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06 2012

駕籠真太郎/登校途中の出会い頭の偶然キスはありうるか?実験

キス表紙

駕籠真太郎先生の短編作品集!
カバーデザインは『井上則人』氏によるもので、いつもの雰囲気(グロ注意)とは違っていてオサレ。
本書、<『登校途中の出会い頭の偶然キスはありうるか?実験』は漫画雑誌『アックス』など国内で発表された作品を中心に、アメリカ、フランス、ドイツなどへの海外向け作品も収録したボリューム満点の短編集となっていました。
収録されている作品は基本的にエログロ方面の要素は薄めで、どちらかといえば実験的要素と鬼畜・不謹慎ギャグが大部分を占めている感じになっています。

【収録作品】

「金のミサイル」「喫煙エリア」「排出量取引」「臓器売買」「燻製販売機」「ケチな男」「電気自動車」「メリエス遊び」「ジーンズ屋」「内気者の合コン」「密航者」「オセロ」「千手観音のアルバイト」「棺桶屋」「ペット産業」「人種ミキサー」「夏の線路」「戦車」「満員電車」「Change」…VICEより収録

「病院たらい回されレース」「アポロは月に行かなかった」「5秒ルール」「或る漫画家の最期」「記憶は予想以上に不安定である」「限界」「欄外の街」「恐怖の扉町」「ハンバーガー」「ツブシカヤ」「恐怖に支配された街・吸血寄生生物の謎」「反転世界」「全国コドモ相談室」「ささくれ少女まどか」「走馬灯」「全国おとな相談室」「ちょんまげ天国」「登校途中の出会い頭の偶然キスはありうるか?実験」…アックスより収録

「密室」…書き下ろし作品

「医療系都市伝説を実践せよ」…マイウェイムック「達磨女の悦服」より収録

「顔面崩壊」…フランスの雑誌GEHENNより収録

「チューブ」…展示会用の作品

「迷惑駐車」「虫歯」「存在感のない女」…うぶモードより収録

「Rubik's Cube」…ドイツの雑誌ORANGより収録

うぶモードのような成年向け雑誌からの収録もありますが、「ある程度のエロ要素があれば内容はなんでもよい」というお達しで書かれた作品であるためか、エロ主体ではなくシュールギャグな方向の作品になってました。
ノリとしては『アナモルフォシスの冥獣』に併録されていた作品みたいな。
あれもうぶモードに掲載されてた短編ですけど。

で、本書を読んだ感想ですが、どの作品も斬新なアイディアに溢れており、一部作品は新しい漫画の表現方法に挑戦するような内容になっていて読んでいて面白いです。
下記の「記憶は予想以上に不安定である」は、コマが進むごとに主人公の記憶に場面場面の記憶が上書きされていき、最終的にあるはずのない記憶が出来上がっていくという作品。
記憶
AVを見た後、母親に頼まれて棚をのこぎりでバラす雑事をこなし、
ゴミ出しに行った記憶などが少しずつ混ざり始める

下記は駕籠先生の過去作品『パラノイアストリート』のキャラが登場する作品の一つ「欄外の街」
パラノイアストリートのように妙なルールが強いられている街がネタになっています。
欄外町
全てがコマの外にある町のため、2つの場面を仕切るものが存在しない
そのために次の場面が地続きになってしまい、妙な展開になってしまう

んで、個人的に一番お気に入りの短編が「反転世界」
「通常世界」セリフが全て反転している「反転世界」の2通りのストーリーが楽しめる意欲的でシュールな一作になっています。
序盤だけセリフは回文なために同じようにストーリーが進んでいくのですが、途中から回文が使われなくなり完全に展開が異なってくるのが面白い。
反転世界
反転世界では話がだんだんカオスな方向に進んでいくようになる

反転世界では「よく麩浮く」のように時々やる気の無い反転セリフになるのが堪らないです。

この3作品以外にもマンガの原稿用紙の裏側から描いているマンガ家を見上げている構図で話が展開する「或る漫画家の最後」、扉絵のみでストーリーが進む「恐怖の扉町」などなど実験的な表現の作品が多数。

また、普通にブラックユーモアなギャグをやっている作品も色々収録されています。
例えば本書のタイトルにもなっている「登校途中の出会い頭の偶然キスはありうるか?実験」
ラブコメとかでよく見るあのシチュエーションを実験するという内容です。

これが実際やってみると被験者は相手とぶつかるたびにケガしまくるというかなり危険な実験となっているのでした。
偶然キス
キスしようとして口を出すため、顔がぶつかった時に歯が折れたり相手の頬が裂けたりでもうズタボロ

なんというかブラックなトリビアの種って感じですね。
収録作品はバラエティに富んでおり、グロ描写も過去の作品に比べれば控えめで軽い感じで読める短編集となっているので、駕籠真太郎先生の作品が気になっている人におススメしたい一冊です。
もしくはちょっと刺激の強いギャグマンガを求めている人とかに。
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