ツルゴアXXX

ARTICLE PAGE

03 2013

マーク・ミラー&ジョン・ロミータ Jr.他/ウルヴァリン:エネミー・オブ・ステイト

ウルヴァリンエネミーオブステイト表紙
「どうする気だ?たった一人で皆殺しにするつもりか?」
「ご名答」

―“合衆国の敵”―
その名はウルヴァリン!

かつての知人から助けを求められ、日本に向かったウルヴァリン。だが、それは暗殺者集団ハンドとテロリスト組織ヒドラが仕掛けた巧妙な罠だった……。1ヶ月後、重傷を負った状態で発見されたウルヴァリンは、殺戮と破壊を繰り返しながら米国の機密情報を奪い、逃走してしまう。
国家を重大な危機に陥れたウルヴァリンは、さらにファンタスティック・フォーやデアデビルら仲間だったはずのヒーローたちを次々と襲撃していく。
ウルヴァリンの身におきた事件の真相とは?
そして“合衆国の敵”となった彼の行く手に待つ運命とは!?


◆収録作品

2004年12月:Wolverine Vol.3 #20
2004年12月:Wolverine Vol.3 #21
2005年01月:Wolverine Vol.3 #22
2005年02月:Wolverine Vol.3 #23
2005年03月:Wolverine Vol.3 #24
2005年04月:Wolverine Vol.3 #25
2005年05月:Wolverine Vol.3 #26
2005年06月:Wolverine Vol.3 #27
2005年07月:Wolverine Vol.3 #28
2005年08月:Wolverine Vol.3 #29
2005年09月:Wolverine Vol.3 #30
2005年10月:Wolverine Vol.3 #31
2005年11月:Wolverine Vol.3 #32


ENEMY OF THE STATE
『キック・アス』『アルティメッツ』『スーパーマン:レッド・サン』超刺激的な作品を見せてくれたマーク・ミラー作品が映画『ウルヴァリン:SAMURAI』に合わせてまたも邦訳されました。
小プロはちょくちょくミラー作品も推してる気がする。
というわけでさっそく本書『ウルヴァリン:エネミー・オブ・ステイト』を紹介。
『ウルヴァリン(第3シリーズ)』にて、#20から#32にかけて連載されたエピソードです。
10話以上かけて展開したストーリーなため、本書のページ数は352ページと膨大。

かつての恋人、矢志田真理子のいとこである『一郎』から息子の陸斗が誘拐されたとの連絡を受け、身代金の受け渡し場所に向かい救出せんとするウルヴァリン。
しかしそれはテロリスト組織『ヒドラ』とハンドがウルヴァリンをおびき寄せるためだけに起こした罠だった!
謎の敵『ゴーゴン』に不意を突かれ意識を失ってしまうウルヴァリン。
しかも意識を失う間際「子供はブタの餌にした」という言葉を聞かされる、序盤から容赦のない展開。

そしてヒドラに洗脳されてしまったウルヴァリンは、頭の中に響く声に従ってシールドやスーパーヒーロー、X-MENのメンバーを襲撃してしまうのです!
ウルヴァリンが敵に回るとか厄介なんてもんじゃない。
こっちは彼を救おうと行動しているのにウルヴァリンは全力で殺しにかかってきますからね。
実際簡単に捕える事はできず、バンバン死者を出してしまいます。

洗脳され暴れまくるウルヴァリン
ウルヴァリンも完全に洗脳されまいと必死に抗ってはいるのだが効果は薄い

被害だけがどんどん拡大していくこの状況。
シールドやX-MEN、スーパーヒーロー達はどう対処していくのか。
『ウルヴァリン:エネミー・オブ・ステイト』は常に緊張感の漂うストーリー展開となっています。

◆強敵ゴーゴン
本書に登場するメインヴィランはなんと日本人の男。

メインヴィラン・ゴーゴン
一年かからずにハンドを掌握し、すぐさまヒドラの最高幹部にのし上がった実力者

その名は『ゴーゴン』。本名は宍戸トミ。本作が初登場となるヴィランです。
生まれつき天才的な頭脳を持っており、かつ眼で見ただけで相手を石化させるという強力なミュータントとしての力にも目覚めた凄まじくハイスペックなキャラクター。
しかしそんな強力なパワーを持っていながら、普段はサングラスで目を覆って刀で戦っているのです。
その理由は「実力でも勝てることを相手に示すため」
ウルヴァリンVSスーパーヒーローが本作の注目ポイントですが、最大の見どころはやはりゴーゴンとの戦闘シーンでしょうか。

◆感想
苦しめて殺してちょうだい
「陸斗を殺した奴らを徹底的に苦しめて殺してちょうだい」

事前情報の時点ではウルヴァリンVS各マーベルヒーローとのガチバトルの連戦的な物を想像していたのですがその展開は大体ストーリー中盤ぐらいで落ち着き、それ以降はB級ヴィランらの襲撃やゴーゴンとの決戦と、本格的な最終決戦の話にシフトしていきます。
ウルヴァリンが主役の作品ですが、美しき女暗殺者・エレクトラの戦闘シーンも豊富なのが見所の一つ。

あ、それと去年同姓婚を挙げたことで話題になった同性愛者であるヒーロー、『ノーススター』も登場しますよ!(敵役だけど)
【「X─Men」のヒーローが同性婚へ、最新号でプロポーズ】

「また内輪揉め展開な作品の邦訳かな?」と思っていたらしっかりヴィランと戦うストーリーになっていきますし、ウルヴァリンのそれはもう爽快で容赦無く敵を引き裂き殺す無双アクションが楽しめるので、ウルヴィーファンは押さえておいた方が良いと思う一作です。

ちなみに本書、『エネミー・オブ・ステイト』の話は#31で終わっており、最後の#32は1942年、ソビボル収容所に囚人として捕えられていたウルヴァリンの姿を描いた短編となっています。

(怖いぜウルヴィ―)
怖いぜウルヴィ―

何度殺しても次の日には甦っている奇妙な囚人に関わっていくうちに、次第に精神を病んでいく収容所の所長。
ウルヴァリンがセリフを発するシーンが一コマも無いのもあって、かなり不気味なトーンで話が進んでいきます。
あとがきによれば元々はウルヴァリンにはセリフがあったようなのですが、コミック業界の偉人であるウィル・アイズナーから「ウルヴァリンのセリフを全てカットしてしまえばストーリーの印象がガラリと変わる」と言われ、ミラーが削った結果なのだとか。
確かにセリフがあるよりは無い方が印象に残るなと読んでいて思いました。

あとこれは完全に余談…っていうか作品の内容とはあまり関係がないのですが、本書の序文はこの間邦訳されたばかりの『ヒットマン』のライター、ガース・エニスが寄稿しています。
基本マーク・ミラーをべた褒めしている内容なのですが、その一方で「スーパーヒーロー・コミックを読むぐらいならイカを顔面に釘付けされたほうがマシ」とか「大手出版社のスーパーヒーロー物?吐き気がするね」かなり凄いコメントも残しています。必見。

それと今回、訳者の高木亮氏が独自に纏めた注釈がブログで公開されています。
(主に作中で出てきた固有名詞のウィキペディアへのリンクが中心)
解説と併せて要チェック!
【ウルヴァリン 翻訳メモ】
【「エネミー・オブ・ステイト」の時系列】(※シークレットインベージョンのネタバレ注意)
関連記事

2 Comments

森野大吉  

小プロにしては値段が高いな、と思っていたら、本屋でその分厚さに驚愕しました。
ストーリーは面白いのですが、個人的にはホーネットが可哀想で…。
けど、ウルヴァリンファンにはオススメの一冊ですね。

ps.以前に教えて頂いたガイマンプロさんにアクセス出来なくなりました。うう…これから、アメコミの発売日をどうやって知れば良いのやら…。

2013/09/20 (Fri) 15:02 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>森野大吉さん
>個人的にはホーネットが可哀想で…。
ロクに戦闘シーンの描写もなく殺されているのが何とも不憫ですよね…
ぽっと出というわけでもないヒーローなのにもかかわらずあっさりと死亡させるあたり、マイナーキャラに対するミラーの容赦のなさを感じます。

>ガイマンプロさんにアクセス出来なくなりました
あれっ、ガイマンブログ消えちゃってますね。
あそこは発売日未定のタイトルも纏めてあって便利だったのになぁ…

個人サイトになりますが、『邦訳海外コミックリスト』という所はこれまで発売された邦訳海外コミックの多くを網羅されているのでチェックするのにおススメですよ。

2013/09/20 (Fri) 21:13 | EDIT | REPLY |   

Leave a comment