ツルゴアXXX

ARTICLE PAGE

27 2014

スコット・スナイダー&トレバー・マッカーシー他/バットマン:ゲート・オブ・ゴッサム

ゲートオブゴッサム表紙

“友愛と勤勉という美名のもとに築かれた街。
けれど実際には、腐敗した特権階級にとって都合よく捏造された街。
我々も共犯だ。だが、後戻りはできない。
街は我々が作った遺産なのだから。その事実は決して誰にも奪えない。
人生において大きな影響を与えるのは小さな決断だという。
私の決断は、街の運命を変えることになった”

ゴッサム一族ゲートにてたおれる……

19世紀末、三つの由緒正しい資産家一族が、現代のゴッサムシティの基礎を築いた。しかし今、100年にも及ぶ怨恨を抱えた何者かが140kgの爆薬を使って、街のすべてを破壊しようと企てる。歴史ある三つの橋を同時に爆破した謎の人物は、ウェイン家を含むゴッサムの資産家一族が所有する歴史的建築物にも狙いを定めた。
爆弾魔と街の呪われた過去との繋がりを突き止めるため、バットマンはロビン、レッドロビン、そして香港の密偵ブラックバットとも協力して事件の真相を追う。彼らは謎の爆弾魔の野望を阻止することができるのか?爆発から始まったゴッサムの歴史は、爆発とともに幕を閉じるのか……?
謎めいたゴッサムシティ誕生の秘話が明かされた重要ミニシリーズ!

『ディテクティブコミックス』で高い評価を得、現在では『バットマン』のニュー52シリーズを手掛けているスコット・スナイダーが、注目の新人カイル・ビギンズ(『ナイトウィング』『デスストローク』)やライアン・パロットと手を組み、ゴッサムの創設期にまで遡るミステリーを作り出した。巻末には、『バットマン・インコーポレイテッド』の短編(主人公はパリのバットマンことナイトランナー)も同時収録している。


◆関連作品過去記事
【バットマン:ハッシュ 完全版】
【バットマン:バトル・フォー・ザ・カウル】
【バットマン&ロビン】
【バットマン:梟の法廷(THE NEW 52!)】
【バットマン:梟の街】
【バットマン:梟の夜】

◆収録作品

2011年02月:Detective Comics Annual #12
2011年02月:Batman Annual #28
※上の二作品はナイトランナーの短編部分のみの収録
2011年07月:Batman: Gates of Gotham #1
2011年08月:Batman: Gates of Gotham #2
2011年09月:Batman: Gates of Gotham #3
2011年10月:Batman: Gates of Gotham #4
2011年10月:Batman: Gates of Gotham #5


◆The Gotham City Massacre
今乗りに乗っているスコット・スナイダーがライターを務めた、ニュー52以前のバットマン作品がもう一作邦訳!
(厳密にはカイル・ヒギンズとの共作で、セリフ部分はカイルとライアン・パロットという方が担当している)
本作『バットマン:ゲート・オブ・ゴッサム』も前にレビューした『バットマン:ブラックミラー』と同じく、ブルース・ウェインではなく初代ロビンだったディック・グレイソンが二代目バットマンとして主役になっている作品です。
ブルースは新会社『バットマン・インコーポレイテッド』を発足し、世界中を巡って各国に配置する「バットマン候補」を探している最中なため、ゴッサムシティには不在中。

本作はこれまで明確にされていなかったゴッサムシティ誕生の謎が明かされ、また現代で謎の新ヴィラン「アーキテクト」が引き起こしたゴッサムでの爆破事件に繋がっていくというストーリーです。
ゴッサムの三つの名門一家、ウェイン家、コブルポット家、エリオット家が登場するゴッサムシティ創設期、19世紀末のエピソードと、現代で起こるゴッサム爆破事件を交差させつつ描いており、また作品全体に漂うスチームパンク的な雰囲気がこれまた好きな人には堪らない内容。
ブルース・ウェインの母マーサ(旧姓ケイン)の先祖も登場するため、ご先祖様がとことん揃い踏みです。

ゴッサムの名門一家
エリオット家の先祖、エドワード・エリオット
ペンギンことオズワルド・コブルポットの先祖、セオドア・コブルポット、
そしてブルース・ウェインの先祖、アラン・ウェイン
中央の若者は建築家のニコラス・アンダーズ

スナイダー作品ということで本作もミステリー的な色は強いのですが、アーキテクトの手により何度も起こる爆破シーンや迫力あるアクションシーンの存在もあって、ハリウッド映画を見ているかのようなスケールの大きい話が楽しめます。
三つの名門一家を狙い、またゴッサムを消さんとするアーキテクトの動機とは一体なんなのか。そしてその正体とは!?

巻末にはフランス人ビジランテ、ナイトランナーのオリジンが描かれる短編が収録。
この短編は『ゲート・オブ・ゴッサム』本編とは全く関係なく、どちらかといえば10月刊行予定のモリソンバッツ第三部、『バットマン・インコーポレイテッド』の外伝的なお話です。

ナイトランナー誕生
パリで自警活動に勤しんでいる青年の存在を知り、はるばるスカウトにやってきたブルース

主人公のビラル・アスラーがムスリム移民であることと、舞台となる街が過去に移民による暴動が起きたために荒れているというのもあり、作品から感じ取れるフランス的な雰囲気はやや薄かったり。
ビラル君の趣味がパルクールってのはまあそれっぽいんだけど!

◆感想
面白かった!
前にレビューした『バットマン:ブラックミラー』と比べると全5話とやや短めに纏まっているため、テンポよく進んでいくストーリー展開でした。
また『ブラックミラー』は殆どディック一人が活躍する内容でしたけど、本作ではダミアン、ティム、カサンドラとバットマンファミリーが勢揃いして事件の解決にあたるというのも見どころ。

トレバー・マッカーシーの描くゴシック風味なアートもストーリーと絶妙にマッチしております。
あと新ヴィランの『アーキテクト』スチームパンクチックなデザインが本当にカッコいいな!
作中で明かされる設定といい、これ一回きりの登場にするのは勿体なさすぎる……と思ったら、ニュー52の現在連載中の長期シリーズ『Batman Eternal』にも登場予定とのことです。

アーキテクトと対峙

本記事では『関連作品過去記事』の項でかなり多くのタイトルを挙げましたが、「あらかじめ読んでおくとより楽しめる」というぐらいで、本書単独でも充分にストーリーを楽しめます。

「エリオット家」についてより詳しく知りたければ「バットマン:ハッシュ 完全版」を、「BFTC」「B&R」はディックがバットマンになっている理由を知りたければチェック、ライターが同じ「梟三部作」本作で明かされるゴッサムの歴史等がストーリーに密接に関わっているため、気になるならチェックって感じで。
ただ『バットマン:ハッシュ 完全版』だけは先に読んでいない場合、本作でハッシュの正体という最大のネタバレを喰らうことになるので注意ね!

本作ラストシーンのディックの「ゴッサムは人を変えるのではなく、人の本性を引き出す街」というセリフは妙に印象に残りました。
『ブラックミラー』ではディックは「この街は良いところもある」と語っていましたが、実際ゴッサムシティの魅力って何なんだろう……?

【おまけ:ゲート兄弟のモデルになった人物】
関連記事

0 Comments

Leave a comment