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15 2012

イアン・エジントン&デイビッド・ファブリ/ヴィクトリアン・アンデッド シャーロック・ホームズvs.ゾンビ

シャーロック・ホームズVSゾンビ
“混乱が変革を余儀なくさせるのだよ、ワトスン。望もうと望むまいとね”
“清国の呪いの言葉で言えば『奇なる人生を生きんことを』だ”
“それが真実であるならば、我々はまさに呪われているのさ!”

シャーロック・ホームズ対ゾンビ――
想像を絶する世紀の対決が幕を開ける。


誰が想像しただろうか。あのホームズとワトスン博士がロンドンを覆い尽くそうとするゾンビの大群と死闘を演じることを!
シャーロッキアンもゾンビマニアも予想だにしなかった究極のジャンル・ミックスの結末はいかに!
1854年。流れ星がロンドン上空を横切ったことにより、“ゾンビ”という災いが英国にもたらされた。しかし、英国諜報部は長い間、その脅威を隠蔽してきたのだった。時は流れ、1898年。卑劣な悪魔がヴィクトリア女王の統治を転覆すべく、“ゾンビ”を利用しはじめた。不穏な前兆を察知したシャーロック・ホームズとワトスン博士は、ゾンビの大群、MI-5、さらに最大の宿敵までも同時に相手にしなければならなかった。はたして、ホームズたちはこの難事件を無事解決することができるのか……。


◆収録作品

2010年01月:Victorian Undead #1
2010年02月:Victorian Undead #2
2010年03月:Victorian Undead #3
2010年04月:Victorian Undead #4
2010年05月:Victorian Undead #5
2010年06月:Victorian Undead #6


◆シャーロック・ホームズ 対 ゾンビ!?
最近、海外ドラマ『SHERLOCK』の影響なのかじわじわと来ているシャーロックブーム。
そしてもう一つ、最近やたらとゲームや漫画で扱われることが多いジャンルであるゾンビ。

この2大ブームに応えるかのように小プロから邦訳出版されたのが本書『ヴィクトリアン・アンデッド シャーロック・ホームズvs.ゾンビ』!
いきなりこういう異色な邦訳アメコミが出版されて正直戸惑いが隠せません。

本作は2010年1月から6月にかけて全6号でワイルドストームから刊行され、2010年10月に1冊の単行本として出版された作品です。

「あのシャーロック・ホームズがゾンビと対決する!」というツカミだけでパッと見B級ホラーな印象を抱いてしまうこの作品。
実際に読んでみると、小説でお馴染みの登場人物を効果的に使い、また本事件で死者がゾンビになる理由もしっかりと解き明かし、更に手に汗握るアクションシーンが豊富という、好きな人には堪らないスチームパンク要素がたっぷりと詰め込まれたなかなかに良質な一作に仕上がっていました。
まあキワモノな事には違いないんですけども!

◆STORY
警視庁のレストレード警部から「非常に難しい事件のため力を借りたい」という連絡を受けたワトスンとホームズ。
その事件とは、死んだ人間が甦って突如人を襲うようになったという常識を超えた内容だった。

ゾンビに興味津々
ゾンビに興味津々なホームズ

しかし、そこに英国諜報部の人間が割って入り、この事件から手を引くよう警告される。
それでもホームズとワトスンの二人は事件の調査を進めるため、死体が発見されたトンネルに向かうことにするのであった。
その工事中のトンネルの中に空洞があるのを発見し、さっそく中に入って調査を進めるホームズとワトスン。
なんとそこにはエリザベス期末期の街並みが広がっていたのであった。
そして、そこまで年月が経っていない大量の白骨死体を発見する。
謎の多いこの場所を調べている最中、二人はいきなり大量のゾンビの襲撃に遭ってしまう。

ククリとリボルバー
ククリとリボルバーでゾンビの群れをかき分けるホームズとワトスン

厳しい撤退戦を続ける二人。
そこに政府の近衛兵たちが救助に入り、命からがらトンネルからの脱出に成功する。
そして近衛兵を率いていた政府の役人であり、ホームズの兄でもあるマイクロフトと出会う。

ゾンビの発生源は突き止めたものの、誰が、何の目的でこのような事件を引き起こしたのかは依然として謎のままである。
果たしてホームズとワトスンはこの奇妙な怪事件の謎を解き、見事ロンドンを救うことができるのか?

セバスチャンとモリアーティ
死んだはずのモリアーティ教授も登場しちゃう

◆感想
見た目はイロモノ系な作品ですが、中身はホームズの原作らしさもしっかり盛り込まれており、題材がゾンビでありながらも読みやすく纏まっているストーリーになっていました。
ホームズが好きな人、ゾンビが好きな人、もしくはその両方が好きな人にはお勧めなアメコミ。

余談ですが、本書の翻訳を担当した北原尚彦氏は日本シャーロック・ホームズ・クラブの会員で、過去にコナン・ドイル作品の翻訳もなされている方。
(他にもSF、古本関連、『スターオーシャン Till the End of Time』の小説版を執筆されていたりと扱うジャンルは様々)
こういうとこにもちょっとしたこだわりが感じられる邦訳になってます。

【シャーロックレイジー(執筆者・北原尚彦)】(本書の翻訳裏話などが語られています)

◆余談
原書表紙
原書の単行本の表紙のインパクトは凄まじい

ちなみに、本作は続編シリーズがすでに2作ほど発表されています。
そのどちらもこれまた傍目にはぶっ飛んだ対決モノ。

『ヴィクトリアン・アンデッドⅡ シャーロック・ホームズvs.ジキル/ハイド』(2010)ジキル

『ヴィクトリアン・アンデッドⅡ シャーロック・ホームズvs.ドラキュラ』(2011)ドラキュラ

内容が凄く気になりますね。
もし本書が売れたら続編の邦訳もありえなくはない…のだろうか。

◆なんか好きな1シーン
img102.jpg
ベイカー街がおぞましいことになっているのに割と落ち着いて食事をするホームズとワトスンとハドスン

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