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21 2013

ダン・スロット&ジョン・ロミータJr.他/スパイダーマン:ニューウェイズ・トゥ・ダイ

スパイダーマン:ニューウェイズトゥダイ表紙

「お前は全てを持っている!
 権力も!地位も!全てを高みから支配して!
 友人にも家族にも恵まれ…名誉も名声もある!
 なのに、唯一の望みが…スパイダーマンだと!!?」


スパイダーマンの物語がいよいよ本格始動!
ヴェノム、メナス、グリーン・ゴブリン……宿敵たちが動き出す!!


ニューヨーク市長選挙が異様な加熱を見せる中、ヴィランのメナスが謎の暴走を始めた。候補者の一人がその混乱に巻き込まれている間に、もう一人の候補者は裏に手を回し、とある実力者のバックアップを得ようと画策する。その要請に応えてニューヨークに現れたのは、なんと政府の高官となったノーマン・オズボーンだった!
一方、ピーター・パーカーの元上司で、新聞社DBの発行人デクスター・ベネットは、近頃街を騒がしていた連続殺人犯の正体はスパイダーマンだと主張し続けていた。ノーマンは殺人鬼スパイダーマンを捕えるためサンダーボルツを出動させる。メンバーのソングバード、ラジオアクティブマン、ヴェノム、ブルズアイは、当局の命令のもとスパイダーマン狩りに乗り出した!
スパイダーマンを襲う「ニューウェイズ・トゥ・ダイ(新しい死に方)」はこれだけではない。我らがヒーローは逃亡者となっただけではなく、新たな脅威“アンチ・ヴェノム”と対面する。そして、その背景にはまた別の脅威の影が……。

ハイ・コンセプトなストーリー、何重にも重ねられたプロットと伏線、いきいきと動き回るキャラクターたち――。本書には、前作『スパイダーマン:ブランニュー・デイ』でその才能を見せた新しいクリエイター・チームに、長年スパイダーマンを描き続けてきた伝説的アーティスト、ジョン・ロミータJr.が参戦!そのダイナミックにして壮麗なアートで、ダン・スロットの息もつかせぬストーリーを飾る。さらに、ベテラン・ライターのマーク・ウェイドと、『アイアンマン:エクストリミス』で世間を驚愕させたアディ・グラノフによるバックアップ・ストーリーも収録!


◆関連作品過去記事
【スパイダーマン:ワン・モア・デイ】
【スパイダーマン:ブランニュー・デイ1】
【スパイダーマン:ブランニュー・デイ2】
【スパイダーマン:ブランニュー・デイ3】

◆収録作品

2008年10月:Amazing Spider-Man #568
2008年10月:Amazing Spider-Man #569
2008年11月:Amazing Spider-Man #570
2008年11月:Amazing Spider-Man #571
2008年11月:Amazing Spider-Man #572
2008年12月:Amazing Spider-Man #573


◆スパイディ邦訳再始動!
小プロのスパイダーマン邦訳が約8か月ぶりに再開!
ワン・モア・デイから始まったスパイダーマンのリブート作品『ブランニュー・デイ』の邦訳を始めてくれたのはいいものの、3巻まで読んでも作中で張られた伏線は回収されないままだったので、続編の刊行は嬉しい限り。

…しかし、前巻、『ブランニュー・デイ3』が#563までの邦訳だったのに対し、今回の新刊は合間のエピソードを若干すっ飛ばして#568からの邦訳。
本来であれば次は#564-567までを収録した『クレイブンズ・ファースト・ハント』というTPBを邦訳するべきだと思うのですが、残念ながら今後もスパイダーマンの邦訳は途中の巻をちょいちょいすっ飛ばしての邦訳となりそうです。
解説でもあまり飛ばしたエピソードのフォローをしてくれていないのが残念。


ルームメイトのヴィンに失業していることがバレたり、
ヴィンがスパイダーマンの正体と勘違いされてヴィランに攫われたり、
スパイダーマンがデアデビルのコスチュームを借りてヴィンの救出に向かったりと、
とにかくヴィン絡みのエピソードで構成されている一冊

でもストーリーの面白さは折り紙つき!
今回はノーマン・オズボーンとノーマンが率いるサンダーボルツとの戦いがメインとなっていて、否が応にも盛り上がる内容となっていますよ!
ってなわけで早速紹介。

◆NEW WAYS TO DIE
あるビルの中に強制労働施設が存在していたことをメナスとの戦闘で偶然発見するという特ダネを掴むも、DBのデクスター・ベネット編集長の圧力でどの新聞社にもその特ダネ写真を持ち込めないピーター。
しかし、親友のハリー・オズボーンの助言で、DBから移った社員が集まり、その圧力に屈せず“本当の新聞”を作っている小さな新聞社『フロント・ライン』へとその写真を持ち込むことが出来ました。
しかも、市長選の候補者、ランドール・クラウンが不老移民を集めた強制労働工場のオーナーであるという大ネタまで判明!
この一大スキャンダルをフロントラインは報道するのですが…
「このままでは破滅だ!」と考えたクラウンは腹心である大企業オズコープ社長、ノーマン・オズボーンの力を借り、またDB社とも手を組んでイメージの払拭にかかるのでした。

サンダーボルツ万歳!
無登録のヒーローを狩るために結成された政府管轄のチーム“サンダーボルツ”
現在はノーマンの指揮下に置かれており、大衆のアイドル的な存在となっているのだ!
ちなみに紅一点のソングバードは人気No.1

さらにクラウンの対立候補であるNY市警のビル・ホリスターをサゲる発言も忘れないノーマン。
「我々は殺人犯のスパイダーマンを確実に逮捕する」とも発言。
サンダーボルツを放ってスパイダーマンの捕獲に乗り出します。

ちなみにビル・ホリスター市長候補はメイ伯母さんも働いているホームレス自立支援施設『FEAST』の支援を行っており、また「自分の支持者は中傷合戦など望んでいない」と言い、クラウンのスキャンダルを利用して選挙を有利に運ぼうとはしない高潔な人物。

メナスの目的とは

…なのですが、最近街で暴れている謎のヴィラン・メナスと何らかの関係があるかのような描写がなされています。
メナスは市長選挙を翻弄させて、何か“壮大な計画”を成功させることが目的のようなのですが…
うーん本当に正体が気になるヴィランだ。
ちなみに記事のトップに書いたセリフは、メナスが自身の強い影響力をスパイダーマンにしか行使しようとしないオズボーンに対して怒り、言い放ったものです。
一体メナスは何が目的なんだろうか。

もう一つ注目したいのは、元ヴェノムであるエディ・ブロックの登場。
今の彼はガンを患っており、髪も抜け落ちてすっかり弱弱しい外見になっています。
かつてのムキムキな肉体は見る影もありません。
現在はホームレス自立支援施設『FEAST』で、メイおばさんと一緒に働いています。
メイおばさんはエディの事を凄く気にかけてくれていて、その関係性がなんだか良い。
そんなエディに、原因は謎ですが身体に変化が起き、突然ガンが完治するという奇跡が。
この『FEAST』では神の奇跡で重病が治るという噂があるのですが、それがエディにも起こったのでしょうか。
とにかくこの奇跡に涙を流して喜ぶエディ…だったのですが、そこにサンダーボルツのヴェノムがスパイダーマンを捜して突如急襲。
それに反応してエディの身体に異変が起こり、彼はなんと、『アンチ・ヴェノム』に生まれ変わってしまうのでした。

アンチ・ヴェノムとの共闘
体内の共生体や放射能汚染を消し去ることが出来るという能力を備えたアンチ・ヴェノム
近くにいるだけでもパワーが弱ってしまうため一緒に居ると地味に厄介

アンチ・ヴェノム対ヴェノムという対決カードやスパイダーマンとの共闘を見ることが出来るのですが、この対決シーンや共闘シーンが若干コント染みていて面白おかしい。
あと、アンチ・ヴェノムになったエディに対して、全く見る目を変えず心配し続けてくれるメイおばさんは人間の鑑だと思いました。
でも若干エディに不穏な描写があって気がかり。この後彼はどうなってしまうのやら。

◆感想
前述したように本書は宿敵ノーマン・オズボーンとサンダーボルツとの戦いがメインであり、ブランニュー・デイから続いているメナスの正体、ミスター・ネガティブとの戦いの行方、そしてスパイダーマンに殺人の罪をかぶせている謎の連続殺人事件などの伏線はまだまだ残されたまま。
今回はうっすらですがメナスの目的が語られたり、マーティン・リーが自分の邪悪な人格“ミスター・ネガティブ”の存在に気付けていないといった描写がなされています。
伏線の消化は続刊に期待。今後のストーリー展開が気になって仕方がありませんね。

その分大物ヴィランとして、そしてスパイディの宿敵としてのカリスマ性をこれでもかとばかりに見せつけたノーマン・オズボーンの立ち振る舞いを堪能できてかなり満足しました。
それと父親の愛情に飢え、また父の自分に対する発言に心をかき乱されるハリー・オズボーンの動向も気になる。
これまではピーターの良き親友としての描写が多かったですからね。加えて本書の後半ではハリーの恋人リリーが…ああ波乱の予感しかしない。

次に邦訳されるのは『エレクション・デイ』という単行本なのですが、今度は#574-#577まで収録した『クライム・アンド・パニッシャー』と、#578-#583+アニュアルを収録した『デス・アンド・デーティング』というTPB2冊を飛ばしての刊行となります。


イラク戦争で両足を失ってしまったフラッシュ・トンプソンのエピソードや、
ミスター・ネガティブによって復活したハンマーヘッドとの戦い、
さらにはパニッシャーとの共闘もある単行本


占いで「ラッキーな一日になる」という結果が出たため、
それにあやかって行動したのがピーターの長い一日の始まりとなってしまうというエピソード、
親友のハリーと一緒に、彼の元妻のリズが住む家を尋ねるが、
そこで起こる“家族の問題”に巻き込まれるというエピソードに、
「ベティの誕生日パーティに現れたのはピーターだけだった」という切ない話など、
人間ドラマに重きを置いたエピソードが多い一冊

順番に刊行していくのは厳しいという判断を下して、間のエピソードを飛ばして単行本を邦訳することに決めたのでしょうが、それならせめて飛ばしたエピソードの内容を解説書に纏めてほしいところ。
(ちなみに本書は前巻までの訳者とは別の人になってます)
誤解の無いように言っておくと、間のエピソードを飛ばされたといってもストーリーが理解しにくくなるような事態にはなっていません。

ブランニュー・デイ刊行時はストーリーがさほど前に進まず、どちらかといえば脇道に逸れたようなエピソードが展開されていましたが、今回は本筋以外のエピソードをばっさりカットしているので、ある意味ではテンポが良くなったともいえます。
ストーリーの面白さも特に損なわれていませんしね。

まあそれでも個人的には「途中の話を飛ばさずに順番に刊行してほしかった」という一言に尽きるんですけど…
凄い読みたかったよデアデビルコスのスパイディ回とかパニッシャーとの共闘回とか『デス・アンド・デーティング』収録のエピソードとか!
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