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21 2013

ポール・ディニ&アレックス・ロス他/バットマン:ブラック&ホワイト2

BANDW表紙
THE WORLD IS SIMPLE.
THERE'S GOOD.
THERE'S EVIL.

テーマは「バットマン」。
作者は40人の第一線のコミック作家。収録作品は21編の第一級短編コミック。
「バットマン」の世界の奥深さを知る、現在のコミックシーンを知る、恰好の一冊。
そしてなにより最高のエンターテイメント。ディープなバットマンファンにも、アメコミを知りたい読者にも、きっと満足のいく一冊だ。
巻末には、日本語版独自の、作家および作品解説を収録。
また、バットマンをより深く知ることのできる“ゴッサムのガーディアン”“NOMAN'S LANDとなったゴッサムシティ”のイラスト入り解説ページも追加。
資料としても価値の高い一冊だ。


◆収録作品

2000年03月:Batman: Gotham Knights #1
2000年04月:Batman: Gotham Knights #2
2000年05月:Batman: Gotham Knights #3
2000年06月:Batman: Gotham Knights #4
2000年07月:Batman: Gotham Knights #5
2000年08月:Batman: Gotham Knights #6
2000年09月:Batman: Gotham Knights #7
2000年10月:Batman: Gotham Knights #8
2000年11月:Batman: Gotham Knights #9
2000年12月:Batman: Gotham Knights #10
2001年01月:Batman: Gotham Knights #11
2001年02月:Batman: Gotham Knights #12
2001年03月:Batman: Gotham Knights #13
2001年04月:Batman: Gotham Knights #14
2001年05月:Batman: Gotham Knights #15
2001年06月:Batman: Gotham Knights #16
2002年  :CASE STUDY
2002年  :BATS, MAN
2002年  :A MATTER OF TRUST
2002年  :NIGHT AFTER NIGHT
2002年  :FORTUNES


◆黒と白
今回更新のアメコミ記事もちょっと前に発売された邦訳アメコミのレビュー。
紹介するのは『バットマン:ブラック&ホワイト2』
タイトルに『2』とあるように、99年に『1』も発売されていたのですが、こちらは絶版ですっかりプレミア価格。


大友克洋氏も参加している一冊。一部収録作品は他の邦訳本に再収録されていたりする

本書はバットマンのレギュラーシリーズである『バットマン:ゴッサム・ナイツ』で連載されていた白黒の短編作品を纏めた1冊となっています。
さらに内5作品は『2』が初掲載。
一話完結型でライターとアーティストが毎回変わるため、バラエティに富んだ作風のバットマンを楽しむことが出来るのです。
ヴィランがメインだったり、ハードボイルドな作品だったり、コメディ調の作品だったり、ほのぼのテイストな作品だったり、ゴールデンエイジ・シルバーエイジ風の作品だったりと実に様々。
今後邦訳で拝めるか分からないライターやアーティストの作品を楽しめるという面でもなかなか面白い一冊ではないでしょうか。
というわけで、収録作品と、個人的にお気に入りの作品をいくつか紹介。

◆作品タイトル一覧

“ケース・スタディ” 
ストーリー/ポール・ディニ アート/アレックス・ロス

“バッツマン~暗黒街の疫病神~”
ストーリー/タイ・テンプルトン アート/マリー・セブリン

“信頼の絆”
ストーリー/クリス・クレアモント アート/スティーブ・ルード&マーク・バッキンガム

“夜毎の儀式”
ストーリー/ケリー・パケット アート/ティム・セール

“占い”
ストーリー/スティーヴン・T・シーゲル アート/ダニエル・トレス

“蝙蝠の道”
ストーリー/ウォレン・エリス アート/ジム・リー

“バットマンとロビン・ザ・ボーイワンダー”
ストーリー&アート/ジョン・バーン

“ブロークン・ノーズ”
ストーリー&アート/ポール・ポープ

“ゴッサムより愛をこめて”
ストーリー/ジョン・アルカディ アート/トニー・サーモンズ

“かくれんぼ”
ストーリー/ポール・レビッツ アート/ポール・リボシェ

“なぞなぞ”
ストーリー/ウォルター・サイモンソン アート/ジョン・ポール・レオン

“蝙蝠と鼠のゲーム”
ストーリー/ジョン・アルカディ アート/ジョン・ビュッセマ

“傷跡”
ストーリー/ブライアン・アザレロ アート/エデュアルド・リーソ

“暗黒の街”
ストーリー/ハワード・チェイキン アート/ジョルディ・バーネット

“守護者”
ストーリー/アラン・ブレナート アート/ホセ・ルイス・ガルシア=ロペス

“スノー・ジョブ!”
ストーリー/ボブ・カニファー アート/カイル・ベーカー

“白黒怪盗”
ストーリー&アート/デイブ・ギボンス

“偽金”
ストーリー/ハーラン・エリス アート/ジーン・ハー

“賭け”
ストーリー/ポール・ディニ アート/ロニー・デル・カルメン

“怒死夜降り”
ストーリー/トム・ペイヤー アート/ジーン・コーラン&トム・パーマー

“蝙蝠は消えた”
ストーリー/アラン・グラント アート/エンリケ・ブレッツィア


◆バッツマン~暗黒街の疫病神~
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マーヴルコミックスで数多くのパロディコミックを手掛けたというマリー・セブリンがアートを担当する一作。
ふざけまくりながらも悪と戦うバットマン。
しかし今日は一人になりたい気分だった。
孤独に戦おうとする彼の前に、ロビンやナイトウインク、アズラエル等のバットマンファミリーが大集合する…という感じのお話。

ゴードン本部長の元にこっそり忍び寄って大音を立てて驚かせたり、銃を撃って攻撃してくるタリアに対して「当たるわけないだろ?その髪型じゃあ立体視ができないし」と言い放ったり、とにかくおちゃらけまくりのバットマンが面白いです。
バットマンファミリー大集合のコマでは、いまや黒歴史となったアース2の大人ロビンまで登場しているというマニアックな小ネタにも注目。

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◆信頼の絆
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学友であるロビン・キャラハンに頼まれて、彼女が急な仕事の用事で家を空けている間子供たちのお守りを頼まれたブルース・ウェイン。
さっそく二人の子供の面倒を見るのだが、悪ガキ二人が家の中で大暴れするためブルースは振り回されまくる…という、ファミリー漫画のような雰囲気の一作。

ライターは邦訳X-MENあたりでちょいちょい名前を見る『クリス・クレアモント』
子供の相手にまったく慣れていないブルースは「ジョーカーと戦う方がまだ気が楽だ」と思わず考えてしまうのですが、それでもなんとか子供たちとの距離を縮め、「ブルースはいい父親になれる」と思わせてくれるラストで締めるという心暖まるお話となっています。

◆白黒怪盗
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ゴッサムに新たなヴィラン『白黒怪盗』が現れた。
彼は昔画家であったが、ある会社の絵の具を使用した所色彩感覚が破壊されてしまい、目に映る世界が全て白黒になってしまったという過去を持つ。
彼はその会社への復讐を胸に秘めつつ、ツートンカラーの美術品を集めることに拘るようになったのであった!
バットマンは白黒怪盗を捕えるため、彼をある罠にかけようと画策する…というストーリー。

『ウォッチメン』でアートを担当したデイブ・ギボンスがストーリーとアートを両方担当した一作。
1950年代のバットマンの雰囲気を意識しているというのもあって、バットマンやバットモービルのデザインがレトロなものになっていたり、ヴィランでありながらどこかユーモラスな白黒怪盗のキャラなどが印象的。
また『白黒』を作品のテーマにしているだけあって、「今日はドス黒い気分でな」「腹黒いマンセルめ」「灰色の脳細胞を使ってやつを止める青写真を書くとしよう」などといったセリフが数多くあり、細かいところにもテーマへのこだわりが見て取れます。

◆偽金
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ダルトンと造幣局の間でトラックがハイジャックされてしまった。
ゴッサム市警はインターポールからの情報で彫版工のポッピンガーを捕えたのだが、彼は頑として口を割らない。
そこでバットマンはある方法でポッピンガーの証言を引き出し、偽札作りの犯人グループを追い詰めていく。

なんとライターは大御所SF作家である『ハーラン・エリスン』
1ページに詰め込まれたコマ数と情報量が非常に多く、8ページの短編とは思えないボリュームがある一作。
しかし本作でもっとも目を惹くのは、アート含めシリアスな雰囲気を纏っているストーリーであるにもかからず、大真面目にギャグをやっているという一点。
シリアス風味なバットマンで(本人たちは真面目にやっているけども)ギャグを挟むことにより『シリアスな笑い』を演出しているという、ジーン・ハーの緻密なアートで描かれる馬鹿馬鹿しいオチも含めて個人的に一番好きな短編です。

◆賭け
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アーカム・アサイラムにて退屈を持て余している悪女の二人、ハーレイ・クインとポイズン・アイビー。
退屈しのぎに、どちらが病院中の男からキスを多く獲得できるか掛けて競い始めるのであった。
案の定、特殊なフェロモンで相手を操ることが出来るアイビーに軍配が挙がっていく。
さらに愛するショーカーまでポイズン・アイビーにキスを奪われそうになってしまい…

ライターのポール・ディニがもう一作担当した短編作品。
アートは1992~1995年にかけて放送されていたアニメ『バットマン』でストーリーボードとキャラデザインを担当していたロニー・デル・カルメン。
アニメではちょっと見れない感じのセクシーなハーレイとアイビーを描くお色気たっぷりな一作となっています。

余談ですが、ロニー・デル・カルメンの描く女の子は、どれも体のラインが美しくて本当に可愛いので、少しでもピンと来たのであれば他のアートも要チェックや!

【Ronnie Del Carmen公式】
【google画像検索】

◆感想
なんだかギャグテイストの短編ばかりの紹介になってしまった。
個人的に読んでて面白かったと思えた作品を揃えたらこんな感じに…

本書はA4変形版でかつハードカバーという作りであるため、妙にデカくて読み辛いのだけがちょっとマイナスですが、バットマンが好きなら手を出してみても良いんじゃないかと思える一冊。
「あえて白黒」なアートは、いつものフルカラーとはまた異なる雰囲気で楽しめて良い感じ。
『1』の方も評価が高い一冊なんで読んでみたいんですけどね~。
最近邦訳アメコミが波に乗っている気がするので、その流れで再販されたりしないかしらん。
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