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16 2012

ブライアン・アザレロ&エドゥアルド・リッソ他/フラッシュポイント:バットマン

フラッシュポイント:バットマン

FLASHPOINT CONTINUES!
変わり果てた世界で演じられた三つの物語……。


DCユニバースの姿を一変させた『フラッシュポイント』の戦い。
かつての世界を取り戻そうと奮闘するフラッシュの物語の裏には、知られざるいくつものドラマがあった。

驚愕の展開で、バットマンの伝説に新たな1ページを加えた
『バットマン:ナイト・オブ・ベンジャンス』。
クリプトンの遺児を巡る政府の思惑に翻弄される人々の悲劇を描く
『プロジェクト・スーパーマン』。
全世界をも破滅に導くアクアマンとワンダーウーマンの激突に焦点を当てた
『エンペラー・アクアマン』。

人気作『フラッシュポイント』をさらに深く楽しめる珠玉のクロスオーバー3作を
日本版特別編集でお届けする。
『フラッシュポイント』はまだ終わらない!


◆収録作品

2011年06月:FLASHPOINT: Batman - Knight Of Vengeance #1
2011年06月:FLASHPOINT: Project Superman #1
2011年06月:FLASHPOINT: Emperor Aquaman #1
2011年07月:FLASHPOINT: Batman - Knight Of Vengeance #2
2011年07月:FLASHPOINT: Project Superman #2
2011年07月:FLASHPOINT: Emperor Aquaman #2
2011年08月:FLASHPOINT: Batman - Knight Of Vengeance #3
2011年08月:FLASHPOINT: Project Superman #3
2011年08月:FLASHPOINT: Emperor Aquaman #3


◆HOW HIGH THE BAT
『ハウス・オブ・M』や、『シビル・ウォー』と、これまでクロスオーバー物の作品もちょこちょこ邦訳してきたヴィレッジブックス。
ただし、邦訳してくれるのはあくまで本編のみであり、タイインは基本的にスルーされてきました。
(厳密には『シビル・ウォー』は最近になってタイインの邦訳予定がはっきり立てられましたが)
正直本編だけ読み進めても、主役級のヒーロー以外はどうしてもキャラクターの掘り下げが足りなく感じてしまうのです。

しかし!今年の5月に発売された『フラッシュポイント』のクロスオーバータイトルが何と今回日本版特別収録で3作品邦訳されることに!
本編ではあまりはっきりと描かれなかったキャラクターたちのストーリーを、(一部とはいえ)ようやくこれで楽しむことが出来ます。

というわけで今回収録された3タイトルを紹介。

◆バットマン:ナイト・オブ・ベンジャンス
パパバッツ

“ひどい世の中だねぇ、全くもってさ…
 こんな時は気晴らしに遊ばなきゃ。さぁて何にしよう…”


『フラッシュポイント』本編でのバットマンは、準主役とも言うべき重要なポジションにある。ほとんどのヒーローが大きく姿を変える中で、見た目こそ、オリジナルのバットマンに似通っているが、その正体は、ブルース・ウェインではなく、彼を強盗からかばって殺された父トーマスであるという設定は、大きな驚きをもって迎えられた。
フラッシュの“相棒”として全話に登場し、ブルースが“生きている”世界を取り戻すために尽力するが、バットマン自身については多くは語られていない。悪人を“始末”することも辞さない冷酷なビジランテである事や、ジョーカーが宿敵である事など程度である。
そのバットマンを主役とした『バットマン:ナイト・オブ・ベンジャンス』では、『フラッシュポイント』本編とのリンクは少ないものの、トーマス版バットマンの世界をじっくりと味わうことができる。本編でちらりと触れられたジョーカーによる幼児誘拐事件を軸に展開される驚愕の物語は、バットマンというベテランキャラクターの新たな境地を開いたとして、クロスオーバータイトルとしては異例のアイズナー賞ノミネートを受けるなど、高い評価を集めている。


パパバッツが主役の短編。『フラッシュポイント』で改変されたバットマンの世界観をより膨らませて展開されるストーリーは素晴らしいの一言に尽きます。
そしてその悲惨すぎる内容に思わず顔が曇ってしまいそう

ジョーカー
フラッシュポイント世界でのジョーカーはなんと女性!

しかし色々登場人物の設定が本来とは大きく異なっているのにも関わらず、『バットマンらしさ』を損なっていないのは驚き。
うまく言えないんですけどね。
この作品を読んだ後に本編でのパパバッツを読み返すと色々と思うところが出てきました。
本編のラストシーンはさらに感動する。

ちなみに、本編では生存しているはずなのに全くと言って良いほど触れられなかったブルースの母、マーサ・ウェインもこの短編でようやく登場してくれます。

余談ですが、この邦訳『フラッシュポイント:バットマン』は、ネット上でやたら『表紙がネタバレすぎる!』と話題になってたりしました。
それまで気付いていなかった人も、
「表紙がネタバレ?それにあらすじにある驚愕の展開って…あっ(察し)
…といった感じに何となくストーリーを予測してしまうといった事態に。

「表紙がネタバレ」と騒ぎすぎたのが悪いのか、やっぱりヴィレッジの表紙のチョイスが不味かったのかは分かりません。
まあ察してしまったとしてもそれだけでこの作品の脚本の面白さ全てが損なわれるわけではないと思います。
この『バットマン:ナイト・オブ・ベンジャンス』はそれだけ抜きん出て素晴らしかった。

ちなみに僕は邦訳版が発売される前からとっくに某所でネタバレを踏んでいたので何の被害もありませんでした。

補足解説

乳首?
パパバッツが傷を負った少女を救うために用いたよく分からない医療器具。
傷に粉薬をかけた後にこの妙なモノを少女の胸に取り付けたっぽいんですが、ぶっちゃけ何の効果があるのかよく分からないんですよね。
折込冊子の解説にも載っていないので名称も謎。
読み進めている中で解説が欲しいシーンが出てきてしまいちょっともやもやしていたところ、ヴィレッジブックスの『アメコミ番長石川裕人コラム』というページで補足説明が行われていました。
チェスト・シールという軍人が使う医療器具なんですって。
さらっと出てきたけど全然知らないよこんなん。

◆プロジェクト・スーパーマン
サブジェクト1

“僕の名はカル…
 今日こそ、僕は超人スーパーマンになる”


スーパーヒーローの代名詞であるスーパーマンが存在しないというのが『フラッシュポイント』というシリーズの特徴でもあるのだが、本来ならばスーパーマンになっていたはずの、惑星クリプトンの遺児は登場する。かつてロケットに乗ってメトロポリスに不時着した彼は、その衝撃で35000人もの犠牲者を出したあげく、政府に囚われ、メトロポリスの地下深くの極秘施設に収容されていたのだ。
プロジェクト・スーパーマンと呼ばれる極秘計画の被験者として、サブジェクト1のコードネームで呼ばれる異星人は、その“地上最強のパワー”を見込んだフラッシュらによって施設から解放されるが、外の世界に出た途端、空の彼方に飛び去ってしまう。本編では、彼が消えた理由とその後の行動は示されなかったが、ロンドンでの最終決戦のさなか、敵味方の区別なく暴れ狂う魔女エンチャントレスを、文字通り踏み潰し、なおも戦い続けるアクアマンとワンダーウーマンを阻止しようとした。この『プロジェクト・スーパーマン』では、本編ではほとんど語られる事のなかった極秘計画の全容と、サブジェクト1の行動の詳細が描かれている。新進気鋭のライター、スコット・シュナイダーの紡ぐ奇抜なストーリーにも注目されたい。


ストーリー序盤は軍の極秘計画の被験者に選ばれたシンクレア中尉を中心にストーリーが展開。
シンクレア中尉は超人的な力を手に入れ、サブジェクト0というコードネームを与えられることに。
しかし、人間以上の力を手にしてしまった彼は周囲から距離を置かれることに。
それでも信頼を得るためにさまざまな任務をこなしていくものの、あまりに危険なその力がついに軍に危険視され、拘束されてしまうシンクレア。
その後、ロケットに乗って不時着した異星人が現れることになるのです。

本編では中盤でどこかへ飛び去り、終盤でいきなり最終決戦に参加するだけでいまいち何を考えていたのか読み取れなかったサブジェクト1。
フラッシュ達に助け出される前と、最終決戦直前までどこで何をしていたのかが描かれるこの短編。
なかなか悪趣味で陰惨なストーリーが展開されます。

サブジェクト0
何か登場するたびに巨大化しているサブジェクト0ことシンクレア

各所に現れる怪物たちを倒すために、『超人(スーパーマン)を作り出そう』という軍の極秘計画に志願したために人生が狂ったサブジェクト0と、軍に秘密裡に回収され、何年も拘束されたまま戦闘訓練を行わされ続けている異星人、サブジェクト1。
ふたりの超人(スーパーマン)の闘いが描かれるこの作品、本編のサブジェクト1の行動の理由がしっかりと補完されている見逃せない一篇となっています。

シリアスな笑い

子連れ狼


漢字タトゥーは日本人の眼にはシュールに映るので勘弁してください。

【日本大好き外国人おもしろ漢字タトゥー刺青図鑑】

◆エンペラー・アクアマン
エンペラー・アクアマン

“何故、神は自分たちを見捨てたもうたのか、
 人々は疑問を胸に死に絶える事となった。
 天への叫びはことごとくかき消された。
 最初は、大地が揺れ動く轟音によって…
 そして、インクの染みが広がるように、
 街を呑み込む大津波の迸りによって…”


『フラッシュポイント』本編で、繰り返し語られるアクアマンとワンダーウーマンの対立。その衝突の余波で、西ヨーロッパは水没し、イギリスはワンダーウーマン率いるアマゾン族に支配されているというが、本編で語られる情報は断片的で、ここでようやくその全貌が明らかになる。
アクアマンは、オリジナルシリーズでも海底王国アトランティスの王という位置づけだったが、スーパーヒーローとして認識されているように、地上の世界とも良好な関係を保っており、『フラッシュポイント』で垣間見せた冷酷さは、そのキャラクターイメージを大きく裏切るものだった。
この『エンペラー・アクアマン』では、彼が如何にして非常な暴君となり、欧州を破滅に追いやったかが詳しく描かれており、本編を補佐するという意味では、クロスオーバーらしいクロスオーバーと言えるだろう。


アクアマン主役作品の初邦訳!!と言ってもいいのかなコレは。
各国を水に沈め、支配者となった暴君・アクアマンの姿が描かれる短編です。
アニメ『バットマン: ブレイブ & ボールド』で登場した時の、暑苦しく面白いおっさんだった頃の面影なんて皆無です。

ムッカーッ!
ダイアナ許すまじ!

アクアマンがフラッシュポイント世界で大量虐殺者となった動機付けがしっかりと描かれる、これまた本編のストーリーを補完する意味では絶対に見逃せない一作。
さらに彼のオリジンがやたら丁寧に描かれるのも要チェックな点。
読み進めるとまず間違いなくアクアマンの父親、トム・カリーの不憫さに涙してしまうことでしょう。
…なんかこの人可哀相すぎる。

◆感想
今回未邦訳となってしまったタイインは以下の通り。

・シークレット・セブン#1-3
・アビン・サー:グリーンランタン#1-3
・ワールド・オブ・フラッシュポイント#1-3
・デスストローク&カース・オブ・ラベジャー#1-3
・フランケンシュタイン&クリーチャーズ・オブ・アンノウン#1-3
・シチズン・コールド#1-3
・ワンダーウーマン&フューリーズ#1-3
・デッドマン&フライング・グレイソンズ#1-3
・リージョン・オブ・ドゥーム#1-3
・ロイス・レーン&レジスタンス#1-3
・アウトサイダー#1-3
・キッド・フラッシュ・ロスト#1-3
・ハル・ジョーダン#1-3
・グロッド・オブ・ウォー#1
・リバース・フラッシュ#1
・グリーンアロー・インダストリーズ#1
・カンタベリー・クリケット#1
・ブースター・ゴールド#44-47


これらは邦訳版では巻末でのあらすじ紹介のみに留まっています。
どういう内容なのかを軽く把握できる丁寧な紹介文ではあるのですが、残念ながらさすがにオチまでは纏めてくれていません。
個人的にはキャプテン・コールドがヒーローとなっている『シチズン・コールド』と、驚くほど残虐なヴィランとなっているというプラスティックマンが登場する『リージョン・オブ・ドゥーム』が気になります。

それでもフラッシュポイントという名クロスオーバー作品をより深く楽しむことができるタイインが邦訳されたのは喜ばしい限り。

いつかタイインの邦訳が当たり前になって、かつて小プロが発行した『X-MEN:エイジ・オブ・アポカリプス』のような形でクロスオーバー作品が刊行されるようになって欲しいなぁ(願望)

あ、最後に一言だけ。
相変わらず今回の発売予定チラシにも『クライシス・オン・インフィニット・アース以下、「クライシス」シリーズ続刊』鋭意制作中となっていたのですが、ここまで時間がかかっているという事はタイインも全部邦訳してくれていると思っていて良いんでしょうか?
最初に邦訳予告を見たのって去年の2月ぐらいなんで、僕のなかでどんどん期待値が上がっているんですが。

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