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11 2011

ピーター・バッグ/ヘイト日本語版

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「ここでの1人暮らしがオレをダメにしてンだよな…
 ジャンクフードの食いすぎに不規則な生活…
 …彼女も欲しいよな、やっぱ…料理が出来る娘とかいいよなあ…
 …次のセックスのアテもないとなると焦るよな…
 不安で、弱気にもなるってもんだ…
 ナンパは性に合わないし、手当たり次第(大体ハズレだけど)に
 ヤルほど餓えていない…特定の相手が欲しいンだよね…
 光陰矢のごとしだ…生活を立て直さなきゃそのうちとんでもないことになるぞ…」


グランジ・ムーヴメント真っ盛り、90年代のシアトルで暮らすフリーター、バディの凄春!
いきあたりばったりだ!人生にたいした目標もなく、ノリだけで生き、後先考えずに情事にふける・・・
そして、しがらみが残った!
最悪の人間関係を最高にポップな筆致で描いた、
ピーター・バッグの傑作にしてオルタナ・コミックの代表作。


◆収録作品

1990年04月:Issue #1 My Pad and Welcome To It!
1990年06月:Issue #2 Hate at First Sight!
1990年10月:Issue #3 Dinner For Two
1992年02月:Issue #8 Follow That Dream
1992年05月:Issue #9 Follow That Dream partⅡ


◆オルタナ・コミックの名作
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~Wikipediaより引用~

オルタナティヴ・コミック(alternative comic)という用語は、1960年代終わりから1970年代初めにかけてのアンダーグラウンド・コミック運動の結果として、およそ1980年頃からアメリカ合衆国で出現した、一群の漫画作品を示す複数の呼称の内の一つである。
典型的なオルタナティヴ・コミックは、一人の作家の単独作業によって制作され、成人読者を対象とし、しばしば実験的な作風を取っている。オルタナティヴ・コミック作品は議論の渦中において、「ポスト・アンダーグラウンド・コミック」「インディペンデント・コミック」「スモールプレス・コミック」「ニューウェーブ・コミック」「アート・コミック」など、様々な名前で呼ばれていた。
多くの自費出版による「ミニコミック」もまた、オルタナティヴ・コミックの系統に属する。

これらの作品は、マーベルやDCコミックのスーパーヒーロー物など、アメリカの漫画産業を支配するメインストリーム・コミックに対して、「別の選択肢(オルタナティヴ)」を提示した。
典型的なメインストリーム・コミックは、厳しい締め切りの下で、ライター(原作)、ペンシラー(下書き)、インカー(ペン入れ)、レタラー(文字)、カラリスト(彩色)、エディター(編集)から構成される作家のチームによって制作され、主題や形式の大部分は、確立された慣習的なジャンルに迎合したコミック制作のために人材を雇う、出版社により決定される。

これに対して、オルタナティヴ・コミックは、しばしば単独の作家により原作・作画が行われ、制作スケジュールはほとんど考慮されず、作者自らが作品を完成させたと判断した時点で出版される。メインストリーム・コミックの内容が、最大限の販売数を得ようとする企業経営者らによる介入を受けている一方で、オルタナティヴ・コミックはしばしば、一般読者の大多数にとっては難解あるいは不快であろうと思われる素材を扱った出版物を許容する、少数の特定読者に対して出版される。

これらのすべての点において、オルタナティヴ・コミックは、先行するアンダーグラウンド・コミックの上に直接その基礎を築いている。


…というわけで、『オルタナティヴ・コミック』に分類される作品『HATE』
ウィキぺでも代表的な作品として挙げられています。
作者のピーター・バッグについては以下の文を。

1960年代生まれ。ニューヨーク州ピークスキル出身。
60年代の"Mad magazine"、ワーナーブラザーズやホットロッドのコミック、ピーナッツとテレビ番組を観て育つ。70年代にはニューヨーク市のスクール・オブ・ビジュアル・アーツで学ぶが、コミック作家が職業として認められていなかった当時、彼の野望は誰にも理解されなかった。そういった状況にもかかわらず、R.クラム、 S. クレイ・ウィルソン や ビル・グリフィスから影響を受けながら彼は描き続けた。

80年代初めに友人達と「コミカルファニーズ」(1980-81)というニューヨークをべースとしたコミックタブロイド誌を三冊出版。その誌上で彼の代表キャラクターファミリーであるブラドリー一家が誕生する。その後、1983年から1986年までR.クラムの雑誌、"Weirdo"の編集長を勤めながら、ファンタグラフィック社から自身のコミック、"Neat Stuff"を15刊出版し、代表キャラクター、悩めるティーンエイジャーの代表、バディ・ブラドリーの人気を不動のものとする。
ファンタグラフィックより出版され、1990年に始まった"Hate"シリーズは30刊続いた彼の代表作であり、大きな成功を納めたオルタナコミックのドン的作品となった。このシリーズ上で、ピーターは90年代のシアトルのグランジシーンをシーンがブレイクするよりかなり前に描いて話題になった。

現在、彼のコミックは10カ国語に翻訳されている。1998年に"Hate"の連載が終了した後も数本の連載を抱え、精力的に創作を続けている。コミックの他にも彼独特のイラストは多くのレコードやCDジャケット、雑誌("Details," "Spin," "Artforum"等)にも登場している。また、MTVのLiquid Televisionや シンプソンズの脚本も書いている。作家としての媒体露出はEntertainment Weekly, Spin,やMTV等。また1996年のサンダンスフィルムフェスティバルではバディがアニメーションとして登場した。その他にもラウンドテーブルピザのTVCMやトヨタの広告も手掛けている。そして、NBCの国民的人気番組サタデーナイトライブ用に制作したアニメーションも高く評価されている。


HATE
毎日をいきあたりばったりに過ごす主人公・バディ
そんな彼の周りに集まるのはどこか性格に問題のあるダメ人間な若者ばかり。

色情狂_convert_20111211041037
バディの彼女・ヴァレリー。ややヒス気味で色情狂。

最悪やでスティンキー_convert_20111211034723
バディのルームメイトのスティンキー。何かとウマそうな話を持ちかけてくる男。
画像は全裸でバディとヴァレリーのディナーに割り込むの図。


メンヘラ_convert_20111211040411
バディの元カノ・リサ。メンヘラ気味で考えが読めない女の子。ヴァレリーのルームメイトでもある。

癖のある…を通り越して不快感すら感じるキャラクターばかりが登場するのですが、これがマンガとして読むと面白い。
本当にリアルでは絡みたくない相手ばっかりですが。

基本的にはいい年してフリーターであるバディのだらけた日常を眺めるようなストーリー。
第一話は読者がバディの家を訪ねて話をしているという形式で話が進む面白い魅せ方になっています。

今の住処_convert_20111211044849
家賃が安く、田舎すぎない場所を求めてスティンキーと色々な場所を転々としていたという話

しかし、4話目として収録されている『"FOLLOW THAT DREAM!"(まさにロックな物語)』という話からはバディの人生に転機が訪れます。
スティンキーに『あるロックバンドのマネージャー』を担当することを持ちかけられ、ようやく手に職をつけることになる。
やりがいのある仕事に就けた彼女のヴァレリーに劣等感を感じる必要もなくなり、人生がうまくいき始めたかと思いきや…な話。

この作品『HATE』は、「自分が何をしたいのか分からない」という主人公のバディに共感できる人なら楽しめると思います。
自分の欲望には忠実に生きて、でも周りの人間にやたらと振り回されてしまうそんな主人公。

全編通して下品なシーンが多く、絵もサブカル系コミックとかに見られる感じのいかにもアングラな雰囲気ですが、訳が良いのか邦訳海外コミックで時々見られる「一聴しただけではピンとこないセリフ」が少なかったり、日本漫画との作風の違いの違和感というものがあまり無い(あくまで個人的に)ように感じて、楽しんで読めました。

こう、ガロ系というかなんというか…
あの手の漫画雑誌に掲載されているような作品が好きな人にはおススメしたい。

この邦訳版は5つのエピソードが掲載されていて全103ページとやや少なめ。
(1ページの1コマごとの書き込みの密度が細かくてページ数の割にはボリュームを感じますが)
このHATEシリーズはまだまだかなりの数が発刊されているようなので、これ以降も邦訳してほしいところです。
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