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10 2012

ダニエル・クロウズ/鉄で造ったベルベットの手袋のように 日本語版

鉄で造ったベルベットの手袋のように

♪お前にゃ、手もなきゃ足もない、目もない、骨もない、
 ヒヨコもいない卵だよ…♪


◆Like a Velvet Glove Cast in Iron

ひたすら無表情で受け身な主人公であるクレイ・ラウダーミルクが、米国のどこかに存在するであろう不毛かつ不吉な町を、かつて彼の元を去った恋人を探して彷徨う。
そこで出会うのは、三つ目の売春婦、サディスティックな警官、突然変異で体が半分魚になってしまったウェイトレス、植毛途中の男、目鼻口の無い犬等、実に奇抜なキャラクターばかり。
謎を解明しようと、翻弄されつつひたすら彷徨う彼だが、やがて自分自身が何者かの陰謀にはまって行くことになる…


◆「人生の謎はすべて水面下にあるんだ、坊や…」
ダニエル・クロウズ作品に嵌り始めている今日この頃。
カリカチュアゴーストワールドの邦訳本を読んできたのですが、この『鉄で造ったベルベットの手袋のように』という作品はこの2作品とは毛色の異なる作風となっていました。

奇人・変人が当たり前のように登場し、さらに主人公のクレイが不条理な展開に巻き込まれまくる凄く気持ちの悪い作品なんですよ。
貶してるわけではなく、それがこの作品の魅力なんですけども。

主人公が久々に立ち寄った映画館で、本作のタイトルにもなっている『鉄で造ったベルベットの手袋のように』という作品に出会ってから、不条理ストーリーが始まります。

映画
『登場人物が皆本物の変態』というカルトチックな映画

そして、その映画に出演しているヒロインがかつての恋人にそっくりだった(ひょっとすると同一人物?)ことからクレイはこの映画に興味を持ち始めるのでした。

この謎の映画について調べるため制作会社を訪れようと町をさまよい続けるクレイ。
その道中で出会う人々が奇人・変人ばかり。

車を借りるために電話をかけた友人は、眼窩の感染症を治療するために目玉をくりぬいて代わりにアジアエビを突っ込んでいたり
暴力的な二人の警官に絡まれたり。
他人同士で集団生活をしている宗教じみたグループに救われたり。
奇形の女性とその母親の住む家で一泊したり。

クレイは様々な出来事に巻き込まれつつも旅を続けていきます。

作中で頻繁に提示される謎めいたシンボル『ミスター・ジョーンズ』ストーリーに電波っぽさを持たせてくれるファクターの一つ。

ジョーンズ
警官に絡まれたときにクレイの足に描かれた謎のシンボル

この謎のシンボル、1899年から存在しており、ヒトラーの首に描かれていたり、ポストカードや密造ウィスキーなどのラベルに使われるようになっていたのだとか。

これは『昔からいる』特定の人間のシンボルであり、『彼ら』はこのシンボルを目印にしているという。
『ミスター・ジョーンズ』に接触するには、精神を一定の周波数に合わせる必要があり、見事成功すればジョーンズからマークを与えられ、『大いなる秘密』の数々を教えてもらうことができるというのです。
…何を書いてるのかよくわからなくなってきた。

どこにでもありそうなアメリカの町が舞台なのに、こんな感じで電波話がさらっと出てくるから気持ちが悪いです。

夢

最初から最後まで孤独と不安に包まれているような感覚に見舞われる不気味な作品。
『カリカチュア』『ゴーストワールド』イタイ登場人物を見て楽しむような作品でしたが、この『鉄で造ったベルベットの手袋のように』に出てくる登場人物は現実にも居そうな不気味な登場人物(この漫画のような極端な人はそうそう居ないでしょうが)生理的嫌悪感を覚えつつストーリーを楽しむ、そういう内容でした。

シュルレアリスムを追求した奇作とでも言いましょうか。
人に薦める文章を書くのが難しい一冊だなぁ。面白いんですけどね。
個人的にこれまで読んだダニエル・クロウズ作品で一番好きかも(これ含めて3冊しか読んでないけど)

とりあえず本作のヒロインであるティナちゃんを貼って〆る事にします。

ヒロイン

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