ツルゴアXXX

ARTICLE PAGE

06 2012

エド・ブルベイカー&ダグ・マーンキ他/バットマン:笑う男

笑う男表紙

「真の動機を隠すために大量虐殺をするとは考えにくいが、
 犯人は合理的な思考の持ち主ではない
 狂人の計画を理解することはできるのか?
 私が想定していたのは殺人犯、強盗、強姦魔といった“普通”の凶悪犯だ
 ジョーカーのような男は想像もしなかった」


自警団員としての活動を開始した当初から、バットマンはまざまざと人間の暗黒面を見せつけられてきた。だがしかし、いままで見てきた犯罪とは比較にならない、前代未聞の悪が彼の前に現れた。闇のなかの嘲笑……不敵な笑みを浮かべた白い顔……あらゆる常識が通用しない圧倒的な狂気……。そう、それがジョーカーだったのだ!

謎の男ジョーカーとの初遭遇は、ゴッサムシティの守護者であるバットマンにとっては究極の試練となるものだった。しかし、彼らの対決は、狂気と混沌の力に対する長く苦しい戦いの幕開けに過ぎず、数年後、狂気と混沌は別の形でも現れることになった。善悪双方の過去のあやまちが現代に蘇り、歴史の闇に埋もれていた事件の真相がいまここで明らかにされる。

アイズナー賞/ハーベイ賞の受賞作家である実力派エド・ブルベイカーがライターを務めた衝撃的な事件「笑う男」「ウッドキラー」の二篇を収録。


◆収録作品

2003年09月:Detective Comics #784
2003年10月:Detective Comics #785
2003年11月:Detective Comics #786
2005年02月:Batman: The Man Who Laughs


◆笑う男
まだまだ出版され続ける邦訳バットマン!
邦訳アメコミのバットマン率は半端ないですね。
他のヒーローは映画化など話題に乗っかれるタイミングでしかなかなか邦訳されませんが、バットマンの邦訳だけは安定して出版され続けるんじゃないかと思ってしまうほどです。

今回紹介するのはジョーカーがメインの短編『笑う男』と同時収録されている『ウッドキラー』
両方ともライターは『キャプテンアメリカ:ウィンター・ソルジャー』の脚本を担当したエド・ブルベイカー。

まずは『笑う男』から。こちらはバットマンがジョーカーと初遭遇するエピソードを大幅にリメイクしたという作品。
こういう『初対決!』なエピソードは何回も作られている気がするのですが、それでもジョーカー絡みのストーリーは読んでいて面白いです。

廃工場でゴードン警部とその部下たちが、『身体が白く変色し、笑顔を浮かべながら死んでいる大量の死体』を発見するというかなりグロいシーンからスタートする本作。

グロすぎィ!
グロすぎィ!

愉快犯的に殺人を行い続けるジョーカーを追い詰めるため、バットマンは必死に捜査を続けるのですが…
これまで殺人犯や強盗、強姦魔といった“普通”の凶悪犯との戦い方しか想定していなかったため、無軌道に犯罪を重ね続けるジョーカーの行動が全く読めず、毎回後手に回ってしまいます。
(なんかこの辺の話は『ラバーズ&マッドメン』でも見たような)

メシウマ
「メシウマ」という単語を邦訳で見るとは思わなんだ

毎回TVを乗っ取って犯行予告を行い、防衛策を掻い潜り相手を手玉に取るジョーカー。
果たしてバットマンとゴードン警部はジョーカーを捕えることが出来るのか。
そしてジョーカーの最終目的は一体何なのか?

オモシロイことをしようぜ!
精神病犯罪者を一斉に脱獄させたジョーカー

ジョーカーの悪のカリスマっぷりを存分に堪能できる短編でした。あと、ダグ・マーンキのアートの迫力が凄い。
この人の書くジョーカーの絵はかなり好きかも。

◆ウッドキラー
胸に「MADE OF WOOD」と刻まれた変死体が初代グリーンランタン、アラン・スコットを象った彫像の近くで発見された。
それは1940年代にゴッサムを騒がせた未解決の連続殺人、「ウッドキラー事件」と酷似していた。
「木」はアラン・スコットの唯一の弱点…
この過去の事件と何か関係があると踏んだバットマンは調査を開始する。
そこに初代グリーンランタンが現れ…

アラン・スコット
ゴッサムでは珍しい2ショット

こちらは初代グリーンランタン、アラン・スコットとの共闘話。
「1940年代は初代グリーンランタンがゴッサムを守っていた」という設定はこの作品で初めて知りました。
本作は『ディテクティブコミックス』#784-786をまとめた作品であり、バットマンのエピソードではあるのですが、実際読んでみるとアラン・スコットの人物描写に割かれているページがわりと多く、初代グリーンランタンの邦訳としても楽しめる感じの内容でした。
アラン・スコットがメインで活躍する邦訳ってそこそこ貴重じゃないでしょうか。

ちょこちょこ1940年代を回想するシーンが挿入されるこの一篇。
『レガシーズ』でも見た感じのセリフですが、ゴードンの「シンプルな犯罪の時代。人々は命を尊重していた」という独白は印象的でした。
ちょっとメタな感じがして。

あと、ブルースがアランに対して言った、
「この種の猟奇犯罪は……君には似合わない」
「だから、私に任せてくれ。いいね?」

というセリフもグッときました。

ラストシーンでは凄く綺麗な締め方をする作品です。
『笑う男』も良かったけどこの『ウッドキラー』もなかなか。

◆感想
二作とも手堅くまとめられたストーリーのバットマンでした。
どシリアスなジョーカーとの戦いを描く『笑う男』、探偵モノらしく展開していく『ウッドキラー』とどちらも魅力たっぷりな作品。
このところは『ベイン主役』『キャットウーマン主役』『キャラ崩壊しているバットマン』と若干変化球な邦訳を読み続けていたので、久々に普通のバットマン分を補給できたという面でも満足しました。

◆おまけ「メシウマだわ」の原文
2013y08m22d_152227642.jpg

関連記事

0 Comments

Leave a comment