ツルゴアXXX

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13 2012

泉昌之/天食

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シーズン2の放送が始まったドラマ版『孤独のグルメ』
嬉しいことにシーズン2は僕の住む関西圏でも放送されることになり、シーズン1が未放送だった悲しみが大分和らぐことになりました。
(せっかくだから関西圏でシーズン1の再放送とかやってくれればなお良かったんだけど)

というわけで、この機会に原作本も購入しようと本屋に出向くことにしました。











表紙

でも他に面白そうなグルメマンガを見つけたのでこっちを購入しました。
目的と違うものをつい購入しちゃうのは本屋ではよくある。

作者は『泉昌之』
『食の軍師』のレビューでも書きましたが、『泉昌之』というペンネームは作画担当の『泉晴紀』と、原作担当の『久住昌之』の漫画家としてのコンビ名となっております。

谷口ジロー先生の絵とは異なりかなり荒々しい画風である泉晴紀先生ですが、久住先生の作る面白おかしいストーリーに非常にマッチしており、泉昌之作品は『孤独のグルメ』とはまた異なった味わいの食事漫画で楽しませてくれるコンビなのです。

★帯推薦文から★
俺もこんな風に曲を作りたい。
というか、作っている。
奥田民生(ミュージシャン)

俺はさすらう、馬鹿の曠野を!
孤高のマンガユニット、13年ぶりの短編集!!

2000年に発表されたデビュー20周年作品「天食」を筆頭に、
現代を生きる侍が大暴れするジャンクフードマンガ「食い改め候」、
苦笑・嘲笑・失笑のちに哀愁の「ブギ・ウギ・オヤジ」などを収録。
重箱の隅を全身全霊をこめてほじり描く泉昌之ワールドへ、いざ!


【収録作品】

●THE POEM MAN
●天食
●食い改め候
●逆流
●ブギ・ウギ・オヤジ
●ブレーマン・ザ・自由業
●便急便
●スキヤキ食いてぇ~!!


天食

もうこの人の作品ではすっかりお馴染みなトレンチコート男が登場する一作。
旅先で知らない街に来て、知らないイイ店を探しに来たトレンチコート男。
そこで『みなし屋』というのれんの『食堂』の2文字が何ともそそる店を発見するのであった。

さっそうとビール、冷奴、ラッキョ、焼ノリ、盛合わせ天ぷら定食を注文。
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流れるような注文をし、頭の中で食事を楽しむためのタイムテーブルを組み立てる

のだが、出てきた冷奴はネギも生姜もノっていない素っ気ないモノ。
味に自信があるのかと思いきや明らかにスーパーの一番安いヤツ。
海苔も単なる味付けノリだったのだが、「素朴な晩酌がむしろこれから来る天ぷら定食への期待を膨らませるのだ」と自分に言い聞かせるトレンチコート男。

と言っているうちに早くも天ぷら定食がやってきた!
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揚げてから出したとは思えないスピード

出てきたのは明らかに作り置きの天ぷら。
すっかり冷え切っており、最早食べてもさくりともしないお粗末なモノ!
どんどん注文した料理が出てきたため、頭の中に思い描いていたタイムテーブルもすっかり崩されてしまう。
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なんてさびしい食事なのか

しかしここで冷静になって、テーブルを俯瞰し、手を付ける順番を考えるトレンチコート男。
ビールを片付けるために天ぷら、ラッキョ、冷奴をツマミに飲んでいく。
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やっぱり男は冷えたイモ天よ!!

そしてビールを片付けた後は、残った大盛りのご飯。
どう自分をごまかしてもへにょへにょな天ぷらやしょぼいお新香、ラッキョじゃテンションも上がらない。
そこでトレンチコート男が取った喰い方はなんと『暴走食い』
とにかくメシに対して天ぷらを食い進ませ、そのスピード感で味わいをふっとばし恍惚するというモノ(なんだそりゃ)
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やけくそ

要は飯屋に入って失敗したという話を面白おかしく描いたエピソード。
トレンチコート男の食に対するこだわりや食事後の何とも言えない哀愁は読んでいて共感できるものがあるのではないでしょうか。
食い改め候

63衛門という何故かこの現代に侍の格好をしているオヤジが主人公の食漫画。
B級グルメどころかその辺のスーパーで買えるようなインスタント食品、チェーン店での食事など身近すぎる『食』を題材にしているのが特徴です。
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たまたま入ったそば屋での冷やし中華に不満を感じたため、インスタントを買って自作

個人的に面白かったのがデパ地下の試食コーナーを荒らしまわる回
試食をすばやく見つけ、さっと食って「うむ」とだけ言い残し、さも後で買いに来るように演出して立ち去る63衛門。
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イヤな客だ

この男が主人公の作品が9遍も収録されているため、ぶっちゃけ表題作よりもこっちがメインな気さえもします。
表紙も63衛門だし。
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あるあるネタ

『天食』『食い改め候』以外の作品は食漫画ではなく、まさにおっさん向けの下品なマンガが取り揃えられています。
img061.jpgまたもトレンチコート男が主役の『逆流』『便急便』どちらもウンコが題材のマンガ
トイレに入ったものの紙が無かったため、かわりにティッシュペーパーを用いて尻を拭いて流したものの、見事なまでにトイレを詰まらせてしまい、流れないウンコと外に並んでいる人との板挟みに苦しむというなんとも言えない内容。
『便急便』は主人公がバスに乗っている時に便意に襲われてしまい、「バイク便みたいに電話で来てくれるトイレがあればなぁ」と妄想するだけのマンガ。このビジネスをいかに成り立たせるかを考えに考えて練っていくのですが、だからといって便意が無くなるわけではないのであった。
というか食漫画の後にウンコネタの漫画を持ってくるのは本の構成としてどうなのか。

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『ブギ・ウギ・オヤジ』は今もどこかに必ず居るであろう下品でちょっとウザい上司と、それにイライラする部下のお話。
『天食』、『食い改め候』以外の短編作品も面白いことは面白いんですが、購入前は食漫画だけで構成されていると思っていたので約半分がこういう漫画の収録になっていたのがちょっと残念。

『孤独のグルメ』とは空気感もノリも違う作品ばかりですが、『天食』『食い改め候』の主人公の食に対する妙なこだわりを見る面白さはこっちも健在。
しかし何とも再読性の高い話を描くユニットだなぁ泉昌之は。

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2 Comments

流浪牙  

泉昌之×アレクッス・ロスのコンビで

それにしても何ですね、昌之先生はこういう作品も良いのですが
やはり孤独のグルメをさらに進行させていただきたかったり―と思ってしまうのですよ、俺は。
(または孤独のグルメのように写実的劇画調の描風の人と組んだり)

とりあえず井之頭五郎だったらみなし屋でアームロックを極めて解決という実に最適な対策を執ってくれるだろう、か……

2012/10/14 (Sun) 00:27 | EDIT | REPLY |   

流浪牙  

タイトルが間違ってたので
泉昌之×アレックス・ロスのコンビレーションとか……無理かな?

と、訂正させて戴きます。

2012/10/14 (Sun) 08:21 | EDIT | REPLY |   

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