ツルゴアXXX

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24 2013

ジャド・ウィニック&ポール・リー他/バットマン:アンダー・ザ・レッドフード

バットマンアンダーザレッドフード表紙

「俺は違う。
 殺すべき悪党は殺せばいい。もし俺の正義を邪魔するなら、そいつも同罪だ。
 あんたは今までずっとゴッサムを救ってきた。この街が自滅しないように。
 けど、何もわかってない。
 ここは悪の街だ。悪と戦うには悪になるしかない。
 俺ならこの街に平和をもたらせる」


赤い仮面レッドフードの下にある真実とは……。

バットマンは、ゴッサムシティの暗黒街を牛耳る“ブラックマスク”との戦いに追われていた。そんな彼の前に“レッドフード”と名乗る新たな強敵が現れた。闇の騎士バットマン、謎の男レッドフード、そして巨悪の組織を率いるブラックマスク。互いの思惑が交差するなか、三つ巴の戦いが始まった。ヒーローとヴィランの双方を敵に回すレッドフードとはいったい何者なのか……彼は単なる犯罪者なのか、それとも……。バットマンの手の内を知り尽くしたレッドフードの正体が明らかになったとき、闇の騎士の苦い過去が甦る……。

本書は、ベストセラーとなった問題作『バットマン』#635-641,#645-650と、完売になった『バットマン・アニュアル』#25を収録した作品である。カバーアーティストはマット・ワグナーとジョックが担当した。


◆関連作品過去記事
【バットマン:デス・イン・ザ・ファミリー】
【バットマン:ハッシュ 完全版】

◆収録作品

2003年10月:Batman #618 ※4ページのみ収録
2005年02月:Batman #635
2005年03月:Batman #636
2005年04月:Batman #637
2005年05月:Batman #638
2005年06月:Batman #639
2005年07月:Batman #640
2005年08月:Batman #641
2005年11月:Batman #645
2005年12月:Batman #646
2006年01月:Batman #647
2006年02月:Batman #648
2006年03月:Batman #649
2006年04月:Batman #650
2006年05月:Batman Annual #25


◆WHO'S HIDING UNDER THE RED HOOD?
小プロの今年最後の邦訳アメコミはバットマン!

刊行タイトルは謎の男“レッドフード”が初登場する人気作『バットマン:アンダー・ザ・レッドフード』
(厳密にはレッドフードという名前は過去に色々な犯罪者が襲名しているのだけれど、今レッドフードと言えば大抵本作で登場するキャラの事を指すのでその辺は割愛)
この作品は元々刊行する気はなかったらしいのですが、邦訳を望む声の大きさを聞き入れ色々リサーチした結果邦訳を決定したのだとか。
ていうか最近読者の声が届くパターン多いな!いやーアメコミファンからすれば嬉しい流れですね。

本作は全13話+アニュアル1話で360ページ超えという凄まじいボリュームの1冊。
バットマン好きの間ではもうレッドフードの正体は『犯人はヤス』レベルで周知されちゃってる気もしますし、アマゾンの内容紹介に至っては完全にネタバレをかましているんですが、本記事では彼の正体に触れずにレビューしたいと思います。
…上記で関連記事を紹介した時点で察されそうだけれども!
(※追記:2014年1月24日にアマゾンの内容紹介は修正された模様)

突如ゴッサムシティに現れた謎のアンチヒーロー、レッドフード。
彼はゴッサムで力を持つギャング達を一堂に集め、ある取引を持ちかけます。
それは『麻薬の密売は今後レッドフードが取り仕切る』事、そして『売上の40%を自分に上納する』事。
ただし子供には麻薬を売らない事と学校区域には近づかないというルールを敷いて。
その見返りとしてに彼らをゴッサムの暗黒街のボスであるブラックマスクとゴッサムの守護者・バットマンから守ってやるという条件を突きつけるレッドフード。
当然ギャング達はその申し出を却下するのですが、レッドフードがたった2時間で処分してきた側近たちの首を投げつけ戦闘能力の差を見せると、彼らはあっさり配下に。

爆殺するレッドフード
バットマンとは違い、犯罪者は容赦なく殺害する

こうしてじわじわとゴッサム内で力を付け、犯罪を管理していくレッドフード。
縄張りを荒らされまくり、次第に怒りを募らせたブラックマスクは部下やギャングを差し向ける。
そして独自にレッドフードを追い続けるバットマン…こうしてそれぞれの思惑が交差する三つ巴の戦いが繰り広げられることになります。

バットマンとブラックマスクを敵に回し、一人戦い続けるレッドフードとは一体何者なのか。
彼の真の目的とは一体?

PICK UP キャラクター ブラックマスク
駆けろ!ブラックマスク「約束を守りやがれ、ゲス野郎が!」

ギャング抗争に勝利しゴッサムシティの暗黒街を牛耳っているボス。本名はロマン・シオニス。
不気味な黒いマスクは死んだ父親の棺の中にあったもの。しかしバットマンと激闘を繰り広げてきた結果、このマスクは皮膚に焼き付いてしまう…そうして、彼は『ブラックマスク』と化した。
ブラックマスクはゴッサムシティの中でも特に冷酷な犯罪王なのである!

そんな彼が本作では序盤から終盤まで出ずっぱりのメインヴィランとして登場、さぞバットマンらを苦しめるのだろうな…と思いきや、
レッドフードに最後までいいように振り回され続ける小物キャラとして描写され続ける羽目に。
どうしてもシリアス展開にならざるを得ない本作で、読者にほっと一息与えるギャグキャラとして活躍させられるのでした。
役立たずの部下をさっさと処刑する冷酷さもちらほら見せつけてはくれるのですが、それ以上に自分の秘書(男)妙に親しげに会話するシーンが目立つのも笑いを誘う。
レッドフードに殺されかけた後に二人でウィットに富んだ会話をするシーンとかすごい好き。

ちなみにニュー52の現在では、「マスクの力で他人の精神を操ることが出来る」という能力が与えられている模様。
『バットマン:梟の夜』で拝める彼の姿は非常にシリアスです。弱いけど!

◆感想
不殺を貫くバットマンが支払う事となった大きな代償…いやもう素晴らしいストーリーでした。
特に終盤、正体が判明してからのレッドフードとバットマンの会話には思わず涙が。
本作単独でも十分に楽しめますが、個人的には関わりの深いストーリーが描かれている『バットマン:デス・イン・ザ・ファミリー』と、本作に繋がる伏線が張られている『バットマン:ハッシュ』を事前に読んでおくことをおススメしたい。

一線を越えることは簡単だ
“一線を越える”のはそんなに難しいか?

あと本作、『バットマン:ハッシュ』に勝るとも劣らない勢いで登場人物が多いです。
スーパーマンやグリーンアロー、デスストローク、ミスター・フリーズといった有名処はもちろんですが、ちょっとマイナーなザターナ、オニクス、キャプテン・ナチ、ハイエナ、キャプテン・ブーメランまでもが出てくるとは思わなんだ。

難点を挙げると、本作は当時展開していたクロスオーバー『インフィニット・クライシス』と並行して描かれた作品でもあるため、作中で起こる一部の事件の顛末がはっきりと描写されないまま終わってしまうのがちょっとモヤモヤするかなー。
とはいえさすがに解説でフォローはされていんですけれど。
加えて最終話となる#650のラストシーンも若干あっさり目。
ただこれに関しては、実はリーフで発売された時にはラストにもう1ページ存在していたものの、『インフィニット・クライシス』にそのまま繋がる内容であり本作とは関連性が薄いという理由からTPB化の際にカットされたのだとか。
【カットされたラストシーン。ネタバレ注意】

今回訳者の高木亮氏が「インフィニット・クライシス」関連の出来事についての解説リンクを独自に作成されているので、この辺りの出来事をもう少し詳しく知りたい方は要チェック。
【「DCユニバース あらすじ」】

ただそれを差し引いても本作『バットマン:アンダー・ザ・レッドフード』間違いなく傑作なので強くプッシュしておく!
関連記事

6 Comments

アウル  

まぁ、これより前に発売された「梟の夜」でも素顔が割れています上wikiでもネタバレされちゃってますし、レッドフードが誰かはしょうがないかと(^^;

最近、ブルースのとある人物が亡くなって真っ先に弔問に訪れたのがレッドフードでしたね。
なんやかんやでこの子、ブルースのこと嫌いに成り切れてないんだな~と感じました。

2013/12/26 (Thu) 22:32 | EDIT | REPLY |   

星羅  

不殺の代償

動画にもなってる人気作ですから翻訳は嬉しいですね。バットマンの不殺とその代償、一線を超えるとはどういうことなのか。バットマンの正義とその罪を描いているのですが、それを突きつけられるのはレッドフードしかいないんですよね。バットマンと彼の対話はそこが切なかったです。今は記憶喪失と聞いていますが、早く元に戻って欲しいですね。

2013/12/28 (Sat) 16:17 | EDIT | REPLY |   

サム・ライス  

聞くところによるとNew52のレッドフードは普通にバットケイブへ入れたり、
「二人(もう一人はアルフレッド)が無事で嬉しいよ」という温かい言葉をブルースからかけてもらったりと
かなりの関係改善が見られたようですね。
設定改変であまり歳を取っていないことになったので、ブルースはまだあまり頑固じゃないのかな?(笑)

2013/12/31 (Tue) 12:07 | EDIT | REPLY |   

michael  

はえ~みんなすっごい最近の展開に詳しい…(畏怖)

>>アウルさん
そういえば「梟の夜」編では多くのバットファミリーが有無を言わさずタロンとやりあってる中、レッドフードは対峙したタロンの心の中に踏みこもうとしてましたね。
アンチヒーローしてるはずの彼がバットファミリーの中では一番優しいのかもしれない…というのはちょっと面白い光景。

>>星羅さん
>動画にもなってる人気作
字幕だけでもいいから日本語版を発売してくれないかしらん。唐突にダークナイトリターンズのアニメが発売されたみたいに。
ワーナー!ワイは信じとるで!

>>サム・ライスさん
二人ともそんなに距離が近くなってるんですか!
本書を読み終えた後にそういう話を聞くとなんだかホッとします。

2014/01/03 (Fri) 21:15 | EDIT | REPLY |   

星羅  

人間の弱さと悪ふざけ

お返事ありがとうございます。アニメも翻訳版ほしいですよね。
ところでデッドプールとパニッシャーの方で感想が書けないので(書いても不正な投稿とでてしまうのですが、どうすればよろしいでしょうか?。)

2014/01/05 (Sun) 18:47 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>星羅さん
おそらくfc2の禁止ワードフィルタに何かしらの単語が引っかかっているんだと思います。
この禁止ワードは管理者にすら公開されてないんで、僕もたまに投稿できない事があります。

フィルタを利用しなければ問題なく書き込めると思いますが、この設定を解除するとコメントスパムもひっきりなしにやって来るんで…
お手数をお掛けして申し訳ないのですが、文章中で問題がありそうな箇所を色々書きなおして試してみて下さい。

2014/01/05 (Sun) 22:03 | EDIT | REPLY |   

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