ツルゴアXXX

ARTICLE PAGE

20 2012

ダニエル・クロウズ/ゴーストワールド日本語版

ゴーストワールド

「見てよ!私達ってなんてステキなの
 …なのにどうして男どもは誰も声をかけてこないの?」


イーニドとレベッカ。
親友、思春期、違和感、変化の無い日常。
近づいてくる大人の世界、そして2人の異なった未来。
本当の世界、彼女たちの世界、遠いところ。
ゴーストワールド、2人の女の子の物語。

“永遠の名作”――タイム
「ライ麦畑でつかまえて」の現代版”――ヴィレッジ・ボイス


◆A Smile and a Ribbon
ファックだね

オルタナコミックの代表的な作品としてよく挙げられるダニエル・クロウズのゴーストワールド。
前に紹介した『鉄で造ったベルベットの手袋のように』という作品の次に書かれた作品です。
もっと詳しく言うと、ダニエル・クロウズによるコミックブックシリーズ『エイトボール』誌上で第11号~第18号に渡って書かれていました。
93年から97年まで時間をかけて本作を連載し、一冊に纏まった原書版が98年に出版。
そしてプレスポップから2001年に邦訳版が出版されました。

んでもって長らく邦訳版は絶版状態になっていて軽くプレミアがついていたのですが、2011年に第2刷が発行。
僕が購入したのはこの第2刷のほうです。
増刷に伴い、記事のトップに貼り付けている感じの表紙絵に変更。

第1刷表紙この初版本の表紙に比べると大分エキセントリックな感じになってます。

この第2刷には増刷記念として『ダニエル・クロウズへの近況インタビュー』がおまけに付いてきました。

現在関わっている映画の最新情報や(※2011年時点)辰巳ヨシヒロの漫画が大好きだというお話や、最近見た映画で面白かった作品は『ザ・ディセンダンツ』(邦題:ファミリー・ツリー)、だの、「アメリカは好きですか?」という質問に対して「大好きさ。この国ではいつもクレイジーなことが起こっているから作家にとってはネタが尽きないいい場所だと思ってる。ロバート・クラムを見てみて。彼はフランスに引っ越したとたん作品の題材が無くなったような感じだ」と答えたりと、作者がどんな作品に触れ、どんな生活をしているのかを軽く知ることができる内容になっています。
日本のファンに向けたメッセージが異様にあっさりしてるのが印象的なインタビューでした。

◆ゴーストワールド
イーニドとレベッカはちょっと前まで今時の女子高生だった二人。
同世代が嵌っているカルチャーに毒づく日々を過ごしています。

ストーリーが進んで高校を卒業してからもそれは変わらず世間に毒を吐く毎日。
サブカルチャーの吹き溜まりのような町に住みつつも、それに共感することなく、そして熱くなる事もできずに悪態をつき続けるのです。
男を見ては陰口を叩いたり、TVを見てはくだらないと吐き捨てたりするそんな日々。

パンク日和
気分でガラッとファッションを変えるイーニド(右)

傍から見ると痛々しい、ある種リアルな10代の姿。
ダニエル・クロウズはこういう人物の描写が本当に上手いと思います。

落書き
町の各所に書かれている謎の落書き『ghost world』

こんな感じで延々とイーニドとレベッカの友情のような、ただつるんでいるだけのような微妙な関係を提示しながら淡々とストーリーが展開。
それでも時は経ち、彼女達にも大人になる日がやってきます。

イーニドが大学進学を決めて世間に馴染もうとする姿を見て焦燥感を募らせるレベッカ。
二人の微妙な友人関係にも終わりが近づいていきます。

イーニドとレベッカ
一生このままつるみ続けるわけにもいかないんじゃないかという不安に襲われる二人

青春時代のほろ苦さや微妙な心の機微をリアルに描いたこの作品。
読者が男性か女性かによってイーニドとレベッカに対する感情移入の度合いは変わるかもしれませんが、読了後には何ともいえない感動に包まれました。

ちなみに本作は2001年に映画化されています。
前半はコミックを断片的に繋いで再現しているようですが、後半からは独自のストーリーにシフトしていくのだとか。
 
関連記事

0 Comments

Leave a comment