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06 2012

エド・ブルベイカー&スティーブ・エプティング/キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー

ウインター兵士_convert_20111227041651

「やれやれ。あんたはほんとにおもしろいよ、スティーブ」
「時々思うんだけどさ。あんたのことを理解している人間は、
 ぼく以外、世界中に誰一人いないんじゃないの?」


バッキーを蘇らせた画期的な作品

キャプテン・アメリカの人生は悪夢に変わった。
真夜中の通報で呼び出されたキャプテン・アメリカが見たものは、最古にして最強の敵レッド・スカルの遺体だった。だが、レッド・スカルの死は、彼の任務の終焉を意味するわけではない。
なぜなら、レッド・スカルを襲ったアレクサンドル・ルーキン将軍が、現実をも改変するパワーを秘めた未完成のコズミックキューブを盗んでいたからだ。ルーキンは、冷静時代の伝説の暗殺者であり、秘密工作員であるウインター・ソルジャーを従え、恐怖と破壊による支配を企んでいた。
さらにキャプテン・アメリカは残酷な現実と直面する。
ウインター・ソルジャーの正体は、キャプテン・アメリカのかつての相棒、バッキー・バーンズだったのだ。第二次世界大戦末期に死んだと思われていたバッキーが生きていた。キャプテン・アメリカは、現実を受け入れられないまま、ルーキンとコズミックキューブを追跡する。
アイアンマンやファルコンの助けもあり、キャプテン・アメリカはついにウインター・ソルジャーと対峙するのだが…

アイズナー賞に5回もノミネートされた実力派ライターのエド・ブルベイカーが綴る本作は、“キャプテン・アメリカ”の数々の物語の中でも、コミック・ファンと評論家を驚愕させた秀作の一つである。


◆マヴストでのキャップのテーマ曲

キャップはカプコンのゲームで初めて知ったキャラなので未だにこのテーマ曲が頭から離れないです

◆収録作品

2005年01月:Captain America Vol.5 #1
2005年02月:Captain America Vol.5 #2
2005年03月:Captain America Vol.5 #3
2005年04月:Captain America Vol.5 #4
2005年05月:Captain America Vol.5 #5
2005年06月:Captain America Vol.5 #6
2005年07月:Captain America Vol.5 #7
2005年08月:Captain America Vol.5 #8
2005年09月:Captain America Vol.5 #9
2005年11月:Captain America Vol.5 #11
2005年12月:Captain America Vol.5 #12
2006年01月:Captain America Vol.5 #13
2006年04月:Captain America Vol.5 #14


◆苦悩する英雄
アメコミでは『死んだはずのキャラがやたら復活する』傾向があったりします。
それはもう『天国に回転ドアがついている』と皮肉られるほど。
しかし、本作で復活することになるキャラクター、バッキー・バーンズ(本名:ジェームズ・ブキャナン・バーンズ)は、『絶対に復活しない死亡キャラ』と言われていたキャラクターなのです。

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何か半裸の人がいますね

キャップが吹っ飛ばしている軍服の男の横でマシンガンをぶっ放しているのがバッキーその人。
第二次世界大戦期、キャップのサイドキック(相棒)として活躍していたキャラクターです。
戦時中、バッキーはキャップと、そしてネイモア、初代ヒューマントーチが属するヒーローチーム、インベーダーズと協力してナチスやレッドスカルと戦い続けていました。
しかし大戦末期、バッキーはキャップと協力して無人爆弾飛行機を止めようとして失敗してしまい、飛行機は爆発。
バッキーは死亡(厳密にはMIAしてしまうのでした。

このバッキーの死はリアルに戦時中に展開されたストーリーで、その後はキャプテン・アメリカのストーリーも『氷漬けになったキャップが現代のヒーローに回収される』というストーリーにシフトして何年も継続していったため(実際は1950年代以降にもキャプテン・アメリカのコミックは刊行されていたものの、別人が2代目、3代目、4代目を襲名しているという内容。また、1950年代当時のキャップは本人設定だったものの、後付け設定で別人が襲名していた設定に変更されたようです)もう死亡設定は覆らないと思われたキャラクターだったのだとか。
スパイダーマンで言うとベンおじさんが決して生き返らないような感じ。

しかし、2004年、バッキーが復活するウインター・ソルジャーが発表。
生き返っちゃいけないハズのキャラクターが復活するという内容はもうそれだけで批判も多かったんですって。

ですが、本作のストーリーは戦時中のキャップのストーリーを(若干時代に合わせて設定を変更しつつも)じっくり振り返りつつ、何故バッキーが現代に現れるのかという謎もそのバックに大きな陰謀をチラつかせながら丁寧に描かれていきます。
『バッキーの死亡シーンは当時明確に描かれていなかった』というのもあってこういう思い切った後付け設定を行なえたのだとか。

本作で注目したいのは色々設定にリアリティも増している点。
たとえば一時キャップやバッキーは「戦時中も、そして現代でも一度も人殺しをしていない」という設定がありました。
しかし、さすがにそれでは現実味が無さすぎるという事で本書のライター、エド・ブルベイカーが『戦時中は殺人を犯していた』という設定に変更。
それもあって本作でのキャップの戦時中の回想ではハードな戦闘シーンを見ることが出来ます。

ジャック_convert_20120106201034個人的に色々衝撃だったのが4代目キャップのパートナーで3代目バッキーを襲名、さらにその後は3代目ノーマッドを襲名してヒーローとして活動していたジャック・モンローの人生。
彼は超人血清の影響で精神に異常をきたしており、さらにバッキーの代わりになれなかった事を未だに思い悩んでいるという男。本編ではひっそり退場する脇役扱いなのですが、途中にジャック・モンローが主人公のサイドストーリーが挿入されます。
仮にも古参ヒーローであるキャラクターなのに徹底的にまで落ちぶれた人生が描かれ、読み進めても最後の最後まで救いの無い話が展開。
なんというかとことん容赦ない扱われ方のキャラクターでした。実は彼の退場が後に邦訳された『デス・オブ・キャプテン・アメリカ』の話に関わってくるのでそういう意味では無駄に退場させられたわけではないのですが…

シンシア_convert_20120106201057


ここでまた本編話に。本作はシンシア・シュミットというキャラクターが登場するエピソードでもあります。
このキャラクター、なんとキャップの宿敵・レッドスカルの娘という超重要キャラクターなのです!…が、本書では彼女の暴れっぷりを拝むことはできません。
シンシアの悪女っぷりは『デス・オブ・キャプテン・アメリカ』の方でチェック。

◆感想
正義のために戦うも、国際法治に翻弄されたり、バッキーの死という忌まわしい過去に囚われたりで思い悩む姿が描かれるキャプテン・アメリカ。
何でもかんでも『アメリカのために!』という理由で戦うような単純なキャラクターでは決してない事がよく分かります。

ストーリーの方も戦時中にまで遡る陰謀の数々、現代ではそれぞれが違う思惑を持つ複数のテロ集団が現れ、またそれに立ち向かうシールド達、等々と様々な思いが交差する重厚な内容となっています。
300P近いボリュームは伊達ではない。
本書を読むと別に邦訳出版されている『デス・オブ・キャプテン・アメリカ』(『シビル・ウォー』を事前に読む必要もアリ)のストーリーをさらに深く味わえるので、最近出版された邦訳コミックのキャプテン・アメリカを読むなら本書からの方が良いかも。

キャップ&バッキー_convert_20120106200808
兎にも角にもキャップとバッキーが格好良い

◆映画『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』感想
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【映画『キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー』オフィシャルサイト】

『現代に復活した英雄』といったイメージが強いキャプテン・アメリカ。
しかし本映画の舞台は1940年代のアメリカ!
キャップ誕生と戦時中での活躍が描かれるこの映画はそれまでキャップが現代世界で活躍する光景しか見たことが無かったのでなかなか新鮮でした。
実写映えするようにアレンジされたコスチュームも格好良い。でも映画では原作コスもちらほら出てきます。ちょっと嬉しい要素。
映画ではバッキーがキャップの幼馴染で最初から近しい関係になっているなど原作の設定と差異が多いのもポイント。

第一号_convert_20111016202129 映画の原点となった1940年代の『Captain America Comics』でのキャップはアメリカのプロパガンダに使われており、なんというか『とにかくアメリカ万歳!!』なキャラクターだったらしいのですが、本映画では初めの頃こそ『アメリカの象徴』として各地でプロパガンダでドサ周りを行うことになる描写はあっても、最終的には真の英雄となっていく過程が描かれていくのが非常に良い感じです。
アメリカ賛美のキャラとしてではなく、しっかりヒーローとしてのキャップが見られるのは良いですね~。

戦闘シーンは戦時中という背景もあって多対多の構図が多かったりします。
これまでアメコミ映画では無双シーンや強敵に少人数で立ち向かうシーンを見ることが多かったので、この点もちょっぴり新鮮に写りました。
戦時中が舞台といってもそこはヒーロー物。敵はナチスの極秘科学部門である『ヒドラ』であり、ナチスそのものを直接相手にする感じではないです(やっぱりまだやり辛いのかな)
ドサ周りでヒトラーを殴るショーをやるシーンはありましたけど。
超兵器と超人のぶつかり合いという戦闘シーンは1940年代の戦闘とは思えない未来的さっぷりです。
それが良いんですけどね。
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1940年代という時代を考慮して映像ではレトロな雰囲気をかもし出しているのもポイント。
『I want you』で有名なアンクル・サムのポスターが途中からキャップに代わっているのはなかなか面白い小ネタでした。っていうか普通にポスター欲しいです。
登場人物の外見や小道具はもちろん、映像は当時多用されていた広角レンズで撮影しているというこだわりっぷり。
某所で『映像センスがしょぼかったw』という本映画の感想を見かけたのですが、ある意味では間違ってないかもな~と思ったり。

そして見逃しちゃいけないのが他作品とのつながり。
本映画はヒーローが集合する『アベンジャーズ』(2012年に公開予定)を見据えて色々なネタが仕込まれています。

『マイティ・ソー』と関連するなんかやたら超エネルギーが詰まっている「コズミック・キューブ」の存在。
『ハルク』と関連する「超人血清」の実験。
本映画の登場人物の一人、ハワード・スターク『アイアンマン』の主人公、トニー・スタークの父親でもあります。
スタッフロール後には『アベンジャーズ』の予告編が流れるので最後まで席を立たない事を推奨します。

とにかく面白い映画でした!一押しのアメコミ映画です。
正直キャップの設定を知ってると映画のオチは予想できるのですが(そもそも冒頭のシーンが最終決戦の後なんですけど)全く知らない人が見たら超展開に思わないかだけがちょっぴり不安。
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