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12 2013

ロバート・クラム/ロバート・クラムBEST―Robert Crumb’s troubles with women

ロバート・クラムBEST表紙

『狂った兄貴のマックスに、
 以前「ロバート、おまえは女に殺されるよ!」と言われたことがある。
 全くその通りだが、だからどうした……
 その価値はある……わが夢の素晴らしきケツは、
 何度も何度も全て我がものオレのものになった、ありがたいことに……
 神様ありがとう、女の子たちありがとう、一人残らずすべてに感謝……
 きみたちはこの退屈な人生で最高のエクスタシーを与えてくれた……
 今撃たれて死ねば本望だよ!!』


アメリカン・アングラ・コミックの大巨匠ロバート・クラムの、日本初の本格的なコミック傑作選。マッド・ダーティ・カルチャーヒーローの、お下劣でリビドーエネルギーぷんぷんの魅力満載。

『ロバート・クラム』
1943年フィラデルフィア生まれ。62年クリーヴランドに転居後、アメリカン・グリーティングス社で印刷工として勤務。またイラストやコミックの仕事を始める。
この頃、LSDに触発されて後の多くの作品の原型を生み出した。66年サンフランシスコに移り、アンダーグラウンド・コミックの先駆となった「ZAP」誌の創刊に参加(1967)。一躍カウンターカルチャーのヒーローとなる。代表作に「フリッツ・ザ・キャット」「ミスター・ナチュラル」シリーズのほか、J.ジョプリンのアルバムジャケットなどのアートワークも知られる。
またSP盤レコードのコレクターであり、ミュージシャンとしての活動歴もある。93年にフランス移住。この頃までを描いたドキュメンタリー映画の傑作『クラム』(T.ツウィゴフ監督)がある。


◆YOUR FAVORITE CARTOON CHARACTERS!
アンダーグラウンド作家の中でも特に日本での知名度が高いと思われるロバート・クラム。
本書はクラムの発表した作品のベスト選集となっています。
その作品のどれもが強烈に下品で露悪的な内容なものばかり

代表作の『フリッツ・ザ・キャット』は2編、『ミスター・ナチュラル』は1篇のみで、あとはちょっとした短編とクラムの自伝的なコミックで構成されています。

『フリッツ・ザ・キャット』の主人公フリッツは、大学をドロップアウトして毎日ふらふらして過ごしており、マリファナはやるわ、色んな女とセックスしまくるわ、政治意識があるわけでもないのに興味本位でデモやテロ活動に参加したりするわのとんでもなく自堕落なキャラクター。
そんな刹那的な人生を送る主人公を描くコミックです。

フリッツザキャット

この『フリッツ・ザ・キャット』が読めるということで期待して読んだのですが、思っていた以上に収録話数が少なかったのはちょっと残念。
(かつて邦訳出版された単行本が超プレミア化しているというのもあって)

フリッツ映画ちなみに『フリッツ・ザ・キャット』1971年にアニメ映画にもなっているのですが、クラム本人はこの映画版をひどく嫌い、『映画スターとなったフリッツが死んでしまう』というエピソードを作ってフリッツを殺しそれ以降はフリッツが登場する作品を作らないという行動に出たのでした。
ロバート・クラムという人物を象徴する強烈エピソードの一つですね。

本書ではその最終話『Fritz the Cat "Superstar"(フリッツ・ザ・キャット《スーパースター》の巻)』が収録されているのでそういう点では満足。

◆バラエティに富んだ作品群
この『ロバート・クラムBEST』には『アメリカン・スプレンダー』も1篇だけ収録されていました。
この作品についてはかつて記事を書いているのでそちらで。

※過去記事
【ハービー・ピーカー/アメリカン・スプレンダー】

アメリカンスプレンダー(クラムBEST)

アメリカンスプレンダー(2004年の本)
上が本書、下が2004年に出版された『アメリカン・スプレンダー』の邦訳版

読み比べてみると当然ながらかなり訳が異なっているので、違いを楽しむのも一興。
アメリカン・スプレンダーは著者のハービー・ピーカーの日常を描くだけの、話に大してオチの無いゆる~い雰囲気が魅力の作品
近年よく見かける『内容があえて薄いゆる萌え系漫画』が好きな人なら気に入るんじゃないでしょうか。
問題なのが登場人物が萌えキャラじゃなくて基本おっさんだらけな点なんですけど、逆に言えば登場人物が基本おっさんだらけな事しか問題は無いわけですからね。

個人的にこのベスト選集で一番推したい作品が、この近親相姦を通して家族の絆を深めるというファミリー漫画の『ジョー・ブロウ』
主人公のジョーは娘のシスがちゃんと宿題をやっているか部屋を訪ねてみたところ、オナニーしている現場に遭遇
一瞬戸惑うものの、クスリを一服やって気分を爽やかにし、娘の性欲を解消させるために行動する。
そこに息子のジュニアが帰宅して…

ジョー―・ブロウ
『ママ!家に帰ったらパパと姉ちゃんがくんずほずれつ…』

ジョーの妻ロイスも触発されてボンデージに身を包み、息子ジュニアと『ナニ』をするのであった。

それからしばらくして家族みんなが居間に集合。
「おや、ロイス、ぼくは娘と最高に楽しい時間を過ごしたところだよ!」
「世間の人ももっと子供と過ごす時間を取るべきよ!」
「そのとおりハニー!」

ジョー―・ブロウ2
なんかいい感じに〆て終わる

子供と親のコミュニケーションが希薄になりつつある問題を抱えているこの現代社会に警鐘を鳴らす素晴らしい一篇です。

◆感想
黒人支配
『もし黒んぼがアメリカを乗っ取ったら?』というブラックすぎる短編。
黒人が暴力と掠奪を楽しむ人種として描かれまくる

強烈な作品ばかりをチョイスしている本書。
万人向けというよりは訳者の柳下穀一郎さんによる暗黒面に傾いたチョイスになっており、クラムの持つコンプレックスや抑圧、女性の尻と太ももフェチな部分をぶつけまくったエグみのある作品だらけな1冊になってます。
ぶっちゃけ人に見せづらい本。

でも読んでて面白いんですよね。
面白いは正義。

クラム王

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