
2002年【日】
甲子園出場を目指す、星道高校校長兼野球部監督・朝倉南太郎のもとに、予選第1回戦の対戦相手決定の知らせが入る。
しかし、相手はルール無用の殺人集団・外道高校。「終わった。今年の夏は終わった」と呟く校長の脳裏には、3年前の予選でやりたい放題やられ、試合放棄で負けた忌まわしい記憶が甦っていた。
そんなことも知らない星道高校野球部は、「目指せ甲子園!」を合言葉に練習に励んでいた。補欠要員のメガネは、今日もキャプテン、松井ゴリラに怒られ、球拾いをしに校舎裏へと向かうが、そこは悪名高き番長グループの溜まり場。
案の定、不良に絡まれるメガネ。その時、たまたまそこで昼寝をしていた転校生・野球十兵衛の助けが入り事なきを得るが、運悪くそこに番長が現れてしまう。「ちょうどムシャクシャしていたところだぜ!」と、十兵衛は子分たちをあっさりと片付け、番長との喧嘩野球対決が始まった!
それは、番長がバッターとなり十兵衛自身がボールとなる、まさに男と男の闘い。死闘の末、みごとに三振を取った十兵衛は番長をボコボコにやっつけ、その場を立ち去るのだった。その闘いを興奮して見物していた校長は、「十兵衛君の喧嘩野球だったら、外道高校を倒せるかもしれない!」と野球部に勧誘するが、野球を捨てたから、と簡単に断る十兵衛。その時、ふんどしをつけた謎の男が現れた。唖然とする二人だったが、その男がさっきボコボコにされた番長だと気がつく。
ただ、どうも顔が違うようだ。しかし番長は、十兵衛のパンチを受けたことによって痛めていた肩が治り、「心を入れ替えたので顔も変わって当然!」と言い放つ。そして、同じく野球を捨てた者同士、一緒に外道高校と戦おうと十兵衛を誘うのだった。「俺には関係ねー!」とは言ったものの、十兵衛のなかには野球を愛する気持ちが息吹き始めていた。
そこに、十兵衛を追いかけてきたメガネがやって来る。「なんで野球を捨てたんでやんすか?」と問いただすメガネに、自分の投げたボールで父親を殺してしまったことを告白する十兵衛。しかし、メガネも母親に野球を禁止されていること、でも野球を愛する気持ちは変わらないことを伝え、その熱心な説得で十兵衛は野球部に入ることを決心するのだった。
そして予選試合の日。しかし、肝心の十兵衛の姿が見当らない。それもそのはず、その時十兵衛は刑務所の中にいたのだった。
果たして、十兵衛は球場に現れるのか?星道高校は外道高校に勝つことができるのか?高校球児たちの未来をかけた死闘がついに始まった!
漫☆画太郎原作のコミック『地獄甲子園』の実写版。
野球十兵衛が序盤から終盤までちゃんと主役を張るという独自展開が大きな特徴です。
脚本作業には画太郎先生本人が協力していたとか。
とはいえ原作とはギャグのノリが結構異なっており、数々の残虐なギャグシーンはかなりマイルドになってしまっていますが、バカバカしい事を真面目にやってる画は面白いです。
また、原作ではロクに行われなかった「主人公サイドが9人集結しての野球」がこの映画版では行われています。いや実際は野球じゃないですけど。ハルマゲ野球ですけど。
あと、野球十兵衛を演じる坂口拓の「はうあ!!!」の演技が素晴らしかったです。
原作でのラストは画太郎作品らしく「オチを完全にブン投げて終了」していましたが、この映画版はしっかりと完結してくれているのにも注目!
ちなみに監督である山口雄大氏は本作を皮切りに『魁!!クロマティ高校』などのコミックの実写化を手がけるようになります。