ツルゴアXXX

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28 2013

ダニエル&チャールズ・カウフ&パトリック・ツィルヒャー他/アイアンマン:シビル・ウォー

アイアンマンシビルウォー表紙

「酷い話さ。もはや我慢がならんよ。
 他ならぬ君と私が負の連鎖を断ち切れず、
 戦いを助長させた事が嫌でたまらない。
 君とこの私がだぞ。スティーブ、どうすればいいんだ?
 どうすれば止められる?」


WHOSE SIDE ARE YOU ON?

歩く大量破壊兵器とでも呼ぶべき超人類の権利を制限する超人登録法。
合衆国の安寧を願うアイアンマンは、かつての戦友たちとの対立を承知でその成立に奔走する。

仲間達からは裏切り者と謗られ、多くを失いながらもなお、彼が法案成立に寄せる思いとは何なのか。

最大の盟友であり、今や、最大の宿敵となったキャプテン・アメリカとの邂逅を通じて、鉄の鎧に秘められたトニー・スタークの胸の内が今、明らかになる。

超人登録法成立のために画策を繰り返してきたアイアンマン。
シビル・ウォーの黒幕とも見なされる彼の秘めた真意を明らかにする、注目のクロスオーバー第4弾。

君はどちらに付く?


◆収録作品

2006年12月:Iron Man Vol.4 #13
2007年01月:Iron Man Vol.4 #14
2007年02月:Iron Man Captain America Casualties of War
2007年05月:Civil War: The Confession


◆関連作品過去記事
【シビル・ウォー】

◆定期購読第4弾!
シビル・ウォータイインの邦訳もついに4冊目!
いよいよ登録法賛成派のリーダーを務めた『アイアンマン』のタイインがやってきました。
過去エピソードでの描かれ方のせいですっかり“悪役”的な印象が付いてしまったアイアンマン…
彼が何故、あそこまで超人登録法成立を推し進めてきたのかがようやく明かされるストーリーとなっています。
今回も収録作品のざっくりとしたあらすじメインの内容で本書を紹介。

◆IRON MAN/CAPTAIN AMERICA:CASUALTIES OF WAR
内戦中、アイアンマンとキャプテン・アメリカは今ではすっかり荒れ果ててしまったアベンジャーズ・マンションで落ちあい、密かに会合を持っていた。
トニーはゴライアスがソーのクローンに殺された、あの時のような悲劇がもう一度起こる前に、改めて話し合いで解決しようと考えたのだ。

キャップとの話し合い

マスクを外し、キャプテン・アメリカの目を見るトニー。
思い出話に花を咲かせつつ、お互いの考えを主張する。
過去に起こった数々の悲劇を例に挙げながら。
トニーは『スパイダーマンがかつて恋人のグウェンを本人のミスで死なせてしまった事』を挙げ、適切な訓練を積んでいれば防げた悲劇だと言う。
加えて、かつて自分が酒に溺れ、スーツで暴走した結果自分の社員を危うく殺しかけた事件についても話し、ヒーローは世間に責任を負うべきだと語る。
キャプテン・アメリカは「かつて精神を病んだハンクがジャンに手を挙げてしまった時に仲間内で責任を取らせたことがあった。身内だけでも問題は解決できるじゃないか」と反論するが、当のハンクは登録法賛成派についている。
トニーはハンクが自分同様、身内では監視が甘くなると考えているのだと返すのだった。

キャプテン・アメリカの主張はこうだ。
「グウェンが死んだのはグリーンゴブリンがスパイダーマンの素顔を知ってしまったから」であり、また、ホワイトタイガーというヒーローも本名がぼれてしまった途端、家族が惨殺されてしまった過去を持つ。
いくら政府が厳重に個人情報を管理するといっても、マッドシンカーやウルトロン、Dr.ドゥームのような政府のデータベースに容易に潜り込んでくるビランは数多くいる。
それに政府の姿勢は一貫していない。やはり超人登録法に賛成はできないとキャプテン・アメリカは話す。

「どうして皆…斜めに見たがる。正しい事を正しいと言って何が悪いんだ」

一直線なキャプテン・アメリカに対して、トニーは政府が考えている登録法の代替案『ワイドアウェイク計画』について説明する。
その計画とは登録法とは比較にならない、あまりに非人道的な法案だった。
トニーは内部から国を変えるという目的のために、キャプテン・アメリカをもう一度賛成派に誘うのだが…

◆Iron Man Vol.4 #13-#14
国防長官クーニンに、シールドの長官職に就かないかと迫られるトニー・スターク。
シールドを束ねる気はないとその申し出を足蹴にするトニーだったが、『インセンの件』の尻拭いをした事を笠に着て脅しをかけてくるのだった。

サル・ケネディの家に居座って愚痴をこぼすスターク。
トニーは、「自分にヒーローたちを縛る法が本当に作れるのか」ずっと迷っていたのだ。
そんな彼の前に、ボディーガードでもあり親友でもあるハッピーが現れ、トニーの背中を押す。

「オレの親友はオレらとおんなじ一般人であり、同時に超人でもある唯一のヒーローだ。
 両方の見方ができる奴が他にいるか?お前にしか公平な判断はできねぇぜ」


親友の言葉を受け、自分の判断を信じるトニー。
こうして彼は改めてヒーロー同士の戦いに赴く。

…だが、その後、トニーに悲劇が起こる。
トニーをおびき出す餌としてペッパーがビランのスパイマスターに襲撃され、重傷を負い植物状態となってしまうのであった。

植物状態のハッピー

◆CIVIL WAR:THE CONFESSION
登録法を巡る戦い『シビル・ウォー』は終焉し、シールドの長官の座に就いたトニー・スターク。
彼はシールドのヘリキャリアに乗り込み、とある人物の元に向かっていた。

トニーは目的の人物に会い、ある話を始める。
それは2年前、Dr.ドゥームと戦っていた時にアーサー王時代のイングランドにタイムスリップしてしまった時の出来事についてだった。
トニーはアーサー王と親交を深めて手を組んだ一方で、ドゥームはモーガン・ル=フェイと手を組み、ゾンビ軍団を引き連れて戦争を仕掛けてきた。
死肉に塗れながら戦う中で、トニーは自分の仲間たちと協力してヴィラン達と戦う光景を幻視していた。
自分たちが『善』であると信じ、敵は『悪』であると断じる独善的な考えによる戦い。

トニー・スタークは先を見通す能力を備えている。
このままではそう遠くない未来、ヒーロー同志での『内戦』が起こるであろうことを予期していた。
そこで彼は実力者を集めたイルミナティを結成し、互いを監視し合う事で開戦の予兆を掴み、それが現実となる前に対処しようとしたのだが、結果としては上手くいかなかった。

次にトニーがとった行動は、ヒーロー社会の外、つまり世間の反応に注視する事だった。
そしてニック・フューリーから超人登録法の草案を手に入れ、内戦の前兆を掴むことに成功した。
法案が通過すれば、ヒーローが二つに割れることは必死。
一人でもヒーローが不祥事を起こせば法案は成立する。

この法案が作られた時点で内戦はもはや避ける事が出来ない。
そこで一刻も早く事を終わらせるために、政府の枠組みの中で働くことを決めたトニーはリーダーを引き受け、心血を注いで事態の収拾を図る決意をしたのであった。
そのためなら自分が「世間に悪玉扱いされてもよい」と公言して…

トニーの独白

◆感想
今回も収録話数の都合上、ページ数が少なめな一冊…というか、『ロード・トゥ・シビル・ウォー』『アメイジング・スパイダーマン:シビル・ウォー』がタイインにも関わらず特別ボリュームがあるだけなのですが。

しかし収録された作品はこれまで邦訳されたシビル・ウォー絡みのエピソードで大きく読者の評価を下げていたアイアンマンの見方が変わる、非常に重要なエピソードでした。
特に4話目の『コンフェッション』は、本編で全くといっていいほど描写されなかったトニー・スタークのその胸の内がようやく明らかになるお話。
シビル・ウォーの真の最終話とでもいうべき一編です。

…これ多くの人の目に触れてほしい一冊だなぁ。通販限定っていうのが本当に勿体ないというか何というか。
定期購読をしなかった人のためにアマゾンでも数量限定で販売されるようになりましたが、ツイッターで見てると『リアル:シビル・ウォー』とでも言うべきすさまじい争奪戦が繰り広げられているんですよね。

これまでシビル・ウォーのタイインは4冊発売されてきましたが、読んでみるとどれもがかなり良質なエピソードでした。
キツい言い方をするならば、タイインを読んでようやく本編でのキャラの描写の荒々しさが許容できるレベルになっているともいえます。
だからまぁ、買えなかった人のためにそのうち何かしらの救済処置とかがあったほうがいいんじゃないかなぁと思う今日この頃。

◆「IT WASN'T WORTH IT.」
※ここからネタバレ注意

It wasnt worth it

キャップの亡骸に向けてトニーが言った「王の気持がわかったよ」というセリフは原語版では上記のような台詞「IT WASN'T WORTH IT.(そんな価値など無かった)」となっています。

そしてコンフェッションのラストシーンで、まだ存命中のキャップがトニーに言い放つ「何の意味があるんだ!?」というセリフは原語版では「WAS IT WORTH IT?!(そんな価値があったか!?)」となっており、本来はトニーのセリフがキャップのセリフと繋がる演出となっている事が分かるシーンなのです。

Was it worth it

ピュロス王の話をしたシーンに絡めて「王の気持がわかったよ」という意訳がなされているのですが、本来色んな解釈が出来るであろうセリフを訳者自身の解釈である訳にしてしまったのはどうにも。
(解説ではアイアンマンがヒーローの内戦という未来を「幻視した」と書かれており、アイアンマンがヒーローの戦いを「予見」したという解釈ではなくなっているため、この訳者自身の解釈に合わせた訳になっている)

このシーンに限らず意味合いが変わるレベルで原文をスポイル&意訳している部分が多い翻訳となっているので、原語版を読んでいた人からすると結構意見が分かれる事になっている本かもしれません。

※例
本書「…こうなる事はわかっていたんだ。だから目を逸らし続けた」
原文「And--And I know this because the worst has happened. The thing I can't live with...has happened.
(その、その事に気付いたのは最悪の事態が起きたからなんだ。私が抱えては生きられないようなことが…起きたからなんだ)」

本書「でも、でもそれは…君だったからだ!他ならぬ君だからだ!たとえ大統領でも君の代わりはできん。最後に…これだけは言わせてくれ」
原文「There's one things thay I'll never be able to tell anyone now. Not my friends or my co-workners or my president...The one thing!! The one thing I should have told you.
(ひとつだけ、もう伝えられなくなった事があるんだ。味方でも仕事仲間でもなく、大統領でもない…ひとつだけ!!ひとつだけ君に伝えるべきことがあったのに)」


他にも原書ではトニーは「one thing」と3回も繰り返していたり、どもりながらキャップの遺体にだけ誰にも言えない本心を吐露しているんですが、本書の翻訳ではどもりを含めた訳はなされていません。
吹き出しのスペースの都合上、翻訳本で意訳は避けられないのですが、この作品に限っては極力正確で丁寧な訳が必要だったんじゃないかと思います。
あと奥付見ても石川友人氏と御代しおり氏のどちらがコンフェッションの翻訳を担当したのか分からないというのもモヤモヤ。
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2 Comments

星羅  

初めまして。星羅といいます。X-MENからいろんなアメコミを見ています。正直言ってアベンジャーズってあんまり好きじゃないです。AVSXとかその後を見てるとミュータントのために何もしない癖に口と手は出すのといつも思っていました。アイアンマンにもシビルウォーとかワールド・ウォー・ハルクとかいいイメージがなかったですが、これだけでもアイアンマンの見方が変わりそうです。外から変えようとしたキャプテンアメリカと中から変えようとしたアイアンマン。互いに譲れないから戦うしかない。でもなんで譲れないんでしょうか?二人とも他セツナ仲間と思っているはずなのに…。
正直マーベル世界の市民って屑すぎると思います。
ヒーローに助けてもらうのは当たり前。少しでも失敗すれば、批判したり、石を投げる。挙句の果てにヒーローたちの人権を無視したワイドアウェイク計画というものを考える時点でもう護ってもらう資格などないように映ります。いったい彼らは何様のつもりなんでしょうか?ヒーローたちが全て人るの敵になったらどうなるのか、センチネルだけで止められると本気で考えているのなら浅はかとしか言いようがありません。(ドクターストレンジやブラックボルトといったイルミナティやマグニートーやケーブルといったオメガ級ミュータントもいますし)あいつらはもう少し謙虚になるべきと思います。そしてこう言ってやりたいです。ヒーローはお前らの都合のいい奴隷じゃないと。

2013/06/28 (Fri) 23:02 | EDIT | REPLY |   

アウル  

ホントに争奪戦になってるから笑えないけど、吹きましたw
原著なら定価で買えるから、再販等ないのならそっちにしたほうがいいんでしょうね。
パニッシャーのみ向こうでもプレ値ついてるからやんなっちゃいますが(il`・ω・´;)

2013/06/28 (Fri) 23:34 | EDIT | REPLY |   

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