ツルゴアXXX

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13 2012

ロバート・カークマン&ショーン・フィリップス/マーベルゾンビーズ

マーベルゾンビーズ表紙
「野郎ども、メシの時間だぞ!」

THIS IS NO WORLD OF MARVEL HEROES.
THIS IS THE WORLD OF MARVEL ZOMBIES!


彼方より飛来した未知のウィルスにより、地球の平和を守ってきたヒーロー達は人肉を食らうモンスターと化した!
瞬く間に文明を崩壊させた彼らは、喰らうべき人間のいなくなった世界で凄まじいまでの飢えに悶え苦しむ。
その時、光を失った彼らの目が、空を滑る銀色の人影を捉えた。
宇宙魔神ギャラクタスの先触れたる、シルバーサーファーの姿を!

我らがマーベルヒーローがゾンビになったぁ!?
耐え難い乾きに衝き動かされ、僅かな肉を巡って骨肉と脳漿をまき散らすかつての英雄達。
この地獄絵図の先に待つ世界の運命とは……。
誰もが耳を疑った史上最凶の大ヒットシリーズ、まさかの日本襲来!


◆収録作品

2006年02月:Marvel Zombies #1
2006年03月:Marvel Zombies #2
2006年04月:Marvel Zombies #3
2006年05月:Marvel Zombies #4
2006年06月:Marvel Zombies #5


◆予告編?

ファン制作のトレーラー。この邦訳版では前日譚となる『マーベルゾンビーズ:デッド・デイズ』(後になって制作されたエピソード)は未邦訳なので、本書を読む前にこのトレーラーを観ておくのも良いかも。

◆本作のトンでもゾンビっぷり
発売前からけっこうな話題となっており、このような気合の入ったPOPまで作られていたゾンビーズの邦訳版。

ライターはこれまた話題の『ウォーキング・デッド』の作者、『ロバート・カークマン』
ウォーキング・デッド効果に乗っかってようやく発売された感も無くも無い気がします。
(邦訳予告自体はずいぶん前からありましたけど)

『ヒーローたちがゾンビになった!』というツカミもあって、もはや何かのギャグとしか思えないような作品、『マーベルゾンビーズ』
普段アメコミを買わない層もこの掴みで購入していたようにも思います(ツイッターで購入者を見ての主観)

人々を守ってくれるはずのヒーローがゾンビと化してしまっているという世界観。
本能のままに喰らいつくしてしまったために一般市民の姿は殆どなく、喰らうべき対象が居なくなってしまったヒーローたちは飢えに飢えています。

あまりに食料が貴重な存在となってしまったため、捕食対象が見つかったら全力で襲いかかり、
ヒーロー同士で奪い合うしかないという、ゾンビ側も非常に切羽詰まった状況なのです。

実際にコミックを読んでみると、絶望的な空気が漂っているというのにどこかギャグ漫画的に感じてしまう事が多いこの作品。
これがシリアスな笑いというヤツか…(基本的に狙って書いてるようですから違うかもですけど)

そんなことよかメシを逃すな!_convert_20120213165645
ゾンビなのにすげぇアグレッシブ

文字通り腐っても元はスーパーヒーロー。獲物を見つけたら素早い動きで襲ってきます。
能力が使えるヒーローも多いため、こんなゾンビに一斉に襲われたらひとたまりもありません。
そりゃ一般市民も見当たらなくなるでしょうね。
こんなにしっかり結託はしてるヒーローたちを見たの久々な気がする。

シルバーサーファーはメッセンジャーとして「この星はギャラクタスの食料となる!」と伝えに来たのですが、ヒーローたちは地球の危機より今日のメシという状態。
食事が来た事に喜びまくるのでした。
シルバーサーファーの引きっぷりにも注目したい名シーン。

そんなこんなでギャラクタス来襲。

地球の危機とかよりもいかにしてアイツを喰らうか…_convert_20120213165827
今の地球は喰ったら腹壊しそうなんですけど本気で喰う気なんですかギャラクタスさん

存在感も体格も強さも段違いすぎるギャラクタス。こいつが襲ってきたという事は本格的に地球の危機なんですが、それよりも食いでがある獲物が来た事に喜びまくるヒーローたち。

とはいえ、本来普通に戦っても勝てるかどうかわからない相手、ましてやゾンビ化したヒーローたちの力では真正面からぶつかっても到底太刀打ちできないのでした。
しかし、それでも巨大な食料を諦めきれないヒーローたちは…

基本的にはブラックすぎるギャグ漫画としても楽しめる本作。
公式でこういうはっちゃけた作品を作っちゃうってのは何ていうか…もう、すごいなと思いました。

しかし、「ありえねー(笑)」と笑っちゃうシーンばかりでもなく、人々を守るヒーローが存在しないという絶望を思い起こさせる重いシーンも存在します。
例えば親友であるブラックパンサーを喰らうジャイアントマンのシーン。

親友を喰らうビム_convert_20120213165704
周りに隠れてこっそり食事

ブラックパンサーは未感染なため人間のまま。
ジャイアントマンは自分のラボに彼を隠し、鎮静剤をうって少しずつ体を切り取り喰らっているのです。
親友である人間に生かさず殺さずの状態で保管され、ただ食料として体をもがれていくというブラックパンサーのキツすぎる1シーンです。
ヒーローだったジャイアントマンはもういない…

ブラックパンサーは生き残っている数少ない人間として行動を起こすのですがそれは本編で。

◆余談
フランクED_convert_20120203131308

『ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3』の参戦キャラクター、『フランク・ウエスト』のエンディングはなんとマーベルゾンビーズネタ。
別次元(Earth-2149)にヒーローのゾンビが発生している事に気付いたリードが、ゾンビたちがこの世界に狙いをつける前に先手を打とうとゾンビの専門家(?)であるフランクに協力を依頼。
次元間を移動できる機械で向こうの世界に行き、2人でゾンビたちに戦いを挑むというエンディング。

ここで重要なのは、『MARVEL VS. CAPCOMの世界もEarth-30847という世界に割り振られている』点。
MVCの世界もマーベルユニバースにしっかり存在しているのです。

マーベルゾンビーズは大量に続編が存在しますが、
ひょっとしたらUMVC3のこのエンディングはマーベルゾンビーズシリーズの最終回にあたるのかもしれませんね。

考え過ぎですね。

◆感想
食事後のみとはいえ思考ははっきりとしており、また身体能力も異様に高く、さらには食糧の奪い合いで内ゲバまで起こすというまったく新しいゾンビ物でもある『マーベルゾンビーズ』
本国では異例のヒットを記録し、それを受けて続編が制作されまくっているのも何となくわかる気はします。

今後もウォーキング・デッドの邦訳版に乗っかる形で翻訳出版してほしいですね。僕はしてほしいです。

とりあえず、本記事はロバート・カークマンの序文から一文だけ抜粋して〆ることにします。

「こんな本を作るつもりはなかった。本当に、冗談抜きでだ。」
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