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26 2013

マーク・ウェイド&ハワード・ポーター他/JLA:バベルの塔

バベルの塔表紙

「彼らを阻止したり、殺害する方法まで研究なさるなんて…なぜそこまで?
 長い付き合いを経た今でも彼らを潜在的な敵とみなしているのですか?」

「敵は精神を操り、肉体を乗っ取る。
 無機物に命を与えるアガメムノ…相手の能力をコピーするアマゾ…
 味方といえども油断はできない」

「旦那様がどれほど孤立しようとも、
 彼らのほうは決して旦那様を排除しないことにお気づきですか?」

「それは彼らが愚かだからだ」


これは“裏切りの罠”なのか!?
今、JLA最大の試練が訪れる!!


どうすれば、JLA―世界最強のヒーローチーム―を斃せるのか……?
“彼”が極秘に重ねた研究の成果が、強大な悪の手に奪われてしまう!
そして、スーパーマン、ワンダーウーマン、アクアマン、マーシャン・マンハンター、グリーンランタン、プラスチックマン、フラッシュの7人は、それぞれの能力に応じて作られた特殊な罠のなかへと次々に追い詰められ、虫ケラのように蹂躙されていく……。
同時に行われる人類削減計画によって、世界中が混沌の渦に陥るなか、はたしてJLAは生き延びることができるのか?
そして、彼の“裏切り”の結末は!?


◆収録作品

1998年07月:JLA 80-Page Giant #1
2000年06月:JLA #42
2000年07月:JLA #43
2000年08月:JLA #44
2000年09月:JLA #45
2000年10月:JLA #46
2000年12月:JLA Secret Files and Origins #3


◆裏切りの罠!?
前回レビューした『JLA:逆転世界』と同時発売となった2000年代のJLAの邦訳『JLA:バベルの塔』
本作のライターはマーク・ウェイド。マーク・ウェイドと言えば、あの名作『キングダム・カム』を手掛けた方!
表題作の『バベルの塔』以外のエピソードもちょこちょこ収録された結構ボリュームのある内容でした。
そのうちの一作『脳内世界を救え!』からまず紹介。

◆脳内世界を救え!
脳内世界を救え

2代目アトムことレイ・パーマーが登場する、ライターがダン・カーティス・ジョンソン、アートがマーク・パジャリロの短編作品。
アトムについては有名ヒーローであるにも拘らず本書では登場人物紹介や解説でも全く触れられていなかったので軽くここで紹介。
普段の姿はアイビー大学の物理学者で、ヒーローとしての能力は「体のサイズをミクロサイズにまで自由に縮小できる」というもの。
元の体重を保ったり、大きさに合わせて減らすこともできたりとかなり自由度が高いです。
原子よりも小さくなることで電話線の信号を伝ったり、電波などに乗ることもできるというのだから驚き。
ただし超人的な力を持っているわけではないようで、様々なサイズに応じて使える格闘術を駆使して戦闘するとの事。

『脳内世界を救え!』のストーリーは、アトムがとある少年の脳外科手術を成功させるために、自身の身体を極限にまで縮小して損傷部位の調査に向かうのですが、そこにはなんと未知の腫瘍が広がっており、さらに文明を持った微生物を発見してしまうというトンデモな展開から始まります。

その微生物たちの文明は未熟であり、このままでは少年の生命維持がおぼつかない。
しかし微生物とはいえ、彼らはしっかり文明を築き、一つの世界を構築している。
そこでアトムは外科医に頼み込んで微生物たちが全滅してしまうレーザー除去の手術を延期してもらい、JLAに協力を仰いで微生物達にの自分たちの文明を捨ててもらえないか説得することにするというお話。
しかし微生物たちはJLAの言う話を聞き入れるどころかそもそも自身の住む世界が少年の脳の中である事を信じようとせず、逆に抵抗されてしまうという…

この微生物たちの中にも元々終末論を唱えており、JLAの話をそのまま信じてくれる人(人でいいのかな)がいたりして、まるでスーパーマンの故郷クリプトン星の崩壊を見ているようなストーリー運びで面白いです。

バベル
テロリストラーズ・アル・グール
今まで読んだ邦訳の中で一番厄介でスケールのデカい悪事を働いてるヴィランな気がする

惑星の資源や動物たちを守るために、大規模な環境テロを行うヴィラン、ラーズ・アル・グール。
彼が娘のタリアを使ってバットケイブから一つの重要書類を盗み出したのが今回の大事件の始まりです。

それからJLAのメンバーたちはラーズの部下たちの襲撃を受けて次々に倒されてしまいます。
マーシャン・マンハンターは火あぶりに、プラスチックマンは瞬間冷凍されて身体を壊され、アクアマンは水恐怖症にされて地上での活動が録にできない状態に…
スーパーマン、ワンダーウーマン、フラッシュ、グリーンランタンも自らの弱点を的確に突かれて倒されてしまいます。
最早残るはバットマンのみ…

窮地に陥るJLA
窮地に陥るJLA

ラーズの攻勢はそれだけでは終わらない!
彼の部下が作り出した特殊な音波を世界中に送り、人為的に失読症を発症。
その所為で世界中の人が文字を認識できなくなりライフラインに大打撃を与えていきます。

世界は大混乱
大混乱ってレベルじゃねーぞ!

実はJLAを倒すためのこの攻撃方法は元々バットマン自身が考案していたもの。
JLAのメンバーが敵に回った時の事を想定してあらかじめ対処方法を用意していたとの事なんですが、今回はそれが完全に裏目に出てしまった
仲間であるバットマンが、チームを倒すための方法を作り出していたというショッキングなストーリー。
バットマンの本意がどうであれ、JLAのメンバーとの信頼関係に大きな溝が出来ることは明白。
ストーリーの結末やいかに―!
…と、まるで映画作品のようにスケールのデカい事件が起こるのが本作『バベルの塔』

アへ顔ウォリー
アへ顔ウォリー

バッツ含めやたら顔芸が目立つハワード・ポーターのちょっとクセのあるアートも見所です。

◆感想
JLAのメンバーが徹底的に追い詰められてしまう展開な上、チームを苦しめた原因がバットマンにあるという内容なため、どういう結末を迎えるのか気になってどんどんページを読み進めてしまう作品でした。

上記で紹介した『脳内世界を救え!』以外にも、『バベルの塔』完結後の2000年12月に発表されたタリア主役の短編、90年代のDC作品である『JLA 80ページ・ジャイアント』に掲載されたエピソード2編が収録された、ちょっと昔のJLAの話を楽しむ事が出来る一冊。
しかし『逆転世界』といい本書『バベルの塔』といいバッツはストーリーでかなり目立つ役どころを与えてもらってるなあ。
直接戦うわけではないにしろ、やはりバットマンは敵に回すと恐ろしい。
スーパーパワーがあるわけではない人間なのにJLAをここまで追い込んでしまうのだから。

本書収録の表題作以外のエピソードでは、ワンダーウーマンとアクアマンを主役とした10ページ程の短編『秘めた思い』という話も面白かったです。
ワンダーウーマンにアプローチするも軽くあしらわれるアクアマン…。

それにしても、この頃のヒゲ面アクアマンはヴィジュアル的に凄くインパクトがありますね。
なんか片腕に銛がはまってますし
彼の個人誌を辿ってみると、最初は優男風のデザインで、94年8月に始まった第5シリーズからヒゲ面に、さらに94年9月に早くも片腕を失って手の代わりに銛をはめ込むようになると。
かと思えば2003年の第6シリーズの途中から優男風のデザインに戻って現在に至るようなんですけれども、ここまで外見がコロコロ変わるって一体どういうストーリーが展開されてきたのだろう。
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