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17 2011

アラン・ムーア&カート・スワン他/スーパーマン:ザ・ラスト・エピソード

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"金の輝きに消える寸前、彼はこちらを振り返って静かに微笑んだ…
あれがスーパーマンを見た最後よ"


スーパーマンがいなくなって10年後のある日、スーパーマンの死の真相を探るべく、一人の記者がロイス・レーンのもとを訪ねた。在りし日のスーパーマンに最後に会った人物であるロイスは、記者のもとめに応じ、静かに、スーパーマンの最期の日々を語り始める......。
はたして、幾多の危機から人類を守ってきた鋼鉄の男スーパーマンに何が起こったのか?

永遠のヒーロー、スーパーマンへの愛に満ちたストーリーで多くのファンの涙を誘った迷作が、ついに初邦訳!
表題作の他、アラン・ムーアが手がけたスーパーマン作品2編を同時収録。

(本文より)
この物語はイマジナリーストーリー(決して起こりえない、同時に起こりうる)である。
主人公は、空の彼方からやってきた鋼鉄の男。数々の奇跡を為してきた、かの超人の最後の物語をここに綴ろう。
激烈なる死闘が人々の記憶の彼方となったその裏で、仇敵どもが巡らせた策謀の数々......そして、北限の極光の下で繰り広げられた最後の戦いを。彼が愛した二人の女性......ついに下したその決断を。
己に課した最も気高き誓いが破られる、その様を。すべてを失った末に、彼が手にしたものを。この物語はウィンクで終わる。物語が幕を開けるのは、中西部の静かな街。そう遠くない未来の、ある夏の午後。都会の雑踏の中、人々は思い出したように歩道に立ち止まり、期待の面持ちで空を見上げる...いや、あれはただの鳥だ。ただの飛行機だ。スーパーマンは10年前に死んだのだ。この物語はイマジナリーストーリーだ......。
物語とはそういうものだろう?


◆収録作品

1985年07月:Superman Annual #11
1985年09月:DC Comics Presents #85
1986年09月:Superman #423
1986年09月:Action Comics #583


◆スーパーマンのテーマ


◆感動のスーパーマン最終話
DCコミックスを代表する、世界最初のスーパーヒーロー、
『スーパーマン』の最終話を収録したのが、
この『スーパーマン:ザ・ラスト・エピソード』であります。

…といってもスーパーマンの連載は現在も続いているんですけどね。
この本に収録されている最終話はあくまで1986年までの旧シリーズの最終話であり、
現在のスーパーマンは設定などを一新した新シリーズとして連載を続けています。

とはいえ旧シリーズも1939年から続く長期連載のスーパーマン、
この最終話を手がける人物は、30年間スーパーマンを描き続けたカート・スワン
そしてライターには『マーベルマン』『スワンプシング』、当時は製作中だったあの『ウォッチメン』
"コミックスの未来を変える逸材"との評価を受けていたアラン・ムーアが抜擢されました。

長い長い歴史に終止符を打つスーパーマンの最終話は一体どのような作品となったのか。
最終話の
『Whatever Happened to the Man of Tomorrow?(何がマン・オブ・トゥモローに起こったか?)』と、
本書に弊録されているムーア作品『THE JUNGLE LINE(ジャングル・ライン)』
『FOR THE MAN WHO HAS EVERYTHING…(他に何を望もう)』を紹介したいと思います。

◆『Whatever Happened to the Man of Tomorrow(何がマン・オブ・トゥモローに起こったか?)』
1997年、スーパーマンのガールフレンドであったロイス・レーンの元に
一人の男性記者が訪れ"スーパーマンの最後"についてインタビューするといったもの。
現在のロイスは「ジョナサン・エリオット」という男性と結婚して姓も変わっており、赤ん坊までいるという状況です。

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この時点でスーパーマン…いやさクラーク・ケントとは一緒にならなかったんだなぁと分かり、
ちょっと悲しい気分になるシーンであります。

(「ジョナサン」という名前にピンと来た人は何となくオチが読めるかもしれませんが…ゲフンゲフン)

そしてスーパーマンに何が起こったのかを語りはじめます…

スーパーマンに登場するヴィランは言ってもどこか抜けている愛嬌のある悪人が多いのですが、
今回引き起こした事件は度を越えたものとなっていました。

まずは「ビザロ」
スーパーマンの宿敵「レックス・ルーサー」の複製光線によって生み出されたビザロは、
スーパーマンに闘いを挑みましたがスーパーマンと同様ロイスに惹かれます。
ロイスは自分に複製光線を使うことでビザロ・ロイスを複製。
二人は新天地で仲間を増やし、地球と正反対の事をして気楽に暮らしていたのですが…

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不完全コピーになるために取った行動

何と彼はスーパーマンの完全な正反対になるために、
故郷を破壊して地球に舞い戻り、大量虐殺をしでかします。

知能の低い怪物ではあったものの他人に危害を加えるような事はしなかったビザロ…
常軌を逸した行動を取ったビザロはこの後自殺します。

次にスーパーマンの正体がばれてしまうシーン。
デイリー・プラネットで働いていたクラーク・ケントの元に小さな箱と大きな箱の荷物が届きます。

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しかしそれはヴィランである「トイマン」「プランクスター」の罠であり、
中に入っていたスーパーマン人形の攻撃を受けてしまった事で皆に正体がばれてしまいます。

彼らはクラーク・ケントの正体を知る、幼馴染であり親友でもあった「ピート・ロス」の命を奪って
スーパーマンの正体を突き止めこのような凶行に及んだのでした。

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電波を見る事が出来る能力で居場所を突き止める

世間にスーパーマンである事が知られた以上、正体を隠す事に意味はなく、
クラーク・ケントはこの世から消える事を選びます。

この後も「ブレイニアック」がレックス・ルーサーに取り付いた事で復活し、
「メタロ」の大群がデイリー・プラネットに襲い掛かるなどの事件が連続して起こります。

ただの厄介者だったヴィランの彼らが凶行に及び、
ついに周りの友人にまで手を出すようになってしまった事で、
スーパーマンは自分の関係者を北極の要塞に保護する事を提案し、
最終決戦に向けての準備を行うのでした。

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どうしてこうなった

…と、ここまでが前編のストーリー。
後編ではブレイニアックに取り付かれたレックス・ルーサーとの決戦や
様々な宿敵たちの再登場、
敵味方問わず多くの犠牲者を出す事になる最終決戦が描かれます。

コマの一つ一つに当時のネタが散りばめられているのも見所の本作。
解説書と合わせて読むのがおすすめです。
後編のラスト一コマは特にニヤッと来る終わり方になっているのではないでしょうか。

◆『THE JUNGLE LINE(ジャングル・ライン)』
こちらはスーパーマンと『スワンプシング』の競演話となっています。

クリプトンから飛来した隕石に付着していた「生きた菌類」である
「ブラッド・モレル」に肉体を侵食され、
少しづつ能力を失っていくスーパーマン…

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飛んで帰宅すると途中で能力を失うかもしれないため、地下鉄で帰宅するの図

少しづつスーパーパワーを失っていく状況に絶望していく彼は、
死に場所を求めてさまよいます。

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ヒーローが多くて死に場所を探すのも大変

誰にも迷惑のかからない場所で死を迎えるために車でとにかく南へと向かうスーパーマン。
しかし体力的にも限界が近づき、運転中に気絶してしまったがために森の中で大事故を起こしてしまいます。

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しかしそこにはスワンプシングがおり、
スーパーマンを介抱するという展開に。
夢の中で運命に必死に抗うスーパーマンと、
助けようとしているのに悪い幻と思われ散々な目にあうスワンプシングが見所です。

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※あくまで熱病でうなされているだけであり実際に手を出したわけではないです

◆『FOR THE MAN WHO HAS EVERYTHING…(他に何を望もう)』
スーパーマンの誕生祝いをするためにバットマンとロビン、そしてワンダーウーマンが
スーパーマンの要塞を訪れます。
しかしそこには謎の植物に寄生され、夢の中に閉じこもったスーパーマンの姿があった…というもの。

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地球外からの包みを不用意に開けた結果がコレ

この植物は「宿主が願う世界を見せる植物」であり、
自分の意思でその幻から抜け出そうとしない限り外す事はできないという代物。
スーパーマンの動きを封じるためにヴィランである『モンガル』が送りつけてきたのです。

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巨漢のクセにヤリ口はセコイ

地球上最強のヒーローであるスーパーマンが望む世界は、
『あくまで一人の人間としてクリプトン星で平凡に人生を送っている世界』という慎ましいもの。

とはいえ消滅しなかったクリプトン星でのカル・エルとしての人生にも色々波乱があるようですが。

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クリプトンが消滅するという理論が間違っていたために社会的に破滅した父親、ジョー・エル。
エル家はこの世界では忌み嫌われており、いとこのカーラが暴漢に襲われるという事件も起こってしまう。

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自分の愛する妻や息子を得て、クリプトン星で暮らす事のできる理想の世界。
しかしこの世界はあくまで幻。
スーパーマンは自らの故郷をもう一度捨てなければいけないという苦痛を与えられてしまいます。

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最愛の息子が幻にしか思えなくなるという苦しみ

なんとも悲劇的なストーリー。
心を弄んだモンガルに本気で怒るスーパーマンは他のエピソードでは中々見られない姿でもあります。

屈指の名エピソードというのもあり「Justice League Unlimited」でアニメにもなりました。(日本未放映)

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シーズン1第2話『For the Man Who Has Everything』より

アニメではクリプトン星で平穏に暮らせている等の細かな描写の違いはありますが、こちらもオススメです。

◆感想
個人的にはスーパーマンの最終回云々より、
弊録されていた2作品のが面白く感じた本書。

スーパーマンの人間的な弱さを垣間見る事のできる作品は中々貴重だなと。
スーパーマンの翻訳がここ最近少ないのでもっと色々読みたいなーと思う今日この頃です。

月刊スーパーマンとか何らかの形でまとめてくれないでしょうか。

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