うけど、
 僕はこれを使って君のことを語りたい。
 忘れた記憶のように二度と取り戻せない君のことを。
 誰かが思い出すかぎり、人は存在し続ける。
 グウェン。君は僕の心のなかに存在し続ける”


“残りの人生を一緒に過ごそうと思っていた。大切な女性を思い出すために”

これは、ピーター・パーカーの初めての恋人グウェン・ステイシーの物語である。
決して忘れることのできない女性ひと、もう二度と取り戻せない愛の日々……。グウェンと一緒に過ごせる時間がどれほど短いものになるか、やがて訪れる悲劇を知る由もないピーターが、ささやかな喜びを手にしようとしていた頃を描いた二人の愛の物語、いや、失われた愛の物語が非常にも綴られていく……。
スパイダーマンの人生は苦難の連続であり、それは冒険に満ちた本書においても例外ではない。憧れの女性を手に入れるためには、次々と襲いくる敵を倒さねばならない。グリーン・ゴブリン、ライノ、二人のバルチャー、それらすべてを裏から操る謎の怪人……。そして、後年、ピーターの妻となるもう一人のヒロイン、メリー・ジェーン・ワトソンも物語に華を添えている。

『スーパーマン・フォー・オール・シーズン』『バットマン:ロング・ハロウィーン』などの名作を手がけたアイズナー賞受賞作家コンビが、スパイダーマンの青春時代を新たな視点で語り直した。この時のスパイダーマンはまだ知らない。愛する女性との夢のような日々が、やがて悪夢へと変わることを……。

本書にはティム・セイルによるオリジナル・スケッチだけでなく、スパイダーマンの伝説的なアーティストであり、メリー・ジェーン・ワトソンを初めて描いたジョン・ロミータ・シニアの序文も収録している。


◆収録作品

2002年07月:Spider-Man: Blue #1
2002年08月:Spider-Man: Blue #2
2002年09月:Spider-Man: Blue #3
2002年10月:Spider-Man: Blue #4
2002年11月:Spider-Man: Blue #5
2003年04月:Spider-Man: Blue #6


◆Let's fall in love
ジェフ・ローブとティム・セイルのコンビが手がけた初期エピソードのリメイク『カラーシリーズ』のタイトルの一つ、『スパイダーマン:ブルー』が邦訳!
【Jeph Loeb and Tim Sale’s Color Series】

本作のベースとなっているのは60年代後半のアメイジング・スパイダーマン誌の複数のエピソード。
大学生時代のスパイダーマンの展開がざっくりと抑えられるようになっています。

スパイダーマンのダブルヒロイン
グウェン・ステイシーとメリー・ジェーンの間で揺れ動くピーター
モテモテすぎてフラッシュにチョッカイかけられるのも当然だと思う(僻み)

大人になり、メリー・ジェーンと結婚したスパイダーマンことピーター・パーカーが、学生時代に本気で最初に愛した女性、今は亡きグウェン・ステイシーとの思い出を回想していくという一作。
様々なヴィランとの戦いも描写されてはいるものの、内容的にはピーターの青春時代を前面に押し出したノスタルジックな作風です。

ただの同級生……というか、宿敵グリーン・ゴブリンであるノーマンの息子、ハリー・オズボーンとは病院への見舞いをきっかけに親しくなり、グウェンとの仲を応援してくれるように。
しかしそこに思わせぶりな態度を取るメリー・ジェーンも現れ、ただでさえ悩みの多いピーターの人生に新たなる悩みが追加されることになります。
ピーター・パーカーとしての生活だけでも大変なのに、そんなことはお構いなしにスパイダーマンを狙って様々なヴィランが彼を襲撃しにかかるしでピーターは大忙しだ!

スパイダーマンを狙う狩人クレイブン

◆感想
凄くしっとりと、しんみりとした淡いお話で一気に読み進めてしまいました。
スパイダーマンとしての人生は順風満帆とまでは行かないまでも、グウェンという本気で愛することの出来る女性が現れて幸せの絶頂にあったピーター。ハリー・オズボーンという大事な友人もできて、充実した毎日を送っています。
それだけにこの後ピーターに待ち受ける悲劇のことを思うと切なくなる……
ティム・セイルのアートが醸し出す雰囲気もあわさって、ラストのピーターの台詞ではちょっと涙ぐんでしまった。
あと本筋ではないけれど、何かとピーターに突っかかる同級生のフラッシュが軍への入隊を決意する下りもすごく好きなシーンです。

大学でのピーターとグウェン
この頃のピーターは“ガリ勉パーカー”から“まあまあの奴”にランクアップしたばかり
それもあってまだイマイチ垢抜けていない

『スパイダーマン:ブルー』の翻訳を手がけた高木亮氏による補足解説がブログ上で公開されているので、読了後はこちらも要チェック。
本作のチャプタータイトルは毎回ジャズの名曲タイトルが引用されているため、それに関するウィキペディアへのリンクが中心になっています。
(「“ジャジー”・ジョン・ロミータ」と呼ばれるほどのジャズ好きである当時のスパイダーマンのアートを手がけた名アーティスト、ジョン・ロミータ・シニアをリスペクトしたものらしい)
【スパイダーマン:ブルー 用語解説補足】
 
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