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20 2011

ジム・ウードリング/フランク白黒ストーリーズ

フランク表紙_convert_20111219233653

"彼が声を大にして言いたいのは、
 実際は(フランクは)言葉をしゃべることが出来るという事。
 サイレントなのはコミックであって彼自身ではない。"


◆ジムの摩訶不思議ワールド
あの『F.F.コッポラ』監督が愛読しているというジム・ウードリングの『フランク』
どんな作品なのかと調べてみたらサイレントマンガ形式となっており、「これなら原書でも読めるぞ!」と僕の原書アメコミ初デビューとなりそうだった作品だったのですが、ペーパーバックがことごとく絶版。
しかもプレ値がついており、現在普通に購入できるのは絵本作品のフランクばかりで、結局購入を断念することになっちゃいました…

しかし、プレスポップさんが(僕にとって)実にナイスなタイミングで日本語版を出版!

フランク_convert_20111220190143

なんと448ページというトンデモない分厚さで刊行されました。
なんでも本書は作者のジムが日本のファンのために『震災復活応援』の意を込めて出版されたのだとか。
日本未発表の作品を含めた全17話が収録されています。

ただ、日本語版といっても本作品はサイレントマンガ。
翻訳なんてものは皆無で、せいぜい265ページめに作者紹介の日本語解説が入っているぐらいです。

サイケデリック_convert_20111220191446

内容としては、フランクとその仲間たちのちょっとしたアドベンチャーストーリーを楽しむ感じの作品。『ぱっと見は』子供向けカートゥーン作品のような雰囲気なのも特徴?
終始摩訶不思議な世界観に包まれており、サイケデリックなアートも一度嵌まると抜け出せなくなってきます。

マンホッグの旅_convert_20111220191603

登場する生き物、植物、建物全てが非現実的で、ジム・ウードリングはどこからこんな世界を描く発想が湧いて出てくるのか気になって仕方がない。
登場キャラクターが無残な目に合うブラックな描写も多く、それがまたフランクという作品の魅力になっています。

◆ゆかいな登場キャラクター
フランク_convert_20111220211630フランク
主人公。短い尾を持ち、二足歩行を行う動物のような外見のキャラクター。
でも何の動物かよく分からない。
出っ歯で絶妙に可愛くないのがミソ。
毎度何かしら変なモノに興味を持った事で不思議世界に飛び込むハメになったり、
不思議生物に襲われたりする見事なまでの巻き込まれ型主人公。

マンホッグ_convert_20111220211638マンホッグ
オークのような外見のキャラクター。強面だけど弱気なのかやたら色んなキャラクターにいじめられる。
いじめ抜かれた結果死亡してる事もしばしば。
しかし『Gentlemanhog』という話では心優しいヒト型の生物にいじめられていたところを助けられ、住む場所や食べ物を、そして様々な知識を与えてもらい、生物としてすさまじい成長をとげる。

この話は普通に良い話なので個人的に本書で一番好きなエピソードです(オチはブラックだけど)
このエピソードの存在もあって『フランク』ではマンホッグが一番好きなキャラクターになりました。

パップショウ_convert_20111220211702パップショウ
フランクに非常に忠実なペット…ペットなのかな?
フランクを守るためなら躊躇なく相手を食い殺そうとする。
威嚇行動で巨大化することも可能(その際不気味な模様?が浮かびあがる)
性別は女性らしい。

プッシュパウ_convert_20111220211710プッシュポウ
パップショウのボーイフレンド。
パップショウの事が大好きで、遊びに行く時は大抵パップショウと一緒にいる。
しかも彼女がピンチの時には勇敢にも相手に立ち向かっていくカッコいいヤツ。
いちゃつくときは体と体をひっつけるのだが、その光景はちょっとしたオブジェのよう。

ウィム_convert_20111220211646ウィム
三日月形の頭とか細い体が目を引くキャラクター。
悪意の塊のようなやつで、マンホッグを軽く拷問する勢いでいじめ抜いたり、(人っていうのもおかしいけど)が乗っている気球に石を投げて撃ち落としたり、フランクに危険な生物をけしかけたりとシャレにならない悪事を働く。
ちなみに本体は体の中に生息している寄生虫のような生物

◆VISIONS OF FRANK
ジム・ウードリングと日本の映像作家7人が様々な技法のアニメーションに落とし込んで製作したというアニメDVDがあります。
さらに日本とアメリカの音楽家に参加してもらい、各アニメに音楽を書き下ろしてもらったという力の入った作品集です。

~参加アニメーター~

ジム・ウードリング
布山タルト
ヨシムラエリ
art unit COCOA
タマプロ・ドロップ
内藤昌樹
川口華奈子
永田ナヲミ


ただ、現在は残念ながら廃盤な模様。


◆感想
ページをめくるごとに広がる、ジムの摩訶不思議ワールドにどっぷり浸かる事が出来る『フランク』
一見のほほんとした雰囲気に溢れていながらほんのりグロテスクさに満ちている内容。
夢のような不条理世界を楽しむことが出来る面白い作品。
作者である『ジム・ウードリング』の公式サイトで色々イラストを見て、何か惹き付けられるモノがあれば楽しめると思います。

【ジム・ウードリング公式サイト】

シメ_convert_20111220211719

◆乱丁について
メール_convert_20120123032339

余談ですが、本書には1ヶ所乱丁があり、P274のページに間違った絵が入ってしまっていました。
手違いがあって初期出荷分全てに乱丁がある状態なようで、現在急いで刷り直し中なのだとか。

※2012年1月22日追記

120122_184117_convert_20120122194925.jpg

修正版が届きました。
現在販売されている分は全て修正版なはずです。
中古版に手を出す時は注意!

◆アングレーム国際漫画祭2012
フランクと動物会議_convert_20120130035424

ヨーロッパ最大の漫画イベント、アングレーム国際漫画祭
フランクも『Frank et le Congrès des Bêtes (フランクと動物会議)』という作品がアングレーム国際漫画祭2012にノミネートされ、『審査員特別賞』を受賞しました。
このノミネート作品も本書『フランク白黒ストーリーズ』に収録されているので興味のある人は是非。
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2 Comments

trosper  

はじめまして

ジム・ウードリング大好きです。
ぺらぺらの冊子と青い厚めのフランクを何冊か持ってたけどうさぎがいっぱい噛んだので引っ越す時捨てちゃいました。
この新しいの買います!!

2012/11/13 (Tue) 22:46 | EDIT | REPLY |   

michael  

>>trosperさん
はじめまして!
この本はやたらめったら分厚いので読みごたえありましたよー。
さしものウサギもこの分厚さには敵わないと思います!
そして逆に闘争心を掻きたてられてなんとしても噛みつくそうと必死になるかもしれません。

2012/11/14 (Wed) 22:09 | EDIT | REPLY |   

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