ツルゴアXXX

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29 2013

マット・フラクション&アリエル・オリベッティ他/パニシャー・ウォージャーナル:シビル・ウォー

パニシャーウォージャーナルシビルウォー表紙

「オレが相手にしてるスーパーパワーの持ち主ってのは、
 力さえありゃ、他人にあれこれ指図しても構わねぇと思い込んでる輩だ。
 オレを狂人と人は言う。
 この街で一番マトモな男なのによ」


WHOSE SIDE ARE YOU ON?

主義主張を戦わせる空虚な議論よりもただひたすらに復讐を求める男、パニシャー。
暗黒街の私刑執行人として知られる彼が、なぜ「シビル・ウォー」に関わることになったのか。
そして、なぜ彼は拒絶されながらもキャプテン・アメリカに黙々と従うのか。
その謎が、今、明らかになる。

少ない出番ながら「シビル・ウォー」で強烈な印象を残したパニシャーの知られざる戦いを描く、注目のクロスオーバー第6弾。

君はどちらに付く?


◆収録作品

2007年01月:Punisher War Journal Vol.2 #1
※『Punisher War Journal Vol.2 #1』の"BLACK & WHITE VARIANT"も同時収録。
2007年02月:Punisher War Journal Vol.2 #2
2007年03月:Punisher War Journal Vol.2 #3
2007年04月:Punisher War Journal Vol.2 #4


◆関連作品過去記事
【シビル・ウォー】

◆ALWAYS FAITHFUL ANYTIME
定期購読シリーズである「シビル・ウォー:クロスオーバーシリーズ」もいよいよ終わりに近づいてきました。
人によってはこの定期購読の目玉タイトルはスパイダーマンやキャプテンアメリカ、アイアンマンのタイインではなく、ラストの2タイトル『パニシャー』『ケーブル&デッドプール/Xファクター』って人も多いんじゃあないでしょうか。
かくいう僕も一番楽しみに待っていたのが上記の2タイトルです。

パニシャー自身はこれまでの邦訳アメコミ(『光文社版スパイダーマン』や『バットマン:パニッシャー』、『ゴーストライダー』に『シビル・ウォー』など)でちょいちょい登場してくれましたが、個人誌の邦訳は一度もなし
かつてカプコンからゲーム化され、過去に3回も映画化してきたのにもかかわらず、便乗した邦訳は全く出ていないのです。
国内でもキャラ人気は高いイメージがあるのになぁ…

ですが今回、『シビル・ウォー』のタイインとして新創刊された個人誌『パニシャー・ウォージャーナル』(第2シリーズ)の#1-4を初邦訳!
ついにパニシャー主役の作品を日本語で楽しめるようになったのでした。
それではさっそく作品のあらすじを紹介します。

◆How I Won The War
ヒーロー達が超人登録法賛成派、反対派に分かれて争う最中、パニシャーは街の犯罪者を“処刑”するために行動していた。
途中、ヒーロー気取りの元ビラン『スティルトマン』の予期せぬ妨害が挟まれたものの、パニシャーはロケットランチャー“M72 LAW”を用いて彼を殺害、追いかけていた児童ポルノの制作者フルビオ・モルセーラも仕留め、街の浄化に勤しんでいた。
そんなパニシャーをシールドに雇われた傭兵、G.W.ブリッジは大勢の部下を引き連れて捉えようとするものの、反撃に合いあっさりと逃げられてしまう。

パニシャーは自警活動を続け、スティルトマンに新装備を与えた男、メイソンに接近。
彼から他に仕事を請け負ったビランが居ないか聞きだし、スチュアート・クラークの名前を引き出す。
そしてパニシャーはクラークの元を急襲するのだが、彼が従えているアイアンマンにそっくりな小型ロボット達の反撃を受けてしまう。
それでも脱獄の罪でクラークを殺害しようとするパニシャーだったが、そこで彼から意外な反論が飛び出す。
クラークは「ビラン達のラフト脱獄事件を引き起こしたのはトニー・スタークの差し金だった」と主張するのだ。
ツッコミどころ満載の言葉に呆れ返るパニシャー。
だがクラークは開発したスターク製品の発見機をパニシャーに渡し、「疑うならその発見機でアーマーを使用しているスーパービランを始末して部品を持って来てくれ」と言う。

クラークの説を証明する気はさらさら無いが、パニシャーはさっそくこの発見機を用いて、クラークと協力しながらキャプテン・アメリカの潜伏先を割り出すのであった。
発見機で捉えた光の元に向かうと、そこではビラン達に囲まれ負傷しているスパイダーマンの姿があった。
パニシャーはビラン達をすぐさま殺害し、彼を窮地から救い出すのであった。

スパイディとパニシャーの軽妙な会話

そしてキャプテン・アメリカら反対派の潜伏先に向かい、スパイダーマンを引き渡すパニシャー。
パニシャーはそこで一時的に拘束され、キャプテン・アメリカと一対一で言葉を交わす。
犯罪に対し“処刑”という手段を用いて解決しようとするパニシャーとは根本的に考え方が異なるのだが、海兵隊員時代の彼を知るキャプテン・アメリカは国家に仕えるものとして、兵士としてパニシャーの力を借りたいと頼む。
ルーク・ケイジは殺人者である彼を引き入れることに猛反対するのだが、こうしてパニシャーは(殺傷兵器は取り上げられたものの)反対派の新たな戦力として参入するのであった。

「家庭人に戦場は務まらない。キャッスル、着任します」

「見事だった。解散!」

キャプテン・アメリカと共に行動し、シールドの猛攻を掻い潜り、またビランとの戦いもこなしていくパニシャー。
その一方でシールドに捕獲されそうになっていたクラークをこっそり救い、彼からバクスタービルに潜入するためのブラックボックス・スーツを入手しつつ、ヒーローとして活動するのであった。
だがクラークに接近しているのはパニシャーだけではなかった。
ブリッジはパニシャーを捕えるため、シールドを辞めて法の束縛から離れ任務を続けていたのである。
そして“用事”が済めばパニシャーはクラークを殺しに来るであろうと考えたブリッジは、彼の元へ警告しにやって来たのであった。

その頃、反対派の潜伏先ではトラブルが発生していた。
スーパービランであるゴールドバグとブランダラーがキャプテン・アメリカに共闘を持ちかけていた。
キャプテン・アメリカはこの申し出を受け入れようとしていたのだが、パニシャーは有無を言わさずビラン二名を射殺したのである。

パニシャーの凶行に怒るキャプテン・アメリカ。
命令に背いたパニシャーに殴り掛かるのだが、何故か彼は一切抵抗しようとしなかった。
窮していたとはいえパニシャーを引き入れ共闘し、一時は気を許した事を後悔するキャプテン・アメリカ。
そこにパニシャーはさらに怒りを煽るような言葉を浴びせる。

「オレって人間をわかってて妥協したんじゃねぇか。汚れ仕事をやらせる人間が欲しかったんだろ。
 こうなるとわかってたのによ」


怒りが再燃し、またもパニシャーに殴り掛かるキャプテン・アメリカ。
だがそれでも、パニシャーは決して殴り返そうとしなかった。
キャプテン・アメリカは「アレは狂ってる」とだけ吐き捨て、その場を去る。
キャプテン・アメリカに殴られていた時、パニシャーは海兵隊員時代の頃を思い出していた。

パニシャーは味方を殴らない

海兵隊員であるパニシャーは、『善人とは決して戦わない』という主義を持っていた。
今でも彼は司法側の人間を“身内”と見なし、決して殺すことはない。
キャプテン・アメリカに決して手を上げようとしなかったのは、彼がアメリカの理想であり、善人である為だった。

だがパニシャーは「犯罪は処刑する事でしか解決できない」という考え方も決して曲げようとはしない。
パニシャーはスパイダーマンの手を借りて立ち上がり、この場を離れて街に帰るのであった。

◆感想
ここまでが#3中盤までのあらすじです。
#4の話は、パニシャーに殺されたスティルトマンの葬儀をビランの皆が酒場に集まって執り行うというものであり、B級ビラン達が「昔はよかった」とか愚痴りながら騒ぐという内容になっています。
この#4で描かれるビラン達の荒いながらも暖かみのある乱闘シーンが特にお気に入り。
西部劇の酒場の荒くれ者かお前ら!

愚痴るギボン
愚痴りに愚痴るスパイダーマンのビラン、ギボンさん

本作はパニシャーのスパイダーマン救出やバクスタービル潜入時に着用していた特殊スーツ(ブラックボックス・スーツ)入手の詳しい経緯、そしてパニシャーがキャプテン・アメリカに決して手を上げようとしなかった理由などが丁寧に描かれており、シビル・ウォー本編との密なクロスオーバーを見せてくれるのですが、その一方でシリアスになりすぎず妙にユーモラスなシーンが多いのが印象に残りました。
(あらすじに纏めただけだと全然伝わりませんが)
スティルトマンのアホっぽい言動とか、コスチュームを着たまま人の多いところにいるのに誰も自分の存在に気付かない事に自分で突っ込むパニシャーとか、上記の#4の話とか。
なんというか、パニシャーのストーリーはもっと殺伐としたイメージを持っていたのでこの辺は結構意外でしたね。

でもキャップの目の前でビランを射殺するシーンはやはり衝撃的。
あれは善人であるキャップがビランと手を組もうとしていたのがどうしても我慢ならなかったとかそういう思いもあっての行動だったのでしょうか。
結果的に「キャップがビランと手を組む」という汚点を作らずに済んだようにも見えますし。
あの辺の下りは結構色々解釈できて個人的には好きなシーン。

あと、他のタイインが割と後にストーリーを持ち越すような終わり方をしている作品が多い中、本作は全4話で綺麗に完結しています。
『パニシャー・ウォージャーナル』というタイトル自体は#26まで刊行されていたようですけどね。

ちなみに本書のラストには『#1 black and white』という作品が収録されていますが、これは当時発売されたバリアントコミックブックであり、単に本書の#1を白黒にしただけの作品となっています。
(正直いらなかったのでカットしてその分価格を下げてくれても良かったと思う)

◆おまけ
下記の動画は2004年の映画『パニッシャー』でフランク・キャッスルを演じたトーマス・ジェーンが、役への復帰を望んで自主制作し、2012年のサンディエゴ・コミコンにて発表したショートフィルム『#Dirty Laundry』(有志による日本語字幕付き)です。
製作はアディ・シャンカール、監督はフィル・ジョアノー、脚本はチャド・セント・ジョン。フランク・キャッスル役はもちろんトーマス・ジェーン。
ちなみに出演者にはヘルボーイのロン・パールマンも参加しているという、かなり豪華な顔ぶれ。
余談ですが、お馴染みのロゴマークはティム・ブラッドストリートの手により新たにデザインされたものが使われています。


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2 Comments

アウル  

「パニッシャー」でいいのか「パニシャー」でいいのかグーグル翻訳で聞くと
やっぱ「パニシャー」なんですね(なんで今までパニッシャーだったのか・・・)

ま、元々 ブラックウィドウやホークアイ同様 ビランからヒーローになった上
犯罪の大小関係なく制裁しちゃうんで、日本のライトユーザーからは人気が
あるとも思えないんですよね、キャッスルさん(^^;
個人的にはある意味理想のダークヒーローなんですけどね~(そうゆう意味じゃ
ウルヴァリンやスポーンとかも近いのか)

割と読みやすいとは驚きでした。
MAXシリーズだと絵に描いたようなシリアスだったので、なんか読んでみたいですw
翻訳版・・・・若干割高になってもいいから重版しないかな~(´・ω・`)

2013/08/29 (Thu) 23:09 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>アウルさん
>(なんで今までパニッシャーだったのか・・・)
光文社版スパイダーマンで登場した頃は『パニシャー』と訳されてたみたいなんで、一周回って元に戻ったともいえる感じですねー。
『スパイダーマン:ブランニュー・デイ』読む限り、小プロは『パニッシャー』表記でいくみたいですが。

2013/09/01 (Sun) 18:26 | EDIT | REPLY |   

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