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02 2013

ジェフ・ローブ&ティム・セイル/スーパーマン・フォー・オールシーズン

スーパーマン・フォー・オール・シーズン表紙

「ねえ…よかれと思って頑張って人助けしてるけど…
 あの街で僕は一人ぼっちな気がするんだ。
 やっぱり故郷はスモールビルなんだって、いつも思ってた。
 でも、ここも変わっていくんだね」

「クラーク、それが成長というものよ。
 難しいことよ。楽しいだけじゃないから。
 でも、きっと自分の道を見つけるわ。いつもそうだったもの…」


スーパーマンの初期エピソードを柔らかな筆致で綴る珠玉の名作―。

アメリカの田舎町スモールビルで、ジョナサンとマーサ夫婦に育てられたクラーク・ケント/スーパーマン。両親への想い、幼馴染みラナ・ラングに抱く淡い恋心、悪を許せない正義感、燃え続ける使命感……。
春夏秋冬の四季を通して、超常的な力を持った一人の青年が大いなるヒーローへと成長していく姿を描いた名作を初邦訳。
春になって高校を卒業したクラークは、自らの使命を全うするべく故郷スモールビルを後にし、メトロポリスで新米新聞記者とスーパーヒーローを両立した生活を始めた。記者としてもヒーローとしても自信を持ちはじめた夏、スーパーマンは宿敵レックス・ルーサーと出会うのだが……。
正義の在り方に悩み、自らの行いに不安を抱き、郷愁に駆られながらも成長していく、クラーク・ケント/スーパーマンの真の姿がここにある!

「あなただけは忘れないで。
 マントを羽織って、胸に大きく“S”と書いてあったとしても…
 …あの子は“クラーク”ですよ」―マーサ・ケント


◆収録作品

1998年  :Superman for All Seasons #1
1998年  :Superman for All Seasons #2
1998年  :Superman for All Seasons #3
1998年  :Superman for All Seasons #4


◆春夏秋冬
ここ最近のスーパーマンの邦訳は、「もしスーパーマンがソ連の集団農場に墜落していたら?」というIFを描いた『スーパーマン:レッド・サン』、現代風に解釈したスーパーマンの誕生譚を描くこれまた独立した世界観でのエピソード『スーパーマン:アースワン』という、若干変化球気味の作品の出版が続いていました。
しかし、5月29日に発売されたこの『スーパーマン・フォー・オールシーズン』は久々に、純粋にスーパーマンの物語を楽しむ事が出来る一作となっております。

この作品は、スーパーマンの両親であるケント夫婦や、スーパーマンの幼馴染みラナ・ラング、職場の同僚ロイス・レーン、メトロポリスで出会う事になる宿敵レックス・ルーサーという三人の『L・L』、そして故郷のスモールビルの人々を絡ませて展開し、春、夏、秋、冬の全四章で季節を感じさせながら、物語は比較的ゆったりと進行していきます。

家族と幼馴染みとの食事
幼馴染みと一緒に食事

高校卒業を間近に控えたクラーク・ケントは、どんな出来事を契機に田舎町のスモールビルを離れ、メトロポリスでスーパーマンと新聞記者の二重生活を送る決意をしたのか?
第1章となる『春』ではスーパーマンがケント夫妻や友人たちの優しさに包まれながらも、自分の持つ力の強大さに思い悩む若き青年としての姿を描いています。

そして続く第2章『夏』ではいよいよクラーク・ケントがスーパーマンとして活躍し、また彼の私生活も描く物語に。
スーパーマンが現れるまでは、レックス・ルーサーがメトロポリスを世界の中心地に育て上げた立役者として支持されていたのですが、彼が現れてからはメンツが丸つぶれ。
テロリストが所持していた潜水艦のミサイル等がレックスコープ社製である事がばらされたり、買収を目論んでいた会社が火事になったところに自社の新製品“街の守護神”を送り込んで消火活動を行おうとしたところまではともかく、中に人が残っている事までは把握しておらず、スーパーマンが来なければ危うく死なせるところだったために刑務所に一晩過ごす事になり、加えて狙っていた女性ロイス・レーンはスーパーマンに完全に心移りするという散々な目に。
結果ルーサーはスーパーマンを憎み、彼を絶望のどん底に叩き落とすために行動するようになってしまうのです。
逆恨みとはいえ、さすがにルーサーにもちょっと同情する展開。

ルーサーとスーパーマン
とことん面目を潰されるルーサー

ジェフ・ローブ&ティム・セイルコンビの作品は、シリアスな内容だったバットマンの『ロング・ハロウィーン』『ダークビクトリー』そしてその外伝『ホエン・イン・ローマ』ぐらいでしか知らなかったので、こんな作品も書ける人達なんだと感心しました。
『バットマン』では陰影がハッキリしていたティム・セイルのアートも、本作では印象がだいぶ異なる暖かみのある感じになっていますしね。

◆感想
さて、スーパーマンのイメージといえば、やろうと思えばどんなことだって出来る「完全無敵の超人」
でもそんな彼も普通の人と同じように思い悩み、不安を抱くことだってある。
終盤ではスーパーマンは“ある事件”のために心に傷を負ってしまい、ふと故郷が恋しくなって心を癒しにスモールビルに帰って来てしまいます。
そこでスーパーマンは、改めて自分を見つめ直し、原点に立ち返るのです。
読み進めていくうちに、スーパーマンは故郷では本当にいい両親に育てられ、また周囲の人々とも良い人間関係を築けていたんだなぁと感じました。
ヴィランとの派手な戦いがあるような内容ではありませんが、非常に心暖まる一作であり、今購入できる邦訳スーパーマンの中では一番のおススメです。

父との会話

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