ツルゴアXXX

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22 2014

マーク・ミラー&ブライアン・ヒッチ/アルティメッツ 2

アルティメッツ2表紙

「ソー、黙ってくれ。
 君は病気だ。自分自身の危険性をわかっていない」

「わからぬのは君らだ。ロキが現実をねじまげたというのに!
 君たちを送り込んだロキは舞台袖に隠れて笑っているのだぞ!」

「それは全部あなたの妄想よ」
「キャップ、頼む。彼らを説得してくれぬか?」
「残念ながら…君は狂人だ。黙って投降しろ」


映画『アベンジャーズ』の
原点となった前作『アルティメッツ』を遥かにしのぐ、
超ド級の大作がついに登場!!

世界をおびやかす脅威から人類を護るためにニック・フューリー将軍によって集められた最強チーム“アルティメッツ”。彼らは、「ハルクによるニューヨーク襲撃」、そして「人類全滅と世界の崩壊を狙った、変身能力のあるエイリアン“チタウリ”の侵略」という二つの大きな戦いに勝利を収め、世界中から賞賛される存在となっていた――。
この戦いから1年後、彼らは更なる波瀾の時を迎えていた。チームの中に裏切り者が紛れ込んでいるという疑惑が浮上。その意外な正体が判明した瞬間から、アルティメッツには修復できない亀裂が走り、チームの内側から一大崩壊が始まったのだ!
このかつてない危機にヒーローたちはどう立ち向かうのか!?


◆収録作品

2005年02月:Ultimates 2 #1
2005年02月:Ultimates 2 #1 VARIANT SKETCH EDITION
2005年03月:Ultimates 2 #2
2005年04月:Ultimates 2 #3
2005年05月:Ultimates 2 #4
2005年06月:Ultimates 2 #5
2005年07月:Ultimates 2 #6
2005年09月:Ultimates 2 #7
2005年11月:Ultimates 2 #8
2006年01月:Ultimates 2 #9
2006年03月:Ultimates 2 #10
2006年07月:Ultimates 2 #11
2006年08月:Ultimates 2 #12
2007年02月:Ultimates 2 #13


◆関連作品過去記事
【アルティメッツ】

◆“裏切り者”は誰だ
アクの強い性格に改変されたヒーローたちの活躍が楽しめる『アルティメッツ』の続編の邦訳版がとうとう刊行!
ヒーローたちがどんな風なキャラ設定になっているのかは過去記事を参照してください。

前巻だけでも話的にはキリよく終わってはいましたが、この『アルティメッツ2』では前作以上に壮大なストーリーが展開し、それに加えて人間関係もますますねじれ始め、異様な様相を見せる作品となっています。

前巻で描写された、800余名もの死亡者を出したハルク事件。
『アルティメッツ2』はそのハルクの正体がシールドに所属するブルース・バナーであり、世間からの抗議や避難を避けるために組織的に隠ぺいしていたという事実が何者かの手によりニュースで公表されてしまうという衝撃的な幕開けからスタートします。

『当時は情報操作でもしなければアルティメッツが解体されていたはずだった』…という事情を差し引いても、アルティメッツの汚点ともいえるこの出来事。

あのチタウリの戦いから一年…
現在もアルティメッツは世界を救ったヒーローチームとして一定以上の支持はされているものの、最近はイラクの戦いに介入したりと“国家の安全保障に利用されている”かのような側面を見せ始めており、ソーは考え方の違いから脱退。
少しずつですがチームに綻びが生じ始めているのです。

シールドはさっそく犯人捜しを開始。
機密情報に何度もアクセスした形跡があり、チームを抜けて国家に反逆し続けるソーに疑いを向け、とうとう彼を追い詰めるのですが…

誇大妄想狂ソー
ソーの正体はラボから雷神ソーをイメージして作られた兵器を盗み出したソーリーフという男
元々精神を病んでいたが、この超兵器を手にしたことで誇大妄想が加速したのであった

ソー本人は、
「君たちは我が邪悪な弟ロキに騙されている。
 ロキは時空をねじまげることができる。
 全ては彼が仕組んだことなのだ!」
…と支離滅裂な主張を続ける始末。

この『アルティメッツ2』では、前巻以上に壊れていく人間関係が描写されていきます。
ハルクことブルース・バナーは法の裁きを受け、ジャイアントマンことハンク・ピムは前巻のジャンに対するDVが発覚してからシールド内での立場が悪くなり、とうとう追い出される事に。
そして前巻ラストから付き合い始めたキャプテン・アメリカとジャンは最近話が合わないことが増え、不仲になり始めている。
チーム内に生まれた亀裂はどんどん大きくなり、最後にはとうとう…

ジャンと上手くいかなくなり、友人と呼べる人がすっかり老人になったバッキーしかいないという現実に改めて涙するキャップの姿は見ていて切ない。
ラストバトルのスケールは前巻以上なのですが、こんな部分までスケールアップするとは思わなんだ。

◆感想
『アルティメッツ』は序盤から中盤にかけて描かれる人間ドラマが生々しく、ストーリー展開もとにかくエグい。しかし終盤の最終決戦ではヒーロー物らしく爽快な大逆転劇が楽しめる。
これが本当にスカッとする!ぐちゃぐちゃになる人間模様を描写しつつも、なんだかんだで最後には物語が綺麗に締めくくられるのが堪らない!

それと前巻では活躍の少なかったホークアイやマキシモフ姉弟の活躍が増えているのも嬉しい。
特にマキシモフ姉弟は前巻では「活躍部分が意図的に描かれない」というギャグキャラな扱いしかされてませんでしたからね。

アヤシイマキシモフ姉弟
アルティメッツのこの二人は相変わらず関係がアヤシイ

今作では、他のアルティメットシリーズ(「X-MEN」や「ファンタスティック・フォー」、「スパイダーマン」)からもヒーローたちが続々登場しており非常に賑やか。前作よりもアルティメット世界の繋がりを感じる。
基本的に顔見せレベルの出演ですが、正史とは微妙に違う彼らの姿を拝めちゃったり。若々しいメガネリードはなんかスゴイ新鮮だな!
また、デアデビルことマット・マードックもブルースの弁護士として登場しています。

この他にもキャプテン・ブリテンや、ディフェンダーズのメンバーとしてサン・オブ・サタンがれっきとした人間となって出演していたりと、ちょっとした脇役でも聞き覚えのある面々が登場するので結構ニヤニヤさせられたり。
それと終盤に登場する新型アイアンマンスーツのデザインは、『ワールド・ウォー・ハルク』のハルクバスターアーマーを軽く超えるインパクトでした。必見。

あとアルティメッツ2では、本登場する前からロキがどこかのコマに何度かこっそり映っているというお遊び要素があります。探してみるのも一興。

まあとにかく面白かった!
前巻に続き、今作もおススメの一冊です。
“裏切り者”の正体が判明してからのジェットコースターのような展開も最高の見どころですが、個人的には序盤、中盤、後半で読者の同情を引いたり引かなかったりするピムの姿にも注目してほしいところ。

若者たちの中に転がり込む
アルティメッツから外され、シールドからも追い出されたピムが行き着いた先は
スーパーヒーローに影響された若者たちのチーム『ディフェンダーズ』だった
ピムは「スパイダーマンやX-MENを紹介するよ」と見栄を張って転がり込む
とことん落ちぶれてしまったが、ピムはそれでもなんとかしてこの泥沼から這い上がろうとする

読んでる時は「皆してそこまでピムを追い詰めなくてもいいやん…」と感じ始めていたのですが、終盤でのピムの行動を見て「あ、やっぱコイツだめだわ」と思いました。

◆その後の『アルティメッツ』
『アルティメッツ2』をもって、マーク・ミラーとブライアン・ヒッチによるアルティメッツのストーリーは綺麗に完結した…のですが、アルティメットユニバースが現在も続いている以上、アルティメッツの戦いもまだまだ続く。
本作の完結後、2008年にはジェフ・ローブとジョー・マデュレイラがコンビを組んだ『アルティメッツ3』全5話で制作されています。


評判はあまりよろしくない一作な模様
ただ本作でもクズな面が目立つピムがきちんとヒーローをやっている作品だとか
現状邦訳は検討されていないようで、本書の解説書にざっくりとストーリー展開が記載されてます

そして2014年現在はアルティメット世界も『アルティメット・マーベルNOW』というレーベル名でリランチされ、スパイダーマン(マイルズ・モラレス)、ブラックウィドウ、キティ・ブライド、ボムシェル、クローク&ダガーという若者だけで構成された『オール・ニュー・アルティメッツ』が活躍しているとのこと。
【All-New Ultimate】

◆おまけ

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5 Comments

アウル  

今1を読んでますが、なかなか面白いですね。
DCのNEW52が新規の方々にもわかりやすいのに対して、こっちはある程度正史のストーリー理解してたほうが楽しめるっていう新規開拓と見せつつ新規置いてけぼりな展開は読んでて面白かったですw(まったくではないが)

やっぱハンクはダメ男扱いなんですね(´・ω・`)
どっかのサイトで「ハンクの最低っぷりなんてこんなもんじゃね~ぞ!」って記事ありましたが、一体どうやったらここまで嫌われキャラになるのやら(^^;

2014/03/23 (Sun) 22:49 | EDIT | REPLY |   

No Name  

コメンタリーにもチラッと記載されてましたが、この後の大事件でいろんなキャラが大変な目に遭ってしまいます。
(本書の時点でもほとんど全員がヒドイ目に遭ってるけど)

なんだか、鬼籍に入った俳優さんばかりが出演してる昔の映画を見てるような気分になる一冊。

2014/03/26 (Wed) 03:26 | EDIT | REPLY |   

WRRRYYYYY  

本作で一番驚いたのがアイアンマンのスーツ。”ヒト”の枠を超えたスーツに顎が外れたww

アルテイメット X-MENやファンタスティック・フォーの活躍が見れてほっこり
(チャールズやスコットの出演シーンはGOOD)

2014/03/26 (Wed) 16:11 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>アウルさん
>ハンクはダメ男扱いなんですね(´・ω・`)
アルティメッツのピムはもうなんていうか「そういうポジション」のキャラって感じでしたね…逆にすがすがしい!
映画『アントマン』が公開される頃に何かしらピムがカッコよく活躍する邦訳とか出たりしないかなー。

>>No nameさん
>この後の大事件でいろんなキャラが大変な目に遭ってしまいます。
う~ん、この「2」でかなり綺麗に話が完結してるんで続きは出てほしいような…そうでもないような…

>>WRRRYYYYYさん
>本作で一番驚いたのがアイアンマンのスーツ。”ヒト”の枠を超えたスーツに顎が外れたww
あれもうモビルアーマーの類だと思うんですけど!

2014/03/27 (Thu) 23:12 | EDIT | REPLY |   

赤髪フェチ  

うーん…作品や作風は嫌いじゃないしストーリー構成は秀逸だと思うんですけど……キャラが合わなかったです。強いて言うなら愛着が持てない…。
なんというか「意外性」や「らしくなさ」前提で構成されたように思えてしまって…それを言ったら例えばマーベルゾンビーズとかはどうなんだよと言われればそれまでですが、やはりブラックジョークやキャラクターの「負」や「闇」の面の描写においても好みは分かれますね…。
アベンジャーズはアベンジャーズであってこれは飽くまでアルティメッツ。一個の物語としては十分評価されて然るべき作品でした。

2014/04/03 (Thu) 19:03 | EDIT | REPLY |   

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