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21 2012

ニール・ゲイマン&アンディ・キューバート他/バットマン:ザ・ラスト・エピソード

バットマンラストエピソード

“あの向こうに行かねば…”
“行かないと…”
“これでいいんだ”
“ああ…ようやくわかってきたぞ”
“不思議な気分だ。自分がバットマンだと自覚するのは”
“でも、自分がどのバットマンなのかはもう憶えていない…”
“彼らのどの話が自分のことなのかも、今となっては思い出せない…”
“でも、それで構わない…”

ゴッサムシティのとある街角、寂れたバーの奧で、一人の男の葬儀が行われていた。続々と集まってくる参列者は、ジョーカー、キャットウーマン、ロビン、アルフレッド…そう、柩に横たわる男は、闇の騎士バットマンだ。
参列者は口ぐちにバットマンの最期を語り始めるが…?はたして、ゴッサムシティの守護神バットマンに何が起こったのか?

表題作(前・後編)の他、ニール・ゲイマンが手掛けたバットマン作品4編を同時収録。
「Pavane」「Original Sins」「When is a door」は表題作と同じく初邦訳、「A Black and White World」は、既に絶版となり入手不可能な『バットマン:ブラック&ホワイト』(小学館集英社プロダクション刊)に掲載されていた傑作短編で、貴重な再収録となる。


◆関連作品過去記事
【バットマン・アンド・サン】
【バットマン:ラーズ・アル・グールの復活】
【バットマン:ブラックグローブ】
【バットマン:R.I.P.】

◆収録作品

1989年01月:Secret Origins #36
1989年06月:Secret Origins Special #1
1996年   :Black and white world
2009年04月:Batman #686
2009年04月:Detective Comics #853


◆何がケープド・クルセイダーに起こったか?
安らかに眠れ
R.I.P.

ついこないだまで、小プロの邦訳アメコミは『月刊バットマン』と揶揄されるペースでモリソンバットマン作品が毎月刊行されてきました。
『バットマン・アンド・サン』から始まり、『バットマン:ラーズ・アル・グールの復活』『バットマン:ブラックグローブ』、そして『バットマン:R.I.P.』
バットマンサーガ第一部がすべて邦訳されたというのは非常に喜ばしい事ですね。
そして本書に収録されている『何がケープド・クルセイダーに起こったか?』を読むことで、バットマンサーガ第一部のストーリーは一区切りとなります。
何気にタイトルが『スーパーマン:ザ・ラスト・エピソード』のパロディっぽいのがミソ。

この邦訳版が発売されたのは2010年の5月20日であり、かなり先んじて出版されていた一冊。
モリソンバットマンを全て読んだのであれば、次は是非本書を読むべきかと。
実際の所ストーリー的な繋がりは極めて薄く単独で楽しめる内容なのですが、R.I.P.のエピソードのすぐ後に書かれた作品ですからね。

バットマンの葬儀に悪人・善人問わず様々な人物が参列するという非常にファンタジーな光景が拝める一篇。
『バットマンが何故死んだのか』、その理由を葬儀の参列者が口々に語り始めるのですが、その内容は千差万別。
かたや「負傷したバットマンを自分が見殺しにした」、かたや「バットマンは頭がおかしくなった男に銃殺された」「バットマンは街を守るために爆弾を抱えてゴッサム湾に飛び込んだ」などなど、どれが真実なのかさっぱり分からない参列者の独白が延々と描かれていきます。

明らかにパラレルな世界観なので夢オチ的なものが容易に想像できてしまう内容ですが、作中に仕込まれた小ネタ(『キャット』時代のキャットウーマンやダークナイト・リターンズ風の姿になっているバットマン、ジェリー・ロビンソン風のデザインのジョーカー等)が多く、終始幻想的な雰囲気漂うこのエピソードはバットマンの最終話にふさわしい作品になっていると思いました。
まあタイトルに反して普通に連載は続いているんですけど。

◆黒と白の世界
役者
仲良いなぁ

軽めなノリのギャグ短編。
バットマンやジョーカーなどの登場キャラクターを役者に見立るという『メタ』な内容になっています。
ゴードンのシーンが押してるやら、二人が脚本に文句をつける姿やら、役者として全然売れていないというMr.フリーズの話やら、舞台裏感が強く出ている面白い一篇です。
そして何故か監督がロボ

◆パヴァーヌ
ポイズンアイビー

ポイズン・アイビー受刑者と対話した、とある刑務捜査官の話。
何度も顔を突き合わせているうちに、アイビーの事が頭から一時たりとも離れなくなってしまう…


この短編のアイビーはなかなかにコワい女として描かれています。
(特にラストシーン)
マーク・バッキンガムのアートも相まって、ちょっとしたサイコホラーさを感じる一篇。

◆原罪&いつドアは… ―リドラー誕生秘話―
リドラー
この短編のリドラーは非常に不気味

『ヴィランは社会の無理解が生んだ哀れな犠牲者である』という事を世間に訴えるため、
ゴッサムに乗り込んだとあるTV番組のスタッフ4名。
彼らはバットマンの警告を無視し、リドラーへの取材を決行するのだが…


『原罪』『いつドアは… ―リドラー誕生秘話―』はそのままストーリーがつながっている短編です。
リドラーの登場パートだけ画像のようなエキセントリックなアートになっているのが印象的。
彼は彼でジョーカーとは違うタイプの怖さがあるキャラクターになっています。

◆感想
『バットマン:ザ・ラスト・エピソード』は全体的に渋い内容のエピソードが多いです。
対象年齢層が高めな短編ドラマを見ているようなそんな気分になる作品だらけ。
ニール・ゲイマンの作風はこれまた独特ですね。

とにかく、「バットマンサーガは『バットマン・アンド・サン』→『バットマン:ラーズ・アル・グールの復活』→『バットマン:ブラックグローブ』→『バットマン:R.I.P.』→『バットマン:ザ・ラスト・エピソード 』の順に読もうぜ!」という事を言いたいがために本記事を作成しちゃいました。
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