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11 2012

フランク・ミラー&ジム・リー/オールスター:バットマン&ロビン ザ・ボーイ・ワンダー

オールスターバットマン表紙

「ようこそ…
 蝙蝠と鼠と汚物に塗れた私の世界へ、ディック・グレイソン…
 哀れな少年 哀れな糞ガキ ようこそ地獄へ
 あるいは地獄に最も近い場所へ」


THE DARKER KNIGHT
より暗き騎士

闇に生きるダークナイト、バットマン。輝きに満ちたボーイワンダー、ロビン。
ゴッサムシティの守護者にして、正反対のイメージを持つ両者。
だが、その誕生の裏には、同じく悲劇の過去があった。

犯罪に両親を奪われ、共に孤児となった二人は、如何にしてダイナミック・デュオへの道を歩き始めたのか。
フランク・ミラーとジム・リー、現代のコミックスシーンをリードする二人の大物クリエイターが新たな伝説を紡いでゆく。

バットマンの"誕生"を描く『イヤーワン』と、バットマンの"終焉"を描く『ダークナイト・リターンズ』『ダークナイト・ストライクス・アゲイン』をつなぐ、衝撃のミッシング・リンク。
現在のバットマンブームの礎を築いたフランク・ミラーと、今なおコミックスアートの最先端を走り続けるジム・リーが初めてタッグを組んだ話題作、ついに邦訳!


◆関連作品過去記事
【バットマン イヤーワン/イヤーツー】
【バットマン:ダークナイト】

◆収録作品

2005年09月:All Star Batman & Robin, The Boy Wonder #1
2005年11月:All Star Batman & Robin, The Boy Wonder #2
2005年12月:All Star Batman & Robin, The Boy Wonder #3
2006年03月:All Star Batman & Robin, The Boy Wonder #4
2007年07月:All Star Batman & Robin, The Boy Wonder #5
2007年09月:All Star Batman & Robin, The Boy Wonder #6
2007年11月:All Star Batman & Robin, The Boy Wonder #7
2008年01月:All Star Batman & Robin, The Boy Wonder #8
2008年04月:All Star Batman & Robin, The Boy Wonder #9
2008年08月:All Star Batman & Robin, The Boy Wonder #10


◆A DARKER WORLD

悪人顔『いつものバットマンじゃない!』
本作を読み終えて抱いた感想がまさにこんな感じでした。
この作品のバットマンは、『HAHAHAHAHA!』と高笑いしながら、殺人まではいかないものの、悪人を容赦無く殴る!蹴る!砕く!燃やす!
完全に狂人の域に達しているキャラクター像になっています。
まさにDKRのバットマン。

しかも、ブチ切れ気味なキャラクターになっているのはバットマンだけじゃないんですこれが。
スーパーマンは世界の平和を望みすぎて規律に異様に厳しい性格になっていますし、ワンダーウーマンは男性蔑視が強すぎるキャラクターに変貌(道行く男に『おどき、精子袋』と言い放ったり)、グリーン・ランタンであるハル・ジョーダンはアホの子に、プラスティックマンはジョーカーとはタイプの異なるおちゃらけたキチ○イっぷりを発揮しています。

この作品は同じくフランク・ミラーがライターを担当したDKRに繋がる世界観(ついでに『イヤーワン』の出来事はこの世界でも起こっていたと設定)となっており、『DKRでは語られなかったバットマンとロビンの結成秘話』が描かれております。
で、その結成秘話なんですが、なんとこの作品ではバットマンがディックを一方的に誘拐してサイドキックに任命するという展開に。
しかも食事も与えずバットケイブにそのまま放置。
それを見かねたアルフレッドがディックにパジャマと毛布、そして食事を与えるのですが、それに対して猛烈にキレるバットマン。
『ストライクス・アゲイン』でディックがあんな事になるのも頷けるコミュニケーションの取り方だと思いました。

そして、バットマンが児童を誘拐したことは瞬く間にニュースになり、他のヒーローにまで風評被害が広がる事態に。
こうなるとジャスティスリーグの破滅を願っている相手にとって格好の口実となってしまう。
そのため、スーパーマンらは狂人バットマンを拘束しようと動き出すのでした。

クラークさん顔こわっ!
クラークさん顔こわっ!

ヴィランとの対決よりもジャスティスリーグの面々との衝突がストーリーのメインになっている感じです。
フランク・ミラーの作品は『イヤーワン』『DKR』『デアデビル:ボーン・アゲイン』の3つの邦訳を読み、『ハードボイルドな秀作を描く人』というイメージを持っていたのですが、この『オールスター:バットマン&ロビン』とにかく暴力的な演出が目立つ作風になっていてちょっと衝撃。
キッツいセリフはベタ塗りで修正(そういう演出)、数ページ読み進む毎にすぐ血が飛び散る絵が出てきますし、なんかもう色々過激。
スーパーヒーロー達が皆常に苛立っているイメージがあります。

おちょくられるハル
確かに12歳の少年にこんな衣装を着させるバットマンはイカれてると思う

というわけで、これまでの邦訳で読めたようなハードボイルドな作品を期待すると確実に肩透かしを喰らいますが、代わりに新たなキャラクター像に塗り替えられた新しい『バットマン』を楽しむことが出来る、そんな作品になっていました。

…ですが、『オールスター:バットマン&ロビン』まだ未完結の作品。
この日本版ではTPBより1話多く、10話まで収録されているのですが、それでもキリの良い終わり方はしていません。
しかも原書コミックもこの10話以降出版がストップしているという状況。
未完であることを承知の上で購入したほうが良いかもしれません。

一区切り付いているとは言いがたい終わり方なんで読み終えてもスッキリはしませんけど、
9話のバットマン&ロビンにおちょくられまくるハルとかとにかくキチ○イ染みてるバットマンの姿(傍目には)面白いですよ、うん。

◆台詞のスミベタ
この『オールスターバットマン&ロビン』では、一部の台詞がスミベタで修正されています。
事前情報ではこのスミベタは原書を再現したものであると告知されていました。
しかし、下記のブログによると原書TPBではスミベタは無くなっているとの事。

【バットマン~その黒ヌリのむこうがわ】(※『スパえもんによろしく!』様)

しかし、本来の作品には確かにスミベタは存在したはずなんですよ。
【WASH YOUR MOUTH OUT WITH BATSOAP】
(オールスターバットマンのスミベタの修正が薄く、回収騒ぎになったという記事)

原書は『リーフで刊行していた時はスミベタで修正し、TPB化の際に無修正にした』という事なんでしょうか?

何が何だかよく分からないなぁ。
なんにせよ邦訳版がスミベタで修正されているのは残念ですけどね。
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