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10 2011

飯島市朗/スケバン貴族

表紙

『男たちの文化には現実から飛躍するロマンがあるが…
 女の文化は現実から事実へ…物質へ…
 肉体へと皮膚接触する触覚的な快楽のみである』

                             ※収録作品『性的人間』より
異様にテンポよく進むストーリーどういう発想から生まれるのか分からない世界観、
そして独特な魅力を持つキャラクター達…

妙に人を惹きつける力のある作品を描かれた飯島市郎先生の傑作集第2巻、
『スケバン貴族』を紹介します。

【傑作集1巻の記事はこちら】


傑作集1巻の発売日が2003年6月30日、
そして本エントリーで紹介する傑作集2巻は2007年8月に発売されました。

4年もの間隔を空けての発売です。
自費出版の単行本なのでそうポンポン発刊できないのかもしれませんが。

1巻では400P以上の大ボリュームで19作品も収録されたのですが、
今作2巻では6作品とインタビューで136Pあっさり目のボリュームになっちゃいました。
背表紙かなり絞られてる

1巻の収録から漏れた作品と、新たに見つかった作品で構成されています。
知られざる作品を発掘したその勢いで発刊した感じもする今作。

傑作集1巻、『トルコ星座の男たち』
『表紙をよくみると今回収録されていない作品のキャラクターがいるだろう?
 次回以降の作品集で徐々に登場する予定だから、
 首を洗って待っていやがれ!』

※(見返しなどにも未収録のカットあり)
と煽られていたのですが、
2巻の収録作品には誰一人として登場しませんでした。

かすりもしてません。

謎キャラ謎キャラな男と星人

謎キャラ2謎のクリーチャー

見返し見返しの謎カット

個人的には表紙のクリーチャーが登場する話を読んでみたかったのですが…
いつになるか分かりませんがその内出るかもしれない3巻に期待します。


【収録作品】

『テレポーテーション』(発掘作品)
『流転百姓』
『スケバン貴族』

『TIME TRAP』(発掘作品)
『性的人間』(発掘作品)
『獣妖僧魔鬼道』

そして飯島先生に収録作品についてのインタビューを収録。
今回収録の作品について語ってくれます。

収録作品数は減っちゃいましたが、
むせかえるほど独特な飯島ワールドは健在です。
相変わらずセリフ&擬音のセンスが光ります。

「テレポーテーションとかいう観念移動とかいう言葉が発生するには
 必ず実際にそれが行われたに違いないのだ」


「女が最初の男に抱かれた後に流す血と涙は
 他の男に抱かれなかったという口惜しさからだ……」


「気我入流!!」「液出!!」※セックスシーンの擬音です

「チキショウ ブスだって女だい 男のバカヤロウ!!」

「人間不幸の根元 子宮に向かう あの魂という 
 あの目に見えねえ怪物を斬りてえんだあっ!!」


微妙に意味が分からないですが、
作品を読んでいる時は妙な説得力があるように感じられる発言ばかりなんです。


【作品紹介】

『テレポーテーション』
主人公である男は『男が女の身体に入ろうとする本能』を利用して
肉体から魂だけを分別するトレーニングを重ねた結果、魂のみで妹の淳子の夜這いを成功させる。

思うがままに自分の魂と肉体を切り離す事が出来るようになった主人公は、
さっそくこの能力をレイプに使うことにするのだが…


110210_022227.jpg相手の服まですり抜ける便利すぎる能力

劇画版『Oh!透明人間』
(しかも濡れ場あり)な内容。
透明人間とは微妙に違いますが、自由に壁をすり抜けてなおかつ相手には姿が見えず、
しかも相手に触れる事が出来るとなれば男ならやる事はひとつ…ってな内容です。
こんな能力を得るために妹を練習台にする主人公はなかなかの鬼畜。

『父親が亡くなり母と妹の3人暮らし』
と、設定は切ないのに主人公ときたらエロのことしか頭にないのが素晴らしい。

どう考えてもテレポーテーションとはいえない能力なのもポイント高い作品です。

『流転百姓』

仕込みを持つ謎の渡り物の百姓(百姓て)である離作は、
流れ着いた番味村で侍同士の斬り合いを目撃し、口封じに殺されかける。
「この村を素通りしろ」と忠告を受け、その場は見逃されるが結局宿を借りる事にした離作。
番味村には何か秘密があるようで…


110210_012628.jpg迫力の殺陣
戦闘シーンの迫力が素晴らしい時代劇物です。
仕込み鍬という他では見ない武器を使う主人公。
というか鍬の時点で武器になるのに基本的に仕込んだ抜き身で闘うという回りくどさ。
寝込みを襲って命を取ろうとした女を夜這いと勘違いして犯すシーンは名(迷?)シーン過ぎます。

『スケバン貴族』
財閥の一族の中で女でありながら最も能力の高い人物、理利子。
自分の父親が引退した後の会社の営業成績を3倍にまで跳ね上げるまでの結果を出しており、
実の弟や父親、そして理利子の夫に劣等感を抱かせるほどであった。
しかし弟の一郎も負けてばかりではおれず、
重役会議の場にて自分の発言を持って姉と争う事にするのだが…

110210_044511.jpg親父の面目が…

優秀すぎる姉、妻を持った人物の劣等感を描いた作品。
僕は『確かにこうあっちゃあ男の立場が無いなぁ…』と登場人物に共感しました。
作品のジャンルが『極道ロック』全く一致していないのも魅力。
スケバン要素がゼロというのもまた魅力です。

『TIME TRAP』
人類が核戦争により文明とともに完全に滅んだ500年後の世界…
核戦争による放射能の影響で動物たちは異常進化をもたらし、
ネズミが地球の新たな支配者となっていた。
主人公である科学者のネズミはタイムマシーンを完成させ、
500年以上前にはネズミ以上の支配者がいたかもしれない事実を確かめに行く。

110210_050436.jpg

飯島作品はSF物も多く、今回このような傑作短編が発掘されたのは喜ばしいです。
作中ではゴキブリが家畜という存在で出てきており、
見開きを使って大量に飼われているシーンは精神的になかなか来ます。
110210_050822.jpg普通ならトラウマものな光景
ジャンルは『SFミステリー』ですが、作中にはしっかり濡れ場もあります。
110210_050955.jpgケモナー歓喜
今回の収録作品ではオチも含めて一番好きな作品です。

『性的人間』
地球上のX国(にっぽんでもいいよ!)では男性は夫権を剥奪され、
女性のための性的人間として扱われていた。
しかし男は容貌に恵まれない女性に愛情を感じる事はできず、
その結果不美人である女性たちの衝動的な殺人や逆レイプの事件が横行していたのである。
そのため、新男性研究所という施設では男性が必要無くなる新生物を誕生させる研究を行っていた…

110210_051832.jpgクリーチャー分が補給できる作品はこれだけ

「にっぽんでもいいよ!」は原文ママ。
女性のからだ全てを一度に愛撫してくれる理想の人間を生み出すためだけに
クリーチャーを生み出すという登場人物の発想がイイ感じにおかしいです。
異種姦というエロシチュまでフォローしている飯島先生に感服。

『獣妖僧魔鬼道』
二十年前、庄屋の娘が七人に犯されるという事件が起きた。
その後娘は赤ん坊を産み落とし、寺の坊主に預けて消えていった。
赤ん坊は輪廻生死郎という名を与えられ、年を重ね20歳となった今、
父親かもしれない七人を全員始末するために寺を出て破戒僧となったのだった。

110210_053448.jpg
主人公は単なる親殺しのために戦いに赴くのではなく、
父親の生命の源を断つという目には見えない何かを斬るために戦うという
独自のポリシーを持っています。
110210_053606.jpg
レイプ犯の七人には腕に星型のアザがあるという謎設定

~輪廻生死郎の強烈エピソード~
110210_053500.jpgオナニーマスター
3歳という驚異的な早さで自慰を覚えた生死郎、
引き取った坊主は何を思ったか
自分の女房を生死郎の筆下ろしの相手にさせました。
ただ強いだけでなく、
女性を喜ばせるテクまですっかり身につけた主人公は妙な魅力のあるキャラクターです。


収録作品は1巻に比べ非常に少ないですが、
飯島ワールドの強烈さはしっかり味わえる傑作選2巻『スケバン貴族』
飯島先生のインタビューも必見ですよ!
このような作品群がいかにして生まれたのかが語られています。
でも飯島先生覚えてなかったりします(苦笑)

エロがあったかと思えばグロく、深い意味がありそうでそれほど無い名言、
異様な雰囲気が漂う世界観…それでもしっかり楽しめる娯楽作品として仕上がっているのですから、
自由なスタンスで作品を発表した飯島先生はもっと評価されてもいい漫画家だと思います。
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