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04 2010

飯島市朗/トルコ星座の男たち

表紙_convert_20110317170027  裏表紙_convert_20110317170040

表紙のインパクトで普通の人は避けてしまうんじゃないかというこの漫画。
作者は飯島市朗先生です。

とにかくカルトな漫画を多数発表した飯島市朗先生。
そのカルトさたるや2chの漫画板を持ってしてもろくに語られずにスレが落ちるという…
コレがそのスレです。
http://comic.2ch.net/test/read.cgi/comic/1056630624/
↑なんと総レス数22レス目の内容が気になる…

こんな内容でした。結局語られてなかったんですね…

2. 名無しんぼ@お腹いっぱい 03/06/26 21:34 ID:kCqClq9f
アタイこそが 2げとー


飯島市朗先生は1968年にデビューされた漫画家であり、
青年劇画誌、エロ劇画誌などに約10年間作品を発表した人です。
(漫画ブラックパンチ、現代コミック、官能劇画など)

その作風というと、とにかくハードボイルドな濃ゆいキャラクター達が独特すぎる世界観の中で動き回っているという…
なんというか上手く形容しがたい面白さを持つ内容となっております。
(※割と普通に面白い作品もあります)

101203_235329_ed.jpg
コマ一つとっても視覚に与えるインパクトは相当なものです。(収録作品『狂(くるい)牙』より)
戦闘シーンのある作品も多く、そのどれもが残酷で迫力があります。

単行本が存在せず、長らく雑誌を漁ることでしか作品が読めなかったのですが、
2003年にグッピー書林大西祥平辻中雄二郎のレア漫画復刻レーベル)から傑作選として発売されました。
【参考リンク ニュー漫画大学】(大西祥平さんの旧サイト WEBアーカイブ 本書の復刊話がちょっと載ってます)

400ページ以上の大ボリュームなためたっぷり飯島ワールドを堪能できます。
ただ原画が今や存在しないために収録雑誌を強引に印刷するという方法を取っているため、
漫画の画質はあまり良くないです。

エロ劇画誌に掲載された作品も収録しているのでエロ漫画に分類されるのですが
どちらかと言うと怪奇ないし劇画漫画のシリアスな内容を全面に押し出した感じになっているため、
読むのにそれほど抵抗はないはずです。
濡れ場も青年誌レベルにとどまっていますしね。(男女の性器が完全に消されている)
青年劇画誌に掲載された作品もあるので収録作品全てがエロ漫画というわけでもないです。

[収録作品]
『暴殺!デスマッチ』
『トルコ星座の男たち』
『ちんまん仁義』
『原始惑星』
『殺人狂時代』
『スーパーアニマル』
『九鬼家の崩壊』
『ヤサグレ稼業』
『地球の終焉』
『潜在細胞』
『空を飛ぶ異端児』
『凶暴な胃』
『恐怖の乳房』
『夜の中ピ連』
『狂(くるい)牙』
『真夜中の復讐者』
『予期せぬ訪問者』
『ゴリラとの結婚・後編』
(前編は残念なことに掲載誌が見つからなかったそうです(泣)でも前編のあらすじは収録されています)

『インタビュー』(飯島先生にインタビューする内容です)
『ファンタスティックメイク 縮小版』

台詞や擬音に独特なセンスが光る!その一部を取り上げますと…

「トムン トムン」(拳銃の発砲音)
「ふうほおうーっ ほぉーっ」(呼吸音)
「華やかな芸能界の裏に蠢き赤いピーナッツを啄むゴキブリ野郎!!」
(収録作品「ヤサグレ稼業」のハシラ文)
「わははははは たかが近親相姦ぐらいでオタオタしてたんじゃ麻薬の密輸で食っちゃぁいけねえよ わあははは」収録作品(「夜の中ピ連」より)
「ぱむん!!」(斬激音)

もちろん劇画漫画だけもあって渋い台詞も多いです。
「きみは狼だ!――犬の仲間にしておくことはこれ以上出来ないっ!!」(収録作品「トルコ星座の男たち」より)※主人公が刑事を首になるシーンなのにこの渋い台詞
「また しばらく両雄並び立たずだな…」「男女同権ね…いつか女が天下を治めるまで…」(収録作品「ちんまん仁義」より)※高校生男女の会話です
「あいつも俺もおふくろの乳房を無心で吸っていたときはあったんだ いつの間に考えるって能力をつけちまったのかな…」(収録作品「ヤサグレ稼業」より)


見所の一つでもある濡れ場では…
「そこョォ」「おんっ」「あ!アァ~シ・・」(あえぎ声)
「どん どん どん どん」(ピストン音)
「ちゃぁ ちゃぁ ちゃぁ ちゃぁ~ ちゃぁ~ ちゃぁ」(達した瞬間を表現した擬音?)
「ドドクゥン」(射精音 まるで格闘シーンのような動きで達する)
「痛陰!!」(処女である女性が犯されるシーンより 画像は出せませんが体位も斬新すぎます)

基本的にどの収録作品もテンポよく進み、やけに印象に残る台詞、
インパクトのある世界観と衝撃のオチが用意されています。

次に、面白い・気になった作品を紹介したいと思います。
『ちんまん仁義』
スケバンである高校生、○○○(ネタバレ防止)の母親が交通事故で死亡してしまう。死に際に母親は○○○に「死んだと教えていた父親は実は生きている。私は体が弱かったのだがあなたの父親は毎朝毎晩無理やりセックスを要求してくる男だった。そして私が拒みだすようになると捨てられた…」という衝撃の事実を伝える。その父親の名前は立花進。
母親の見舞いだけでなく葬式にも現れなかった父親に復讐するために○○○の仲間であるスケバングループと同じ高校の番長グループが手を組むのだが…

101203_211418.jpg彼が立花進

この作品にはちょっとしたミスリードがあるため一応名前は伏せました。
立花進のカリスマ溢れる長台詞とラストシーンのナレーションは必見!
あと作中のメインキャラクター、スケバンの真理子さんが美しいです。(濡れ場もあり)
101203_215812.jpg普通にスマートに描かれています

『原始惑星』
2968年、宇宙開発調査船が銀河系PX星座第8A4惑星に不時着した――。
乗組員15名の内男二人、A(名称不明なので仮名Aとしました)とその弟・敬司と女一人、Aの妻・美佐子を残して全員死亡――。
地球へ救助連絡が不可能な状態になってしまい、第8A4惑星に住む宇宙人夫婦と一緒に助かる方法を模索する事になってしまう。
実はAの妻は敬司と浮気しており、Aもその原因が自分のインポにあると理解している。
Aは浮気を知った上で二人を「地球上で一緒にしてやろうと思っている」という話を宇宙人夫婦にするのだが…

101203_213730.jpg

この作品のテーマは『嫉妬』です。
SFミステリーとして発表されているのもあって後半は嫉妬に狂う人間の恐ろしさが描写されています。

『殺人狂時代』

「足を踏まれた」、「少し胸に手が触れた」…などという些細な理由で殺人が起きる事が日常茶飯事となった時代。
しがない町医者の男はその原因が血液中にある殺人ビールズによるものだと言う事を発見し、抗体ワクチンを発明。後は人体で実験を行うだけなのだが…

101203_213753_ed.jpg
ちょっとしたショート・ショートを読んでいるような作品であり、
この本のなかでは怒涛のテンポと斜め上のオチというわけでもない普通の面白さがある一作です。

『地球の終焉』
星新一の「弱点」に似てる話。
※『地球の終焉』は70年作品。星新一の『弱点』は60年作品。

『潜在細胞』
外科医の山岡正は死んだ生物の一つの細胞を人工成長させて奇形ではあるが再生させることに成功した。
そんな折、息子の幸雄がダンプにはねられて即死したとの報が入る。
父である山岡はこれを人体による臨床実験としてのチャンスとして捉え、実験を始めるが…

101203_232640_ed.jpgダイナミック人身事故

導入部分は目を引く内容だったのですがどうにもオチの弱い話。
最後は「深そうで良く分からない台詞」で締めてしまうので何かもやっとする作品です。

『予期せぬ訪問者』
レディース物産社長、山河美佐子の夫で副社長であるB(便宜上仮名つけてます。名前が分からないままのキャラがちらほら出てくるんですよ…)は宇宙人である「銀河系第18惑星人」と遭遇する。
Bは有能な社長である美佐子を疎ましく思っており、宇宙人を脅して美佐子の殺害を依頼するのだが…

101204_000916.jpgけっこうあっさりと受け入れる主人公

これは結構深い台詞で締める話。しかし話の流れがアレなのにいい話風に終わる。
宇宙人がいいキャラしてます。「好奇心です!」

『ゴリラとの結婚・後編』
黒人よりも優秀な人種とされているゴリラ人、ゾニー・アフリンと結婚した房子。
最初の頃は夫がゴリラであることに恐れを感じ、すべてを受け入れることができなかったものの、夫にそっくりな息子が生まれたときを境に次第にゴリラ人との生活に満ち足りたものを感じるようになっていく…。

101204_003302_ed.jpg

インターネット界の極々一部で話題の作品ですね。

この本の収録作品の中で最もぶっ飛んだ発想で作られた作品だと思います。
なぜか房子以外の人間は「ゴリラ人」の存在に何の疑問も感じていないという設定がSFホラー風味をかもし出していて面白いのですが…この作品もオチてないんですよねぇ。

『ファンタスティックメイク 縮小版』

幻の最終作です。86~87年作品というのもあってか絵柄が結構変化しています。
絵柄もそこまで濃ゆくはないですが飯島先生の作風は健在です。
長々と語ってしまいましたが、一般誌の漫画ではなかなか見られない、
作者の個性が強く現れている漫画を読みたいと思っている人、この本はオススメです。
作者との対談がまとめられているインタビューではいかにしてこのような作品群が生まれたのか、
何の影響を強く受けたのか語られている必読の内容です!
自費出版というのもあって一般書店には流通しておらず、
通販を利用するかその手の本も取り扱っている書店で探すしか入手方法はありません
が、
損はしないとおもいますよ!

ページ数が大幅に減少しているものの、
傑作選の2巻も発売しているのでその内レビューしていこうと思っています。

【飯島市朗 / スケバン貴族】
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