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23 2014

グラント・モリソン&クリス・スプロース他/バットマン:ブルース・ウェインの帰還

ブルース・ウェインの帰還表紙
“黒衣の男に幸あれ。彼は扉と鍵を守る者なり”
“されど、彼の帰還は心せよ。それは世界の破滅なれば”

過去から未来へ……。
ブルース・ウェインの奇妙な冒険が今、始まる!!

ゴッサムシティから姿を消していたブルース・ウェインが復活するまでには乗り越えるべき試練があった……。
最強のヴィラン、ダークサイドによって記憶を奪われ、時空の彼方に追いやられたブルース。原始時代、魔女狩りの横行する中世、大航海時代、西部開拓期、そしてバットマン誕生前夜……時代を超える彼の旅は、DCユニバースの様々なキャラクターとの邂逅をもたらす。
バットマン史上かつてない、奇妙な冒険の幕が上がる!


◆関連作品過去記事
【バットマン・アンド・サン】
【バットマン:ラーズ・アル・グールの復活】
【バットマン:ブラックグローブ】
【バットマン:R.I.P.】
【バットマン:ザ・ラスト・エピソード】
【バットマン:バトル・フォー・ザ・カウル】
【バットマン&ロビン】

◆収録作品

2010年07月:Batman: The Return of Bruce Wayne #1
2010年07月:Batman: The Return of Bruce Wayne #2
2010年08月:Batman: The Return of Bruce Wayne #3
2010年09月:Batman: The Return of Bruce Wayne #4
2010年11月:Batman: The Return of Bruce Wayne #5
2010年12月:Batman: The Return of Bruce Wayne #6


◆モリソンによるバットマン新サーガ第二部、第二弾!
モリソンが手がけたクロスオーバー作品『ファイナル・クライシス』(未邦訳)でダークサイドと対峙するも敗北し、“死亡”したと思われていた初代バットマンことブルース・ウェイン。
しかし『バットマン&ロビン』でディックとダミアンの捜査により「ブルースは生存しており、今は過去の時代に飛ばされている」という事が判明。
ストーリーの終盤で彼は現代に帰り、ディックとダミアンの窮地を救って見事復活を果たすのだった!

それでも炎は燃え続ける、永遠に
『ファイナル・クライシス』のラストシーンでもブルースの生存が示唆されている

本作『バットマン:ブルース・ウェインの帰還』はディックとダミアンが新ダイナミックデュオとしてゴッサムで活動していた時、『ブルースが何をしていたのか』を描く一作となっています。

◆ブルース・ウェインの奇妙な冒険
原始時代、魔女狩りが行われている中世、大航海時代に西部開拓期、そして自身の両親が殺されたバットマン誕生前夜と、記憶を失ったブルース・ウェインが様々な時代を冒険するという、バットマンの正伝でありながらかなりケレン味の強い内容となっている本作。
各時代によってブルースが身に纏うコスチュームも変化するため、ある種『スーパーマン:レッド・サン』『バットマン:ゴッサム・バイ・ガスライト』のようなエルスワールド物を読んでいるような気分に浸れます。正史なのに!

各時代のバットマン
中世のバットマン、海賊バットマン、旧石器時代のバットマン、西部劇バットマン…
様々な時代で『バットマン』が活躍する

とはいえ「ブルースが原始時代に飛ばされている」というスタートはあまりにぶっ飛んだ展開すぎてちょっと、いや凄く困惑。
『R.I.P.』からの続きではなく、未邦訳の『ファイナル・クライシス』のラストシーンからの続きなので仕方ないけれども。

ただ過去に飛ばされるという展開は『オリジナルコミック日本語版』『黒の事件簿』などに収録されている1950年代の荒唐無稽な作風だったころと違い、リアル寄りな作風となった今のバットマンではなかなか書けないシナリオなのでこれはこれで面白いです。

それとこの展開を利用して一応DCユニバースに属しているものの、時代設定の違いからなかなか共演できないキャラを登場させているのも見どころ。
西部劇コミックの『オールスター・ウェスタン』のヒーロー、ジョナ・ヘックスと絡んだり、不死身のヴィラン、ヴァンダル・サベッジと旧石器時代や西部開拓時代で対峙したりするだけでなく、登場キャラのネーミングを大昔の冒険コミックから名前を引っ張ってくるなどオマージュにも溢れた作り。
クロマニヨン人の『アンスロ』『黒海賊(ジョン・バロー)』とか初めて存在を知ったぞ…!

【Anthro (New Earth)】
【Jon Valor (New Earth) 】

もちろんブルース・ウェインの父親を名乗って長い時代を生き続けてきたあの悪魔崇拝者、ドクター・ハートも登場、『バットマン&ロビン』では断片的に描写されただけだった過去の行動がより詳細に描かれてます。
第一部では1950年代の若干カオスだったバットマンのエピソードを現代的な解釈でストーリーに織り交ぜるという事をやっていましたが、今回はまた別の方面でマニアックな感じが。

あと本作、バットマン誌ではありますが本当に数多くのDCキャラがストーリーに関わってきます。

時間監視員とスーパーマン達
歴史上の全事象が記録されているバニシング・ポイントを訪れ、ブルース捜索を始めるスーパーマン達
ちなみにここに到達するまでの戦いを描いた『タイム・マスターズ:バニシング・ポイント』という
ミニシリーズが全6話で刊行された

実は『ファイナル・クライシス』でバットマンと対峙したダークサイドはその後ブルースの死を偽装し、彼を時空破壊兵器の爆弾に作り変えていた。
そして原始時代を始めとして何度も時空転移を繰り返させることで「オメガ・エネルギー」を蓄積させ、現代に帰還したときにそのエネルギーを放出させて時空間そのものを消滅させようとしていたのだ!

…というわけでスーパーマン達はバニシング・ポイントにいるこの保管員「ブッシュ・ロボット」と協力し、ブルースを見つけ出して何とか現代への帰還を阻止しようとするのですが、実はこの保管員の正体は…

◆感想
とにかく話が難解すぎる…!

聞き覚えのない固有名詞や専門用語が飛び出しまくるため、これまでのモリソンバットマンサーガの中でも会話内容やストーリー展開の掴みにくさはトップクラスかもしれない。
つっても第一部は今再読すれば初見時は意味不明だった描写などが細かな伏線だった事が解り大分読みやすくなってたので、今回は未邦訳の『ファイナル・クライシス』がガッツリ絡むのが話をややこしくしている原因かもしれない…多分。モリソンバッツ読んでると時々自分の読解力に自信が無くなる。

本作はブルースが現代のゴッサムシティに帰還するという話をやりつつ、『ファイナル・クライシス』の真の完結編を兼ねているような内容だったので、このクロスオーバーが未邦訳なのが本当に悔やまれます。
「ヴィレッジブックスが邦訳してくれていたかもしれない」というのもあって余計に。

ヴィレッジのポシャったラインナップ予定
2013年3月頃に書店で配布された小冊子より

でもそうそう見れないDCキャラとの共演や、奇妙な時間旅行を経て自分を取り戻していくブルースの姿は見ていて楽しめた部分でした。
それと『バットマン&ロビン』で出番が少なかったティム・ドレイクことレッドロビンがブルースを救おうと行動していた姿が拝めて満足。
「なんで殆ど姿を現さないんだろう」と思ってたんですけど、ティムはティムで独自に動いていたのね。

来月発売のバットマンサーガ第二部最終章『バットマン:ブルース・ウェインの選択』は、モリソンではなく様々なライターが脚本を担当する一作。
ストーリーがじわじわとリランチ直前まで追いついてきているので、なんだか今からワクワクしますな…!

【バットマン:ブルース・ウェインの帰還 関連イシュー一覧】

レッドロビンとブルース

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2 Comments

森野大吉  

色々あって今頃読んだ、俺参上。
モリソンらしくマニアックなネタ満載で面白いのですが、バットマン&ロビンと内容に齟齬が生じているのが残念。前者では、過去に飛ばされたブルースがディック達にそのヒントを残していた筈なのに、それらは全く描かれてないのですね。ラストで纏うコスチュームもバットマン&ロビンに登場した時のものと異なりますし、かなり違和感がありました。

2014/04/19 (Sat) 15:06 | EDIT | REPLY |   

森野大吉  

訂正。コスチュームは間違ってませんでした。
あと、アンスロとジョン・バローって、レガシーズvol.2に収録されているアトムの短編に登場しているんですね。どちらにしろマニアックですが。

2014/05/06 (Tue) 15:37 | EDIT | REPLY |   

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