ツルゴアXXX

ARTICLE PAGE

10 2012

ダン・スロット&フィル・ヒメネス他/スパイダーマン:ブランニュー・デイ1

ブランニュー・デイ1

“これでわかったかい?復帰初日だというのに…
 警察は僕を殺人犯だと疑い、
 新しい怪人は僕を殺そうと企み、僕の友達はマフィアだけ。
 そうそう、写真は1枚も撮れなかった。
 これはもう災難を呼び寄せるパーカー・ラックじゃない。
 一種の才能と言っていい。
 これから先が待ちきれないね!”


青い空、まぶしい日差し。今日の摩天楼はスイング日和である。
そして、いつもの“パーカー・ラック”、すなわち災難の連続。ピーター・パーカーの人生にはいつだって、学校や職場でのトラブル、さらには男女関係の悲喜劇といった数々の災難が降りかかってきた。
そんな時でも、ピーターはスパイダーマンになることでストレスを発散することができた。しかし、スーパーヒューマン登録法が施行された現在、非登録のスパイダーマンになることは、トラブル以外の何物でもなかった。

『ブランニュー・デイ』では、スパイダーマン/ピーター・パーカーの人生に新しいキャラクターが数多く登場する。まずは残虐非道な謎の男ミスター・ネガティブ。悪魔のような部下を引き連れ、伝統あるマフィア一家を皆殺しにしようと狙っている。彼を阻止することがスパイディの最優先事項だが、はたしてそのために支払う代償とは?ミスター・ネガティブとの対決が一段落すると、今度は怪人メナスが現れる。メナスがグライダーに乗っているのは偶然なのか、それとも、恐るべきグリーン・ゴブリンとなんらかの関わりがあるのか?

また、政府に認可された正式な新ヒーローがニューヨークに現れる。
だが、そのセクシーなスーパーヒロイン、赤毛のジャックポットの正体とははたして誰なのか?さらに、ピーターのせいでJ・ジョナ・ジェイムソンが心臓麻痺をおこして入院している間に、デイリー・ビューグルが新しい発行人デクスター・ベネットに乗っ取られてしまう。はたしてこれは幸運か、それとも……。


◆収録作品

1995年08月:Venom Super Special
2007年06月:Free Comic Book Day 2007 Spider-Man
2008年02月:The Amazing Spider-Man #546
2008年03月:The Amazing Spider-Man #547
2008年03月:The Amazing Spider-Man #548
2008年03月:The Amazing Spider-Man #549
2008年04月:The Amazing Spider-Man #550
2008年04月:The Amazing Spider-Man #551


◆スパイダーマン再始動
アメスパ公開時には『ワン・モア・デイ』ぐらいしか邦訳が出なかったスパイダーマン。
ブルーレイやDVDが出る時期になってからようやく色々出版され始めましたね!

※過去記事
【スパイダーマン:ワン・モア・デイ】

映画に乗っかって出版された邦訳が『ワン・モア・デイ』だったときは「絶対他に訳した方がいいエピソードがあったはずでしょ!?」とか叫んでいたものですが、今は新たにスパイダーマンを仕切りなおしたこの『スパイダーマン:ブランニュー・デイ』が読めるのであれば、『ブランニュー・デイ』の前日譚としては必要な邦訳だったとも思えます。
とはいえ本作はある種第一話からのスタートなので、『ワン・モア・デイ』未見の状態でコレから入っても大丈夫だとは思いますが。
この1巻の冒頭でスパイディを取り巻く人間関係や世界がどう変化したのかも纏められていますし。

ちなみにスパイダーマン、『シビル・ウォー』の際にTVで素顔を晒してしまっていましたが、メフィストの力によってスパイディを取り巻く世界が変化した結果、あの素顔晒しも「記憶している人もいるが素顔は忘れられている」という事になってるらしいです。
要は無かった事になった。

◆就活中のピーター・パーカー
リブートし、色々と仕切りなおされた状態でストーリーが始まる本作『ブランニュー・デイ』
『ワン・モア・デイ』以前まではMJと結婚生活を楽しんでいたのに、本作では未だにメイおばさんと同居して、就職活動をしながら、たまにデイリー・ビューグルに写真を売って小金を稼ぐ日々を送っています。
空白期間持ちの就職活動中の人が読んだら色々と思うところがありそうなセリフまで飛び出す始末。


「科学コンテストで4年連続して最優秀賞を受賞、エンパイア・ステート大学でもトップクラス」
「その後は?論文もない。この分野では何もしてない。
 ピーター、君は今まで何をしてたんだね?

「まあ、その…いろいろと」


職が無い
スーパーヒーローだろうが就活はラクじゃない

何にしてもお金は必要。
そこでピーターはJJに「いいかげんこれまでの写真代…もとい借金を早く払ってほしい」と詰め寄ることに。
しかし、デイリー・ビューグルの経営状態は今現在ギリギリな状況。そんな状況で発行人をやってストレスを溜めているJJに対し、ピーターはこれまでの不満を一気にぶつけてしまったため、
怒りで興奮したJJはなんと心臓発作で倒れてしまいました。

さすがに責任を感じるピーター。
自分に出来るのは「売上が低迷したビューグルを守るため、奇跡の1枚を手に入れる事」
そのため、今話題になっている「市民を脅かすスパイダーマンのマスクを被った強盗」を捕えるために、ピーターはスパイダーマンとなって最初の冒険に出るのでした。

◆感想
アクションシーンでは「軽口を叩きながら戦うスパイディ」の姿が拝めるので、作中でもネタにしちゃうほど不幸展開の連続でありながら、必要以上に暗くなりすぎないのが面白いストーリーです。

なにより本作で注目したいのが『新ヒロインや新ビランが続々登場する』という点。

ミスター・ネガティブ
新ビランのミスター・ネガティブ。チャイナタウンを支配するギャング組織のボスである
その正体はなんと…?

ジャックポットちゃん
メリー・ジェーンが登場しない代わりに新たに登場したスーパーヒロイン・ジャックポット

メナス戦
グリーン・ゴブリンのような出で立ちの新ビラン・メナス

新ビランの目的は1巻の時点では不明ですし、新ヒロインの正体もこの時点では全く不明。
ジャックポットってメリー・ジェーンなのかなーどうなのかなー。

本書には巻末にシリーズ編集者であるトム・ブレブールト『創作の手引き』なる文章が収録されているのですが、そこには「前に進むためには、過去のスパイダーマンを何度も再現するのをやめなければならない。過去の名場面に対するオマージュはやめて、読者の心に訴えかけるような新しいイメージを作り出そう」と書かれています。
『ワン・モア・デイ』でこれまで積み重ねたストーリーが白紙に戻り、人間関係もまた再構成されてしまっていますが、状況説明を自然にストーリーに織り込みつつ、また新鮮な驚きを多数盛り込んでいる本作は読んでみると期待以上の作品でした。
この『新章』って感じがたまらん!

『ブランニュー・デイ』全3巻で今後も発売していくようなので、続きが今から楽しみです。
あ、今回も訳者の高木亮さんがブログで補足解説を公開されていますよ!
これも要チェック。
【スパイダーマン:ブランニュー・デイ 1 補足】

余談ですが、『Venom Super-Special』というダン・スロットが初めて手掛けたスパイダーマンの短編も本書にはおまけで収録されています。
おまけの短編

エイリアン・コスチュームが就寝中のピーターの身体を乗っ取り、夜な夜な勝手に自警活動をするというお話。
読むと「エイリアン・コスチュームがちょっとかわいく感じる」こと間違いなし。

あ、それとこれまた余談なんですが、本作では超人登録法を『スーパーヒューマン登録法』と訳してたのがちょっと気になりました。ワン・モア・デイの時はヴィレッジのシビル・ウォーに合わせて普通に『超人登録法』と訳してたんですけどね。
あと、ここ最近『パニシャー』表記がデフォになりつつあった彼は『パニッシャー』と訳されてました。
パニシャー
「別に登場するわけでもなく、名前がちょろっと出ただけだけどな!」

こういう訳は統一せずに訳者のセンスに任せてるんでしょうか。
個人的にはある程度統一してほしい感。
関連記事

0 Comments

Leave a comment